十六歳のアメリカ メイキング・フレンズ 二一、ピザ・ハウス、ジノズ 61 | 六月の虫のブログ

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 ピザを食べ終えると、ボブが ”It´s Miller time!” と皆に告げた。この当時、仕事を終えた人達が ”It´s Miller time!” と言ってビールを飲むミラー (Miller) ビールのテレビ・コマーシャルが流行っていた。文字通り、「ビールの時間だ」ということだ。デイヴは車を家に置きに帰り、みんなボブの車に乗り込む。彼の車が一番良いステレオを積んでいたので、彼の車がパーティー会場になる場合が多かった。若者にとってパーティーとは、ドンちゃん騒ぎをすることで、若者のパーティーの三要素は ”Drugs, Sex and Rock &  Roll” だ。この ”Drugs” にはアルコールも含まれる。

 ビールを買いに行くのはデイヴの仕事だった。彼は二十歳以上に見えたし、いざという時のために兄のダンの古い身分証明書を持っていた。デイヴが店員に身分証明書の提示を求められることはほとんどなかった。当時のイリノイ州の飲酒可能年齢 (Drinking Age) は十九才だった。どう見ても十四、五才にしか見えないボクが酒屋にビールを買いに行けば、必ず店員に身分証明書の提示を求められる。したがって、買うことは不可能だ。ボブ、リックとボクは車の中で、デイヴを待った。彼は、一、二分すると酒屋から大きな紙袋を抱えて出てきた。紙袋の中には地元ミッド・ウエストで一番人気のオールド・スタイルというビール、一ケース分(二十四缶)が入っていた。

 ピザもそうだが、ボクがお金を出そうとしてもボブは受け取らなかった。一度、リックがボクから受け取ろうとして、ボブがリックを怒ったときがあった。当時、ロータリー・クラブから月に二十五ドルの小遣いを貰っていたが、この二十五ドルはなかなか減らなかった。当時の二十五ドルというのは、大金だった。LPレコードが四ドル五十セント、煙草一カートン(十箱)が四ドル代、ビールのシックス・パック(六缶)が一ドルの前半、映画が三ドル前後という時代だった。ランチ代は別途支給してくれるし、ボブはお金を受け取ろうとしないし、小遣いは服などを買わないかぎり減ることはなかった。




当時は”ミラー・ライト”が売れ筋だった。当時のボクにとってビールの銘柄はどうでもよかった。味はどれも同じに思えたし、一晩に一ビン飲むのが精一杯だった。