十六歳のアメリカ Vol.102 | 六月の虫のブログ

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二七、カーシャウ家へ (つづき)


 カーシャウ家に引っ越した翌日、カーシャウ夫人が私の長髪を見て、「ボール・プレーヤーにしては、髪の毛が長すぎると思わない」と私に切り出した。確かに、私の髪はゆうに肩まで伸び、癖毛なため制御不能になっていた。赤毛でショート・ヘアのカーシャウ夫人の髪よりだいぶん長かった。カーシャウ夫人はカーシャウさんと再婚する前、シカゴの郊外のスコーキーという町で美容院を経営していたということで、断髪式は彼女が執り行うことになった。

 カーシャウ家の中庭で断髪式を終えた後、さっそくシャワーを浴びにバスルームへ向かった。シャワーを浴びた後、鏡に映っている自分の顔を見た。そこに映っている自分は、まるで別人で、不自然な感じがした。バスルームを出て、私が恥ずかしそうにカーシャウ夫人のいるキッチンに入ると、彼女は私を見て、「私はいい仕事をしたわ。よりハンサムになったわよ」と言って、ホームメイド・クッキーと紅茶を出してくれた。

 その晩、カーシャウさんが仕事から帰って来て、リビングルームにいる私を発見すると少し驚いたように、「髪の毛をどこに隠したんだ」と私に尋ねた。私がカーシャウ夫人のほうを見ると、彼女は私にウインクして、カーシャウさんに昼間の断髪式について説明した。カーシャウさんは説明を聞きながら、「グッド、グッド」を連発した。日米を問わず、総じて大人は長髪が嫌いなのだ。

 翌日、学校に行ったとき、私の新ヘア・スタイルを見た先生方のリアクションは、カーシャウさんのそれと同じようなものだった。予想外だったのは、友達のリアクションも大人たちのそれと同じだった。彼らもまた私の新ヘア・スタイルの方を支持したのだった。


 つづく・・・




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 カーシャウ家の玄関付近。断髪式をした中庭で作ったサンティーはおいしかったなあ。6月6日のブログ、『この夏、サンティーはいかが?』を見てください。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。