十六歳のアメリカ Vol.38 | 六月の虫のブログ

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メイキング・フレンズ


一八、初めてのキス


 交換留学生は、アメリカでの生活を通して英語はもちろん、文化を学び、いろいろな人と交流するために海を渡っているのだ。ロータリークラブはいろいろな人に合う機会を与えてくれた。週末には、いろいろな人たちの家に招待されたり、いろいろなイベントに参加できた。ドクター・ハースの豪邸に招待され、水上スキーができたのもロータリー・クラブのおかげだ。


 九月六日のレイバー・デーには、シカゴのオヘア空港にスチュワート家の人たちと一緒に迎えに来てくれた六〇歳前後の夫婦の家に招待された。ようやく彼らの名前と正体が判った。夫婦の名前は、ワドリーで、ワドリーさんはカンカキー・ロータリークラブの交換留学生の係だということだった。ワドリーさんは、私をレイバー・デーに行われるヴィレッジ・フェアに連れてってくれた。天候にも恵まれ、祭り日和だった。ヴィレッジ・フェアは、日本でいう村祭りに当たるのだろうが、雰囲気はぜんぜん違うものだった。

 消防士たちが放水してロープに吊るされている樽を押し合うゲームをしていた。これは二つのチームがロープの上を滑車で動く樽を、お互いに樽目掛けて放水し、相手チーム側に押し合うのを競うものだった。見ている人にも水がかかり、子供たちは大喜びだ。私はその様子をカメラに収めようと、カメラを取り出した。ワドリーさんは、私のカメラを見て「クラッシクなカメラだね」と、私が写真を撮り終えると、カメラを見せて欲しいと言ってきた。このフジカのカメラは私が小学校のときに、家を手伝ってもらったお金を貯めて、中古で買ったものだということを、英語力を振り絞って説明した。この説明には結構時間がかかったが、ワドリーさんも私の説明にうなずいてくれた。

 広場に行くと、子豚の競争や牛の乳搾りなどでみんな楽しんでいた。このヴィレッジ・フェアに来ているのは、小さな子供いる家族連れと年寄りばかりだった。高校生くらいの人もいるが、彼らはフェアに参加している親の手伝いできているのだった。広場でワドリー夫人と落ち合い、バーベキュー・チキンと飲み物をもらうとピクニック・テーブルに場所を見つけて座った。私は青い空とどこまでも続く大地を見て、アメリカにいることを実感すると共に、バーベキュー・チキンのうまさに感動していた。


 つづく・・・


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樽に向かって放水している。このときは、まだアメリカに来て十日目くらいで、見るものすべてに感動していた。


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今も健在、フジカのカメラ。まだ使えるはずです。私の青春の相棒です。


注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。