お友達にお会いし、母からの手紙を渡してお礼を伝えたときのことです。
そこで手渡された言葉の数々に、母のやさしさを知り、涙が止まらなくなりました。
お友達の口から語られたのは、私が全く知らなかった母の姿でした。
「 自分がガンであることを、私にはずっと隠していたこと」
「日々の買い物すら不自由な体だったのに、私の前では無理をして元気に振る舞っていたこと」 「ダブルケア(仕事や育児、介護などが重なる状態)」の私にこれ以上の負担をかけたくないからと、連絡を最小限に控えていたこと 」
日々の仕事だけで精一杯の私。
母はそのすべてを察し、私の負担にならないよう、一人で病と闘っていたのです。
母はシングルマザーだったので 女手一つで、たくさんの苦労をしながら、
私を大学まで出させてくれた人。
それなのに、私はまだ何一つ親孝行らしい親孝行ができていませんでした。
「どうして、もっと早く気づけなかったんだろう……」
本当に大切なことほど、もう取り返しのつかない状況になってから、
初めて身に染みて分かるものなのかもしれません。
後悔と申し訳なさ、そしてそれ以上の大きな愛に包まれていたことに、
やっと気づかされたのです。
それから数ヶ月。 母に囲まれた穏やかな時間を家族で過ごし、母はその年の暮れに、静かに長い眠りにつきました。 母が遺してくれたあの「宿題」は、不義理な私に、母の本当の愛の深さを教えてくれるための、最後のギフトだったのかもしれません。
