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jun2980さんのブログ

 何にでも興味をもっています。今、ミステリー小説の連載中です。また、韓国ドラマ、良い加減料理や難病の膠原病をテーマに写真なども載せながらつぶやいています。皆さんのペタやコメントが励みになります。どうぞよろしくお願い致します。



      第4話


「ねえ、秀ちゃん」

「ああ、聞いてるよ」

「私、萌子さんから面白いこと聞いちゃったの」

萌子さんは何を話しているのか、僕は生きた心地がしなかった。

頭熱足寒になり、6度ぐらいの温度差を感じた。

頭がのぼせてくる。

「三越の玄関前にライオン像があるよね」

実亜が付加疑問文で聞いてくる。

「うん」と、気のない返事をしたが
僕と萌子さんの思い出がまざまざと蘇ってきた。

三越の玄関前にライオン像がある。

ロンドンのトラファルガー広場で人気を集めたライオン像のミニサイズが三越のシンボルとして置かれた。

萌子さんとのデートの時だった。

ライオン象の前を通ると、萌子さんが急に立ち止まって、ライオンの顔をまじまじと見始めた。

「いい顔している」と萌子さんは見とれていた。

そして「ねえ、またがりたいの」突拍子もないことを言ってきたのだ。

「誰もいないところでライオン像の背中にまたがると願いが叶うんだって。ちょうど誰もいないし。あ、秀治君がいるけどいいよね」僕に聞かれても困る質問を萌子さんは投げかけてくる。

ライオンはお座りしている格好で顔をもたげている。

どこから見ても端厳な姿だ。

その威風堂々したライオンにまたがりたいと、萌子さんは言い出したのだ。

一度言い出したら、僕の言うことなど聞くはずもない。

僕の肩ほどの高さの台座に、スカートをはいた萌子さんは片足をバレリーナのように乗せた。

23歳の萌子さんはミニのフレアースカートをはいていた。

足を上げたとたんに、フレアースカートの裾がはらりと逆さまに落ちて、萌子さんの格好よくてかわいい太ももが見えた。

別に興奮もしない。

こんなシチュエーションで好意を持っている女性が、こんなことをしたら、ただオロオロするばかりだ。

萌子さんはそんな僕を一瞥すると、スカートを手で押さえながら「みないでよ」と無理なことを強いてくる。

それでいて「早く手伝って」と指図してくる。

今、考えると、もうめちゃくちゃな人だった。

僕は萌子さんの地に着いているもう片方の足を両手で押さえて台座の上に上げてやった。

そして、落ちないようにと、僕は真剣に自分の身体を張って、萌子さんをライオンの背中にまたがさせてあげた。

僕の背丈より高いライオンだったが、それでも、僕が182センチメートルの身長が役に立った。

萌子さんはライオンの背中にまたがると、目を閉じてじっとしている。

何かお願いをしているのだ。

萌子さんの長いまつげを僕は愛おしんだ。

僕も若かった。

肩で息をしながら、疲れを感じなかった。

これが今、実亜にせがまれたら、一気に10年分の仕事をしたようにぐったりするだろう。

「秀治君」萌子さんが僕の名前を呼んだ。

「秀治君も後ろに乗って」萌子さんが今にもライオンの背中に乗ったまま、どこかへ飛び立って行ってしまいそうな気がした。

僕は萌子さんしか見えていなかった。

言われるままに僕は助走をつけて、一気にライオンの背中に乗り付けた。

青銅で出来たライオンは冷たかったが、僕の前に萌子さんがいる。

僕は後ろから腰に手を回した。

萌子さんを手離したくない。

僕は萌子さんの小さな背中に頬を付けた。

突然、萌子さんが両手を広げた。

「秀治君、このままどこかへ飛び立って行けたらいいね」萌子さんの真意は分からない。

僕は情けなく小さな声で「うん」と
答えるだけだった。

その日、昼間は小春日和の暖かい日だった。

でも、北緯43度の札幌は、夜になるとやはり寒かった。

僕はコートのボタン外し、前身頃の部分で赤ちゃんを包むように、萌子さんを包んだ。

そういえば、あのライオンの背中にまたがり、萌子さんが両手を広げた姿が、『タイタニック』の映画を観た時、重なって辛くなったことを思い出した。

『タイタニッ』は1997年に上映された。

ジャックがローズを支えてタイタニック号の先端で両手を広げたシーンが話題になったが、僕たちの方が5年も早くそんなことをしていたんだと思った。

監督のジェームス・キャメロンと別に張り合っている訳ではないが、そう思った。


「ねえ、秀ちゃん、私もライオンの背中にまたがって願いごとをしたい」

僕の最も恐れていたことを実亜は口にした。

「危ないよ。それに誰か見てるよ」

「だから、夜中にしたらいいんじゃない」

「その…萌子さんとやらの時代と今の時代は違うんだよ」

「どう、違うの」

実亜の上目使いで軽く睨む目が、可愛い。

「その…萌子さんとやらの時代は夜に人がいなかったけど、今は夜に若い子がたくさんいるだろ」

僕は嫌な汗をかいた。

必死だった。

「どうして、萌子さんの時代を秀ちゃんは分かるの?」

「だって、僕とたいした年齢は変わらないだろう」

「もう、秀ちゃんは年寄りね」

「実亜は若いよ」

僕は実亜の鼻先を人差し指でなでてやった。

「ねえ、秀ちゃん」

僕は名前を呼ばれる度に、生きた心地がしなくなっていた。

「タイタニック号の事件って、1912年に起きたんですってね」

僕はぎくっとした。

「そうだけど、急にどうした?」

今度は何を実亜は言ってくるのだろう。

「来年で100年目になるんでしょ?」

実亜は確かめるように聞いてくる。

「そうだね」

僕は変な胸騒ぎがした。

「萌子さんから聞いたの。『タイタニック』という映画の話しを。レオナルド・ディカプリオという俳優が格好いいって」

「そうかい」

内心、穏やかではない。

次の実亜の言葉が恐怖だった。

「それでね、来年100年目ってことで、3Dでディカプリオの映画を4月から上映するんですって!」

「『タイタニック』を?」

「うん。萌子さんがそう言っていた」

「へえ、そうなのか」

「秀ちゃん、観に行こう!」

映画を観に行くのは断れない。

そういう話しであればと少しほっとした。

が、その暇もなく実亜が続けた。

「あ、萌子さん言っていたな。『タイタニック』の有名なシーンの両手を広げるの。」

しばらく、萌子さんから聞いたという『タイタニック』の話しをした後で、実亜が羨ましそうに言った。

「私もライオンの背中で、後ろに秀ちゃんがいて、両手を広げたい」

「ええっ?!」

僕は椅子から飛び上がりそうになった。

         続く              
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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      第3話


「秀ちゃんてば」

実亜に手の甲に点滴の針が入っている右手で膝を動かされて、我に返った。

「ねえ、あたしの話しを聞いているの」

ちょっと、すねている。

「ああ、聞いているよ」

実亜の頬にかかったひとすじの髪の毛をなでながら後ろ側に持っていってやった。

実亜は結局、あの日髪を切らずに出て行った。

そんなことを思い出していた。

「あのね、萌子さんね」

実亜が何か萌子さんについて教えてくれるのか。

そう思った瞬間、胸が熱くなった。

でも僕はわざととぼけた。

「萌子さんって?」

「うーん、秀ちゃんたら。隣りの女の人だってば」

実亜はじれったそうに言った。

「ああ」

僕は気のない返事をする。

本当は身を乗り出して聞きたいほどだった。

「萌子さんね、20年前に熱烈な恋愛をしたんですって」

僕は顔が赤くなるのが分かった。

実亜に悟られてはならない。

僕はうつむいた。

でも、何か言わなければ、実亜に勘ぐられしまう。

僕の頭は混乱していた。

「秀ちゃんと同じだね」

実亜の屈託ない言い方に救われる思いがした。

20年前、僕は萌子さん(実亜にはある女性と言ってある)と恋愛をし、振られてしまったことをそれとなく実亜に話してあった。

何度目かのデートで過去の話しを打ち明けた時、実亜は、

「秀ちゃんが23歳の時なのね」

興味津々の目で僕に迫ってきた。

「どんなデートをしたの?」
「どんな風に愛し合ったの?」
「秀ちゃんの初めての女なの?」

立て続けに質問してくる実亜は無邪気だった。

そんな実亜は、今僕に頼ってきている。

僕で出来るのなら救ってやりたい。

そう思った。

一年前のあの日、実亜は店に入って来て髪を切って欲しいと、依頼した。

僕がハサミを手にしたとたんに、顔を覆って泣き出した。

僕はしばらく、実亜が落ち着くまで待っていた。

やがて、ごめんなさいと、声にならない声で言うと、実亜はドアを明け出て行った。

僕を始め、他のスタッフもぼう然として見送っていた。

僕は気になっていた。

実亜を、いや萌子さんに似た実亜を
と言ったほうが正しい。

いつまでも、萌子さんの面影を追っている自分に愛想を尽かしながらも気になるのだった。

何日かして、その日は冬至だった。

なぜ覚えているかというと、高校時代からの親友の朔が、やたらそういう季節のことに詳しくて、今日は冬至だとメールに書いてきていた。

朔は本当は朔風(さくふう)という名前だ。

「朔」という意味は「北」という意味だそうだ。

自分は北風のように強いんだとか何とか言っていた。

何が強いんだ?と聞くと、全てにという答えだった。

確かに朔は何にでも強かった。

勉強にも、スポーツにも、けんかにでさえ強かった。

女性にももてていたし、そういう遊びの方面にも強かった。

僕が萌子さんに捨てられて、抜け殻のように生きていた時代を支えてくれていたのは朔だった。

朔がいなかったならば、僕はどうなっていたか分からない。

朔は散々、遊んだあげく、あっさりと結婚してしまった。

僕が朔に萌子さんに似ている女が店に来たけれど、泣いてしまい髪を切らずに帰った話しをすると、その女を見つけて結婚してしまえと、乱暴なことを言っていた。

冬至は春の始まりなのに、寒さは募る。

その日、冬至の12月22日、僕が仕事を終えて、外へ出た時だった。

日はとうに暮れていた。

家へ帰るべくして、北に向かって少し歩いた時だった。

薄暗の中で一人の女が立っていた。

僕の胸が騒いだ。

萌子さん!!

そんなことがあるわけないのに、たそがれは残酷なまでに萌子さんを思い出させた。

僕がその女をやり過ごした時だった


「すみません」

声をかけられて振り向くと、何日か
前の女がはかなげに僕を見ていた。

はかなげな女、つまり、実亜だった。

僕は本当にびっくりした。

萌子さんと、似てる。

僕の心臓は早鐘のようになり、飛び出しそうだった。

「先日はごめんなさい」
 
実亜は今にも倒れそうだった。


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檸檬へ♡



今日は3月3日

雪が降ったり、止んだり、今日の天気は忙しかったわ。


今日はおひな祭。病院の昼食だよ。

お刺身の盛り合わせ。茶碗蒸し。
生麩のお吸い物。


ひなケーキもついていたよ。

美味しかったよ!!


みんな幸せ気分♡♡♡


ママは、3月8日の日に手術決行の予定です。

あの吸引器の力ってすごいね。

赤くて美味しそうなお肉が出来ているんだよ。

まさに、文明の医療器。

剥がす時、痛いけれど、あの手この手を使って、痛みを抑えているからね。

何とか、痛みに我慢しているよ。


手術前の外出も禁止なので、檸檬に会えないけれど、ママは頑張るよ。



可愛い檸檬へ♡

          ママより



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朝6時、廊下や病室に電気が点いて目を覚ました時です。

どうも違和感があり、一度、上体を起こしてみると、180度、回転して眠っていたようなのです。

微睡みながら、元の位置に戻り、検温しました。

しかしながら、私はどうなっていたのでしょう。

朝、看護師が検温の結果を聞きに来た時、そのことを看護師からも言われました。

夜中の1時の見回りの時、すでにそういう態勢で、眠っていたそうです。

看護師が言うには、起こしても起きなかったので、そのままにしておいたとのこと。

掛け布団を丸めて枕にして眠っていたので、何も掛けずに眠っていました。

そのせいか少し風邪気味にり、すっかり鼻声になってしまいました。

それにしても、ミステリー。

今までも、夜中に潰瘍の出来ている足の甲が痛くて揉んでいて、そのままひっくり返って寝てしまっていることを、看護師から聞かされていました。

でも、180度回転しているなんて。。。

そんなに、身体は柔らかくないはずです。

単に、寝相が悪いだけなのかな。

日勤の看護師にも真相を聞かれました。

でも、私本人は何も覚えていないのです。

病室の人たちには、推理されましたが誰一人見ているわけもなく、答えは出ません。

おかしな気分の1日でした。





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       第2話


身体が重い。

目が覚めて、自分がコートを着たままでソファーの上で眠ってしまったことを思い出した。

腕時計を見ると、4時だった。

まだ、外は真っ暗だ。

カーテンの隙間から、一筋の光りさえ差していない。

また、眠ってしまうと寝坊をしてしまいそうだった。

身体を起こすと、とりあえずコートを脱いだ。

シャワーを浴びることにした。

僕はさっきから、頭をよぎる萌子さんの顔を追い払っていた。

本来なら、妻を思うべきだ。

いきなり、薬の副作用で象のようにになり、入院して心細くしている妻を思うべきだ。

そう、自分に言い聞かせているのだが、どうも言うことを聞いてくれない。

自分で自分を持て余していた。

シャワーの湯の出方を最大にして、
しばらくの間、僕は頭から湯をかぶっていた。

どしゃ降りの雨の中にいたかった。

僕はトーストと紅茶で、簡単に朝食を済ませた。

例え実亜がいても、朝は起きてこないので、いつもこんな朝食だった。

僕は仕事を終えると、実亜の入院している病院へ向かった。

仕事の場所から、市電に乗ると、10分ぐらいで病院に着いた。

僕は本当に妻に会いに行くのだ。

そう、強く自分に言い聞かせていた


病室に入ると、実亜が僕に飛びついてくるような勢いで「秀ちゃん」と甘えて来た。

隣りの萌子さんが微笑みかけながら会釈をした。

僕も軽く頭を下げた。

実亜はまだ、点滴に繋がれていた。

「大分、腫れが引いたね」

そう言って、実亜のベッドサイドの椅子に座った。

萌子さんは、気を利かしたつもりなのか、部屋から出て行った。

萌子さんの傍にいたかったが、実亜が一緒では、居心地が悪い。

正直言って、出て行ってくれてほっとした。

「ねえ、秀ちゃん、私と萌子さん、似てる?」

唐突な実亜の質問に、僕は慌てた。

「隣りの人のこと良く見ていないから、分からないよ」

やっとの思いで答えた。

「看護師さんたちが、私達2人は似てるって、言うの」

実亜の上目使いで僕を見る目は、あの20年前の冬の日の萌子さんそのものだった。

萌子さんに捨てられて、僕は脱け殻のように、生きていた。

そんな僕の前に実亜が現れた。

一年前だ。

今日のように、雪が降っていた。

ガラスのドアを開け、初めて実亜が店に入って来た時、僕は萌子さんが入って来たのかと思った。

ー例え、どこかで会っても、知らないふりをして。あいさつもしないで。

萌子さんはそう言った。

そんな萌子さんが僕の店に入ってくるはずがない。

その時、そう思った。

それに、実亜は萌子さんより若かった。

長くて綺麗な髪の実亜は、短くカットをしてほしいと、依頼した。

「どのぐらい、お切りしたらよろしいですか」

僕は綺麗な髪をブラシでとかしながら、見とれていた。

綺麗な髪の実亜は、艶だった。

萌子さんも艶だった。

「バッサリと切って」

肩甲骨の下まで延びている髪を手に取って、切るにはもったいないと思った。

でも、客の依頼に従わなくてはならない。

僕がハサミを手に持った。

萌子さんの髪を切った時を思い出していた。

萌子さんは潔かった。

でも、実亜は違っていた。

僕がハサミを入れようとした瞬間だった。

大きな目から、涙をあふれさせ、しまいには顔を手で覆うと、声を出して泣き出したのである。

僕はすっかり途方に暮れてしまった。

でも、僕は実亜を愛おしく思ったのだった。

        続く

最後まで読んでいただき、感謝いたします。
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