日本史メモ 第21回 054 仁明天皇 | 嗅覚障害者の団体を作りたい。 I want to create an organization for people with smell disorders.

嗅覚障害者の団体を作りたい。 I want to create an organization for people with smell disorders.

リトル・ミックスのペリー・エドワーズも同じ嗅覚障害らしいですね。"Perrie Edwards from Little Mix also seems to have the same smell disorder as me, doesn't she?"

(映画『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』予告。東宝公式動画。サムネの右が白楽天、左が空海)

 

第54代天皇 仁明(にんみょう)天皇㊸ 在位期間833年~850年 なお、「㊸」とは、「今上天皇の直系のご先祖様で、直系43代遡る」という意味です。

正良(まさら)親王。嵯峨天皇㊹の子。文徳天皇&光孝天皇㊷&人康(さねやす)親王の父。

810年生まれ。数え24歳で即位。

嵯峨上皇は仁明天皇の次は淳和上皇の子・恒貞(つねさだ)親王が継ぐと決めていたが、840年淳和上皇没・842年嵯峨上皇が没した直後に承和の変(じょうわのへん)が起こり、仁明天皇の子・道康(みちやす)親王(文徳天皇)が皇太子となった。

承和の変では三筆の一人・橘逸勢(たちばなのはやなり)も失脚している。

 

第4皇子・人康(さねやす)親王は、859年数え29歳のころ視覚障碍となり山科に隠遁して視覚障碍者を集め琵琶&管弦&詩歌を教え、872年親王が数え42歳で没したのち側近に検校(けんぎょう)と勾当(こうとう)の官位が与えられたという。日本には鎌倉時代から1868年(明治元年)まで男性視覚障碍者の団体・当道座があり、人康親王は「当道の祖」「座頭・琵琶法師などの祖」と言われている。

 

数え41歳で譲位し、2日後に崩御。

843年フランク王国がヴェルダン条約によって三分割される。

846年唐(とう タン)の詩人・白居易(はくきょい バイ・チュー・イー。白楽天[はくらくてん バイ・ラェ・ティエン]。772年生)が74歳(数え75歳)で没。

白居易の代表作、七言古詩(しちごんこし チー・ヤン・グー・シー)『長恨歌(ちょうごんか チャン・ヘン・グー)』冒頭

漢皇重色思傾国 ハン・ホゥワン・ヂョン・スー、スー・チン・グオ

かんのういろをおもんじてけいこくをおもう。

(口語訳)漢の皇帝は色を好まれ、絶世の美女を求めておいでだった。

(解説)玄宗皇帝(げんそうこうてい シュエン・ゾン・ホゥアン・ディ)楊貴妃(ようきひ ヤン・グイ・フェイ)のエピソードを漢の皇帝の話に置き換えている。平安時代以降の日本文学に影響を与えていて、最も有名なのは紫式部『源氏物語』第1帖「桐壺」

(映画『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』予告。シネマトゥデイ公式動画)

 

白居易の有名な漢詩、七言律詩(しちごんりっし チー・ヤン・リュー・シー)『香炉峰下 新卜山居 草堂初成 偶題東壁(こうろほうか、あらたにさんきょをぼくし、そうどうはじめてなり、たまたまとうへきにだいす シャン・ルー・フォン・シィア、シン・ブー・シャン・チー、ツァオ・タン・チュー・チャン、オウ・ティー・ドン・ビー)(口語訳)香炉峰のふもと、新しく山の中に住居を構えるのにどこがよいか占い、草庵が完成したので、思いつくままに東の壁に題したの4句目

香炉峰雪撥簾看 シャン・ルー・フォン・シゥエ、ボー・リエン・カン

こうろほうのゆきはすだれをかかげてみる。

(口語訳)香炉峰に降る雪はすだれをはね上げて見るのである。

(解説)清少納言『枕草子』第299段or第278段「雪のいと高く降りたるを」で、中宮・定子から「少納言よ、香炉峰の雪、いかならむ」と問いかけられた清少納言が真似をするエピソードで有名。

 

白居易の代表作、七言絶句(しちごんぜっく チー・ヤン・ジュエ・ジュー)『対酒(さけにたいす ドゥイ・ジィウ)』

蝸牛角上争何事 ウー・ニィウ・ジャオ・シャン、チョン・フー・シー

石火光中寄此身 シー・フオ・グゥアン・ヂョン、ジー・ツー・シェン

随富随貧且歓楽 スイ・フー・スイ・ピン、チエ・ファン・ラェ

不開口笑是痴人 ブー・カイ・コウ・シィアオ、シー・チー・レン

かぎゅうかくじょうなにごとをかあらそう。

せっかこうちゅうこのみをよす。

とみにしたがいひんにしたがいしばらくかんらくす。

くちをひらいてわらわざるはこれちじん。

(口語訳)世の中の人は、かたつむりの角の上の小さく狭い所で、一体何を争おうとするのか。

火打ち石の火が発してすぐ消えてしまう、その一瞬の間に人はこの世に生きているようなものだ。

だから、金持ちは金持ちなりに、貧乏人は貧乏人なりに、分に応じて、まあまあしばらく楽しむべきである。

大きな口を開いて笑わない者はバカ者だよ。

 

白居易の漢詩、『耳順吟(じじゅんのぎん アール・シュン・イン)』冒頭

三十四十五欲牽 サン・シー・スー・シー、ウー・ユー・チエン

七十八十百病纏 チー・シー・バー・シー、バイ・ビン・チャン

五十六十卻不惡 ウー・シー・リィウ・シー、チュエ・ブー・ウー

さんじゅうしじゅうはごよくにひかれ、

しちじゅうはちじゅうはひゃくびょうまつわる。

ごじゅうろくじゅうかえってあしからず。

(口語訳)三十四十の頃は五欲(財欲・色欲・飲食欲・名誉欲・睡眠欲)に惑わされ、

七十八十になれば百病にとりつかれる。

だから五十六十はかえって悪くはない年齢なのだ。

(解説)これは孔子(こうし コン・ズ)『論語(ろんご ルン・ユー)』第2章 為政 第2 第4を踏まえたネーミング。

子曰、 ズ・ユエ

吾十有五而志于学。 ウー・シー・ヨウ・ウー・アール、チー・ユー・シュエ

三十而立、 サン・シー・アール、リー

四十而不惑。 スー・シー・アール、ブー・フオ

五十而知天命、 ウー・シー・アール、ヂー・ティエン・ミン

六十而耳順。 リィウ・シー・アール、アール・シュン

七十而従心所欲不踰矩。 チー・シー・アール、ツォン・シン・スオ・ユー、ブー・ユー・ジュー。

しいわく、

われじゅうゆうごにしてがくにこころざす。

さんじゅうにしてたつ、

しじゅうにしてまどわず。

ごじゅうにしててんめいをしる、

ろくじゅうにしてみみしたがう。

しちじゅうにしてこころのほっするところにしたがいてのりをこえず。

(口語訳)孔子先生はおっしゃいました。

「私は15歳のときに学問を志し始めました。

30歳にして独り立ちをし、

40歳で迷うことがなくなりました。

50歳のときに天命を理解し、

60歳のときに人の意見を素直に聞けるようになりました。

70歳のときにやっと自分の思うままに行動しても人の道を踏み外すことがなくなりました。」と。

 

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(雑感)

 

今日のお題は、「李白(りはく リー・バイ)、杜甫(とほ ドゥー・フー)、白居易(はくきょい バイ・チュー・イー。白楽天[はくらくてん バイ・ラェ・ティエン])」という風に、日本でも有名で人気のある中国の詩人・白居易、その特徴である「わかりやすい。多作」です。

まず、「わかりやすい」。

これはもう、『対酒』『耳順吟』を読めば感じますよね。

読んでいて、なんだかホッとします。何しろ漢字だけですし読み順も日本語とは違うので、内容まで難解だったら疲れちゃいますからね。

次に、「多作」。

唐代の詩人の中で作品数が最も多いそうです。現存する文集『白氏文集 はくしもんじゅう バイ・シー・ウェン・ジー』は71巻、詩と文の総数は約3800首とか。平安時代以降、日本人もかなり集めて読んだみたいですね。

というわけで、白居易は、J-POPや演歌のヒット曲を連発させ長い期間活躍した稀代の作詞家のようなタイプ、そんな印象を受けます。

日本で「わかりやすい。多作」の作詞家といえば阿久悠さんでしょうか。

作家やエッセイストだと、逆に「わかりやすい。多作」が当たり前の世界なので、ここで例として挙げるのは違う感じ。

でも池上彰さんは例として挙げて良いかも。政治・経済・科学など難しいことをわかりやすく解説する才能と、その多作っぷりは、稀代の才能と言って良いように思えます。

こうしてみると、「わかりやすい。多作」というのは、それが当たり前の業界だとそんなに大成功ってわけじゃなくて、稀代の才能と評価される業界だと大成功、そんな気がしてきます。

ということは、逆転の発想をすると、「『わかりやすい。多作』、それが稀代の才能と評価される業界」を見つけ出して、自分でやるか、才能ある人と組んで仕事できたら、成功をおさめるチャンス大ってこと。

うーん、何かないかな?思いつきません。ま、暇なときに考えることにします。

 

ところで、「白居易」なのか?「白楽天」なのか?

 

中国人の名前には、姓(せい)と諱(いみな)と字(あざな)、3つのパートがあります。「姓」は「氏(うじ)」、「諱」は「名(な)」とも言います。このうち、字は成人してからつけるパートです。

白(はく バイ)」が姓、「居易(きょい チュー・イー)」が諱、「楽天(らくてん ラェ・ティエン)」が字です。

例えば「曹操孟徳(そうそうもうとく ツァオ・ツァオ・モン・ドゥー)」なら、「曹」が姓、「操」が諱、「孟徳」が字。

普通は、3つのパートを全て合体させても変じゃありません。

でも、「白居易楽天」なんて変ですし、こんな表記は見たことないですよね。

まれにこういう「3つのパートのうち2つしか合体しない」パターンの有名人がいるようで、例えば「項羽(こうう シャン・ユー)」は「項」が姓、「籍(せき ジー)」が諱、「羽」が字で、「姓と字」だけの「項羽」が一般的です。

白楽天」も「項羽」と同じパターンで、別にこれがダメってわけじゃないそうです。

 

結論は「白居易でも白楽天でもOK」。