秦野・塔ノ岳の登山道入り口。緑深い山の息づかいと、土と薪の香りが混ざり合う場所に「克童窯」はある。
ここで四十年以上、炎と向き合い続けてきたのが陶芸家・中島克童さんだ。
中島さんは、日本伝統工芸展で数々の賞を受賞し、日本橋三越や高島屋といった一流百貨店で精力的に作品を発表してきた。端正な造形と確かな技術、そして大胆な挑戦心。そのすべてが、彼を「雲の上の存在」たらしめている。
思えば、出会いからもう30年。長いお付き合いの中で、作品は幾度も目にしてきたが、登窯を訪れるのは今回が初めてだった。
その佇まいは、まるで山の一部であるかのよう。窯口に積まれた薪、黒く焼けた煉瓦の壁、そして微かに残る煙の香りが、長年の時間と労を物語っていた。
「40代、50代は大きな展覧会に挑戦する時期でした。60代になってからは、“工芸”という広い世界の中で、“陶芸”をどう位置づけるかを考えるようになった」と中島さんは静かに語る。
その言葉には、年齢を重ねたからこそ辿り着いた確かな視点と、なお衰えることのない探究心が滲んでいた。
現在、登窯の窯入れは2年に1度、展覧会に合わせて行われる。次の窯入れは来年。
炎が土を変え、作品が生まれるその瞬間を、ぜひこの目で見届けたい。
それはきっと、炎と作家の呼吸がひとつになる、特別な時間になるに違いない。
中島克童HP → https://katsudo-n.sakura.ne.jp/





















