「錬金術師」は存在したか?人気マンガから学ぶ化学 | 2013理科の時事問題をたくさんUP。受験、中学・高校定期テスト向け

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▼「錬金術師」と呼ばれる人は実在したけど…

■人気漫画の元ネタは
ちょっと前に終わってしまったんですが
人気漫画「鋼の錬金術師」という作品があります。
少年誌から大ヒットし、アニメ化、映画化されました。

主人公は「錬金術」という術を使い、
この世の様々な物質の組成を操っています。

マンガの舞台は中世ヨーロッパっぽい雰囲気なんですが、
よく調べてみると 錬金術師と呼ばれた人達は、実在していました。

では漫画の元ネタになったであろう歴史上の「錬金術」について、
言及してみようと思います。

(この記事は、2010年11月、mixiのフレンド限定に配信して
比較的好評だった記事のリライトです。)

■幻の技術
「錬金術」とは、昔~昔 流行った、幻の技術。
ギリシャから始まり、中世ヨーロッパを駆け巡ったそうです。

鉄や鉛や他の物質から「金」を練りだそう
という、夢の研究です。

価値のある「金」を作り出せれば、
大儲けできるからです。

当時の人々は、「金の錬成は可能だ」と信じていました。

そして「錬金術師」と呼ばれる研究者たちが、
様々な化学実験を行って 金を作り出そうとしていました。

■頑張ってみたけど…
結論から言うと、残念ながら「無理」と判明。

当時の技術では、何かと何かを混ぜて熱してみるとか、
あれやこれやと物質をいじくり回すしか研究の手段がなかったでしょう。

色~んな実験をしたものの、、
結局「金」を作りだせなかったそうです。

分かったのは
「他の物質から、金の原子を作り出すことはできない」
という どうにもならない事実。

(※現代のテクノロジーでは、作る事ができるそうです。
でも金1gを作るために、それ以上のコストがかかります。)

■偉大なる副産物
金の錬成にはすべて失敗しましたが、
錬金術師達は、手当たり次第に実験を行っていく中で、
金以外の元素をたくさん発見しました。

中学までの理科で世の中がわかる!

例えば「リン(P)」の発見。
「黄リン」という同素体は 暗闇の中で酸化して光を放つ。

光り輝く「黄リン」を見て、当時の錬金術師ブラントは、

「ひ 光輝く石じゃ!ワシ・・・
ついに賢者の石を発見したぞい!」


と、興奮してしまったそうです。

(「賢者の石」とは、どんな物質でも金に変えてしまう魔法の石とされていました)

でも 黄リンが、他の物質を「金」に変えることありませんでした。

(ガーン 賢者の石じゃなかった)

■元素の「周期表」が作られる
そんな調子で、金は作り出せなかったんですが
新しい元素が次々と発見されていきました。

ある日、「メンデレーエフ」という科学者は
たくさんの元素がランダムに並べられてるのを見て
一定の法則で並べ替えようと考えました。

そういうわけで、おなじみの「元素 周期表」が作られます。
中学までの理科で世の中がわかる!


「水兵リーベ 僕の船・・・・・・」(ハァ…)
と覚えさせられた、アレです。(笑)


■ロマンから生まれた化学の前進
「金を生み出す」というのは、今考えてみれば無謀かもしれません。
でも、研究者のロマンですよね。

結局、金は生み出せなかったのですが、
その他たくさんの元素の発見は
のちの化学研究に大きな前進をもたらしたのです。

重大な発見や科学の進歩というのは、
案外 そんな動機から始まるのかもしれませんね。


参考
サイエンスチャンネル
科学番組「elements ~メンデレーエフの奇妙な棚」
(2)光をもたらすもの~錬金術と元素~
中学までの理科で世の中がわかる!