学校検診でも不正咬合についてチェックされるようになり、お子さんの歯並びやかみ合わせについて気にされる親御さんも増えてきました。
中にはかかりつけ歯科などで「『今のうちから始めたら早く終わるから…』と言われたんです」と焦って相談に来られる親御さんもいらっしゃいます。
ここでまず覚えていていただきたいのは、子どもの矯正歯科治療は多くの場合、早く始めても早く終わるとは限らないということです。
子どもの歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)の生え変わりはある程度時期が決まっていて、親知らず以外の永久歯が全て生えそろうのは中学生くらいです。
歯並びやかみ合わせは、全ての永久歯がしっかり並んで、それぞれの歯がしっかりかみ合ってこそ健康的に長持ちするので、そこまではしっかり治療や管理をしていくのが矯正歯科の役目です。
したがって、早く治療を開始してもその子どもさんの成長が止まってかみ合わせが安定していることを確認するまでは治療や管理が続くことになります。
患者さんや親御さんから歯並びについての相談を受けたら、すぐになんとかしてあげたくなるのが人情…かもしれませんが、やはり歯並びとかみ合わせの専門家である矯正歯科医としては、その子どもさんに最適な時期を見つけて始めたいものです。
子どもの矯正歯科治療を始めるにあたっての大原則は、治療期間や本人の負担をなるべく軽減するために「後からでも改善できることはあまり早くから介入しないこと」です。
早期に着手しないといけない問題は、そのまま放置しておくと今後起こる成長に悪い影響を与えると判断されるもの。
また今改善しておくことで、将来の本格的な矯正歯科の難易度が下がり良好な結果が得られると考えられる場合、また本格矯正の治療期間を短縮することができる場合は早期に着手しておくのが望ましいと思われます。
それ以外のことは早期に着手しても、後々歯の生え変わりや成長とともにまた問題が再発したりするので、最も効果の出やすい最適な時期まで待つことも必要な場合があります。
ただし症状や患者さんの骨格パターンによっては、早く治療を開始したほうがいい場合も少なからずあります。
その判断を的確にするためには、早期に矯正歯科を受診することをオススメします。
お子さんの歯並びやかみ合わせが気になったら受診は早めに、治療開始時期は矯正歯科医に見極めてもらいましょう(^ー^)ノ