避難、気遣い、帰宅...原発事故
今日も、いわき市は朝から晴れ。暑くなりました。
10時の一服(休憩)の時、解体している家屋の持ち主が冷たいお茶の差し入れをしてくれました。
その際、“避難生活”について話が盛り上がりました。
『私ぃ、震災後に(家庭を持つ)息子のとこさ行ったんだけんど、平日はみんな帰りが遅ぐでいいんだけんども、問題は土日。(嫁に)気ぃ遣って居られたもんだねぇ。朝から晩まで出かけっちまった。ホント、実の息子の家とはいえ、肩身が狭がったねぇ。やっぱり、自分の家が一番だぁ』
震災後、親族を頼って家を離れた方がたくさんいます。
しかし、避難先での気遣いに疲れ、自分の家に戻ってくる方も多いということです。
自分の家が一番いい。誰もが思う事です。災害や原発で精神的に追い詰められれば、尚更です。
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避難生活苦に自殺か 川俣・山木屋の50代女性 (福島民報 2011年7月2日)
1日午前8時ごろ、福島第一原発事故の計画的避難区域に設定されている川俣町山木屋の空き地で、50代の女性が倒れているのを通報を受けた消防署員が発見した。女性は全身に焼けた痕があり、すでに死亡していた。福島署は自殺の可能性があるとみて調べている。...(以下、省略)
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この女性は『元の生活がしたい。避難したくない』と近所の人に話していたということです。
原発事故は、“帰る場所があるのに帰れない”という状況を作り出しています。
帰るべき家は残っている。すぐにでも生活を再開させられる状態で待っている,,,でも帰れない、生活をさせてくれない。
住民の心境や如何に。
あきらめきれない。
将来が見えない。
怒りが宙に浮いてしまっている。
避難生活で心が休まらず、その絶望感は日に日に心身を疲れ果てさせてしまうのではないでしょうか。
『ならばいっそ、家のそばで死にたい。自分の生まれ育った、心休まる場所で...』
この女性はこう思ったのではないでしょうか。
原発事故がなければ失わなかったであろうい福島県民の命を無駄にせぬよう、私はできる限りの事をしてゆきたいと思います。
.以上
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*参考
ふくしま... “三重苦”の現実
今日から7月です。
ここ、被災地・いわき市は梅雨時にも関わらず、今日も真夏の日差しと気温でした。
そんな中、今現場では復旧のための作業が、粛々と進められています。
まずは、地震と津波で破壊された家屋の解体。現在、私が就いている作業です。
家主が『解体』の意思を示し、行政(市)が所有権や抵当権有無などを確認した後にようやく解体作業に入ります。
現在、行政は被災者の生活再建や地域経済の立て直しなどに忙殺されて、この確認作業に人員が割けず、解体は遅々として進んでいないというのが現状です
従って、私が担当している地区(中之作)でも、多くの全半壊家屋が未だ多く残っているのが現状です。
次は、津波で“陸揚げ”されてしまった船舶の処理。
3.11に打ち上げられたままだった船が、昨日から巨大クレーンと30名前後のスタッフが動員され作業が開始されました。
海に浮かぶべき形で作られた船を陸で扱う事の難しさが、この作業から分かります。
次は、津波でさらわれたもの探すための海底のヘドロさらい。
「クラブ浚渫船
」が今週の月曜日から港に入り、一日中、休みなく作業か続けられています。
一昨日には、大破した車が二台、“水揚げ”されていました。
*参考:毎日新聞 「釜石で海底瓦礫撤去開始」(2011年5月6日)
*(社)日本作業船協会 http://www.s-jwa.or.jp/index.htmlそして、原子炉建屋カバーの仮組み立て作業。
小名浜の藤原埠頭
で、その作業は行われいます。
このカバー、ご存じの通り、福島第一原子力発電所事故で建屋が水蒸気爆発で破壊された1号機をスッポりと覆うために使われます。
この骨組みは、昨日から分解され、今日終了したようです。
分解されたパーツをいわき市内の東電施設内で再度組み立て、今月上旬に現地に搬入される予定となっています。
*参考:毎日新聞 「1号機用“建屋カバー”の仮組み進む」(2011年6月28日)
3.11から112日目。
しかし、現場は当時の爪痕が残り、未だにあの未曾有の大災害の悲劇を語り続けています。
そして、ここいわき市では、福島が被った(被っている)「地震・津波・原発の三重苦」を、復旧作業を見る者に突き付けています。
ここで仕事をして、生活をすると、この国の政治の愚かさに強く憤るとともに、こんな政治を作り出してしまった私達日本国民の未熟な政治感と投票行動を反省しなければならないと思わざるを得ません。
“ふくしま”は頑張っています。
県民それぞれが、自分の持ち場で、ひたむきに生活をしています。
しかし、この庶民の頑張りだけではどうにもならないことがあります。永田町の政治家は、この事を真剣に考えて、補正予算、関連法改正などを迅速に処理していただきたいと願います。
以上。
『専門施設の早期設置を』...福島民報社 社説より
今日の福島民報・社説から
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「論説 全県民健康調査『専門施設の早期設置を』」 (福島民報 2011年6月30日)
東京電力福島第一原発事故を受けた県の全県民健康管理調査が27日から始まった。202万人余を対象に数十年にわたる大規模な調査となる。円滑な検査や効果的な研究、医療を進めるには専門機関・施設の県内設置が不可欠だ。県は陣容や業務内容、場所などの検討を急ぎ、早期実現に向けて国などへの働き掛けを強めるべきだ。...(以下、省略)
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この専門施設、私は“研究機関を併設した病院”であるべきだと考えています。
*参考:小生ブログ 「“福島放射線医学専門病院”の設置を!」
事は急がなければなりません。
症状が目に見える「急性放射線障害」ではない、出る症状もいつ発症するかも分からない「低線量被ばく」。福島県民は大きな不安を感じ、生活に大きな影響を与えていますが、“見えない”がために、時間の経過とともに、この“健康被害への不安”の世論は沈静化する可能性があります。
沈静化すれば、「健診は移動式のホールボディカウンター(参考:毎日新聞
)で事足りる」「健康管理の拠点は、福島県立医大でいいじゃないか」「人員が少なければ、放医研
でいいじゃないか」となりかねません。
こうなれば、福島県民202万人の健康管理という膨大な業務が、既存施設で“片手間”として扱われることになります。県立医大、広島大
、長崎大
、放医研、放影研
など放射線医療のノウハウを持つ施設で分担されれば、一元管理ができないばかりか、責任が散在してしまいます。
また、不幸にも「後障害」(参考:広島市HP )や「晩発障害」(参考:緊急被ばく医療研修HP )が発症した場合、原発事故と低線量被ばくの影響だと診断し、医療費などを個人に帰するのではなく政府や東電の補償とするなどの仕組みが必要になります。この場合、関係機関が複数にまたがり、それぞれが“片手間”でやっていたのでは、対応が遅くなるばかりか、“転向”した政府や東電に補償を拒絶されないともかぎりません。
やはり、専門の研究機関+病院が必要なのです。
気になるのは、福島県の関係者の動きです。
県民の多くが放射線に対する健康不安を抱え、最大の関心事となっているのにも関わらず、この“専門機関の設置”を声高に叫ぶ政治、行政の人間がほとんどいません。
「線量測定」や「除染」、「風評被害対策」には積極的に関わっても、“病院を作れ!”とはなっていません。
今表に出ていない(発症)していない健康被害に対して手は打てない、ということか。
もしくは、長期的に“東電の責任”が追及され続ける拠点となる専門施設を作る事を意図的に避けているのか。
ご存じの通り、福島県は東京電力の恩恵を受けた・受け続けている関係者が多くいます。
その利害関係者にとって、東電が弱ること、原発が無くなることは避けたいのではないか、と勘繰りたくなるほど、“専門機関設置”の機運は盛り上がっていません。
となれば、尚更、この“専門機関”の構想と建設を急がなければなりません。
国会に提出されている二次補正予算が成立すれば、福島県が自由に使える1000億円の基金が設立されることになります。
*参考:小生ブログ 「福島県県民健康調査 1000億円基金」
また、復興構想会議の第一次提言(PDF )にも「福島への放射線医療拠点の設置」が盛り込まれています。
*参考:福島民友新聞 「本県に放射線医療拠点 復興構想会議で一致」(2011年6月23日)
財源はあります。
専門家からの提言もあります。
あとは、政治の推進力と行政の実現力です。
必ず、作ってもらいたい。
福島県民の低線量被ばくの不安を包み込む専門機関(病院)を。
低線量被ばくが引き起こす「後障害」「晩発性疾患」を研究する専門機関(研究所)を。
そして、原発事故を後世に、世界に伝え続ける“モニュメント”としての機能を果たす専門機関を。
私も、故郷・福島のため、ここに暮らす親兄弟、知人・友人のため、この「専門機関」の設置に微力ながら助力したいと思います。
.以上
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*追記(2013年2月11日)
◆福島民報:放医研福医大に研究拠点 外部で初27年度にも 専門家や医師駐在
(2013年2月11日)
独立行政法人放射線医学総合研究所(放医研)=千葉市=の研究拠点が、福島医大の「ふくしま国際医療科学センター」内に早ければ平成27年度にも開設される。放医研は高度な放射線量分析や除染、診療を担う3次被ばく医療機関で、研究所以外の拠点は初めて。...(以下、省略)
※放射線医学総合研究所(放医研)
昭和32年に千葉市に国立研究所として開設された放射線医学に関する総合研究所。現在は独立行政法人。放射線の人体への影響に関する研究、放射線障害の診療などを行っている。国が指定する国内2カ所の3次被ばく医療機関の一つで、重篤な被ばく患者の診療、さまざまな放射性物質の核種分析などに対応する。放射線の研究者、物理学者、医師らがいる。放射線防護研究センター、緊急被ばく医療研究センターなどを備える。





