一時帰宅中の不幸
『日曜、(一時帰宅の集合場所となる)馬事公苑にいたんだけど、一人帰ってこねぇ帰ってこねぇって大騒ぎしてたんだ。だから、人はいねぇんだげっど、何人か探しにいったんだ』
『俺は一時帰宅にいってたんだけんど、街中に救急車がいて、誰か気分でも悪くなって運ばれっちまったのがと思ってたんだぁ』
『あれ、結局死んじまったんだべ?』
『そうだ』
『どうしちまったんだ?』
『わがんねけど、一時帰宅でなんでそんなことすんだっぺ。まいっちまぁ。』
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...今日、現場で仕事仲間がこんな会話をいていた。
話の内容は、この記事の事だ。
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◇福島民友:不明男性、遺体で発見 避難生活を苦に自殺か
(2012年5月29日)
東京電力福島第1原発事故に伴い警戒区域となった浪江町で27日、一時帰宅中に行方不明となっていた自営業男性(62)は28日、男性所有の同町権現堂の倉庫内で遺体で発見された。...(以下、省略)
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同じ境遇でありながら、同僚はこの死を、どちらかというと、突き放して話していた。
私はこの話を聞きながら、『薄情な』と思ったが、彼の表情を見て改めた。
悪意の無い表情だった。他人の事に関心を寄せる余裕などない、といった感じがした。
...避難された方々は、互いに、住み慣れた土地を家を追われ、未だ先の見えない落ち着かない日々を送っている。
原発事故、強制避難、仮設(借り上げ)住宅住まい、町の分裂、100km以上離れた町役場、定まらない今後...だだなんとなく過ごすことは許されず、生活の端々に“避難生活由来の障害”が顔を出すよう環境で彼等は生きている。
自ら、もしくは家族、身内の生活の維持に相当な力を割かなければならない。
他人の生き死にさえにも同情を寄せ、感傷に浸る余裕はないのではないだろうか、私はそう思った。
未だに続く「一時帰宅」。
家を追われ、避難された方々が非日常的な生活を14カ月以上も強いられていることを思い知らされる。
『なんで自分の家に帰るのに、時間が決まっているんだ』
『なんで自分の家に帰るのに、いちいち警察に免許証をみせなければならねんだ』
この言葉を発する彼らが受け続けている不合理。
避難された方々の心中、推して知るべきだと肝に銘じた出来事だった
【只見線】復旧を願う
『被災直後なら一部の復旧は可能だった。時間がたつほど列車が走らない事が日常化していき、運転再開が難しくなる』(高山文彦氏 高千穂あまてらす鉄道社長、2011年6月11日付け朝日新聞より引用)
「(2005年の)台風→土砂崩れ、鉄路流失→運休→廃線」となった宮崎県にあるJR高千穂線。
2008年12月に廃線が確定した後も、この路線の運転再開に向けた活動をされている高山さんの言葉は重く、意味深い。
*写真は全て「高千穂鉄道跡地」(撮影:2010年7月23日、筆者撮影)
昨年の「平成23年7月新潟・福島豪雨」で複数の橋桁が流され、一部不通となっているJR只見線。
鉄道ファンには言わずと知れた、会津若松市と新潟県小出市を結ぶ、全長135kmのローカル線だ。
*参照:只見町観光まちづくり協会
県は昨日、JR東日本に対して早期の全線復旧を求める要望書を提出した。
*出処:福島民報 本日付け紙面より
「住民の生活の足であり、観光交流を含めた地域振興のための需要な社会基盤」
県は、只見線をこのように位置付けている。
しかし、JR東日本はこの赤字路線の全線復旧に後ろ向きだ。
私は、全線復旧を強く望む。
豪雪地帯の貴重な交通機関であり、何より南会津・只見地域の観光資源として重要だと思うからだ。
利用者増の対策として、昔から言われているのが、新潟側の発着駅を上越新幹線が停車する「浦佐」駅にする事だ。
JR東日本は難色を示し続けているようだが、小出から二駅東京寄りという環境を考えれば、不可能ではないと思う。
浦佐が発着駅となれば、新幹線→只見線という観光プランも立てやすくなると思う。
さらに、たとえば企業に対して「只見線 会議列車」なるものを提案し、大自然を走る列車の中で会議をしてもらい、そのまま会津に泊まってもらうか、途中で列車を折り返しさせ、その中で宴席をはってもらう。
都会のビルの中で行う会議より、大自然と列車の規則正しい音の効果で、アイディア噴出が期待できる、かもしれない。
また、すでに行われている「SL」や「トロッコ列車」については、春・夏休み期間中は毎日運行する(SL)、絶景ポイントでの徐行運転・停止の時間や回数を増やす(トロッコ列車)などが考えられる。
雪に閉ざされ移動手段を失う住民を出さないためにも、観光路線として盛り上げ利用客を増やす必要がある。
只見線には鉄道ファンだけにとどまらない、多くの人を引き付ける価値があると私は思う。
沿線自治体と福島県、そして新潟県が手を携え、只見線の全線復旧に力を注いで欲しいと思う。
*「只見線」被害状況
◆金山町
・町ホームページ(http://www.town.kaneyama.fukushima.jp/soshiki/54/tetudou.html )
・観光情報センターOASISのブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/okuaizu_oasis/5375284.html )
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*「新潟・福島豪雨」被害状況
◆内閣府 :「平成23年7月新潟・福島豪雨による被害状況等について 」
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*参考
◆只見町 「町政意向アンケート 」
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*参考記事
◆朝日新聞 2011年6月12日 紙面より
...本稿文頭の高山氏のコメントは下の記事から引用。
◆福島民友 2012年10月28日付け 紙面より
...観光列車。「新潟・福島豪雨」前は会津若松~只見間に夏と秋に運行されていたが、現在は秋の紅葉シーズンのみとなっている。
*追記(2013年2月2日)
◆福島民報:只見線の対策検討チームが発足 復旧策を初協議
(2013年2月2日)
JR只見線の全線復旧に向けた県の対策検討チームは1日、発足した。県庁で同日、初会合を開き、全線復旧を後押しする方策を協議した。
検討チームは企画調整、生活環境、商工労働、土木の各部の課長7人で構成した。...(以下、省略)
*追記(2013年3月7日)
◆福島民友:復旧試算、5月連休明け 豪雨被災で一部不通の只見線
(2013年3月7日)
新潟・福島豪雨で被災しJR只見線の会津川口―只見間が不通になっている問題で、JR東日本が復旧費用の試算結果を示すのは5月の大型連休明けになる見通しであることが6日、分かった。...(以下、省略)
*追記(2013年9月25日)
◆福島民報 2013年9月25日付け 一面より
...復旧資金の確保に向け、現実的な方策だと思う。
同時に、県には“利用者増加”の具体的な施策を県内外に発信して欲しい。
*追記(2014年1月23日)
◆福島民報 2014年1月23日付け 紙面より
...“復旧検討委員会”第一回会合。
事業者(JR東日本)は当然のことながら採算性を強調し、国は基本的には民間で現行法では対応不可としている。ボールは県、周辺自治体にあるようだ。
東京からの周遊列車(参考にすべきはJR九州の「ななつ星」 )の運行を計画し、“つなが”っている只見線の価値を高めるのも一案だと思う。



