息子だけ残して死ねないと...
痛ましい事件が起こってしまった。
◆福島民報:母親が小6長男殺害容疑 二本松署逮捕 卒業式の朝「自分も死のうと」
(2013年3月24日)
22日に福島県二本松市油井のアパートで、油井小6年の渡辺青空(せいら)君(12)が遺体で見つかった事件で、二本松署は23日午前6時半ごろ、殺人の疑いで同居する母親の無職渡辺みゆき容疑者(33)を逮捕した。 ...(以下、省略)
母親は「生活が苦しかった」と供述しているという。
生活苦だけで我が子を殺してしまうのか。私は耳を疑った。
そこまで追い詰められてしまったのか。助けを求めることができなかったのか。
小学校の卒業式の朝。亡くなった青空君は過ぎ去った6年間の思い出と来るべき中学校3年間への期待で頭の中は一杯だったであろう。そんな彼が唯一の親である母親の手に掛かって命を奪われてしまった。心が痛い。悲しい。
手を掛けた母親も、追い詰められたとはいえ、冷たくなった息子を目の前にして彼女しか分からぬであろう想いを抱いたであろう。
母子家庭に育った人間として、この事件は辛い。
...この事件に接して、私が思うのは、同じことを繰り返してはいけないということだ。
家庭の状況を、外部の人間が理解するのは難しい。
他人とは関わらない家庭が、困ったときにSOSを発するのは難しい。
で、あるならば"他人と関わらなくてもいいから、困ったら追い詰められた、自発的に駆け込める"制度や場所が必要だ。
「駆け込み寺」や「シェルター」など、任意団体やNPOなどが運営しているものもあるが、数が少ないや偏在しているなどの問題があると思う。
またおカネの問題だと、対応できない施設もあると聞く。
助けが必要な人が『あそこに行けば何とかなる』と理解し、普段の生活で目にするような敷居の低いものでなければならない。
『他人を頼るな』、『もっと努力しろ』と言い放って済む時代は終わったと思う。
ちょっと相談に乗ったり、軽く背中を押してあげるだけで自分に鞭を打ち、自分の力で進みだす人は少なくないと私は思っている。
だから、この"ちょっと"と"軽く"という周囲・社会の行為が自然と行われる文化や雰囲気が必要な時代になった。
上に挙げた制度や場所は、その文化を雰囲気を作るためのものだ。
国や自治体は医療・介護費、社会保障費の増大で、このような"気持ちをすくう"事業への予算配分は難しいと思う。
しかし、この事業は広い意味での社会保障だ。
このような家庭内の事件は、制度とそこから派生する文化(雰囲気)で防げるはずだ。
痛ましい事件を起こさないためにも、政治行政の積極的な働きが必要だ。
*参考
◆読売新聞:息子だけ残して死ねないと…小6長男殺害の母親
(2013年3月23日)
福島県二本松市のアパートで、小学6年の男児が母親に殺害された事件で、23日に殺人容疑で逮捕された同市油井、無職渡辺みゆき容疑者(33)が福島県警二本松署の調べに対し、「生活が苦しくて自殺しようと思った。2人暮らしなので息子だけ残して死ねないと思い、殺した」と...(以下、省略)
◆毎日新聞:福島・小6殺害:「生活苦しく…」逮捕の母親供述
(2013年3月24日)
長男を殺害したとして殺人容疑で逮捕された福島県二本松市油井の無職、渡辺みゆき容疑者(33)が「生活が苦しく、子どもと一緒に死のうと思った」と供述していることが23日、県警二本松署への取材で分かった。...(以下、省略)
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*追記(2014年3月1日)
◆福島民報 2014年3月1日付け 紙面より
...地裁判決。執行猶予で地検は控訴しない方針。しかし、この事件が投げかけた問題は解決せぬまま。
『周囲の支援がなく、精神的に追い詰められた末の犯行。被告のみを責めるのは酷だ』(罪状理由、記事本文より)


