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本 『英国のダービーマッチ』

2007年5月5日土曜日、オールドファームで中村俊輔がレンジャース相手に奮闘しているその時、観客席でなにが起きていたか。
そしてその100年前のオールドファームではなにが起きていたかを記すのが本書。

フットボールの同じ地域にあるチーム同士の対戦『ダービー』はいつだって特別だ。
ではいつから特別なのかと訊かれて答えられる人がいるだろうか。
もちろんそれは選ばれるチームによって、地域によって変わってくるし、あるチームを熱烈にサポートする人にはライバルについて詳しく答えられるかもしれない。

しかし「ダービーマッチは偉大な試合である」何故か?と疑問を持ったら本書を読むべきだ。

ある場所では二つのチームは社会階層によって隔てられているし、宗教対立が根底にあることもある。
政治や民族が絡む場合もある。
だが現在に至ればそれらを理由にしたチーム同士の対立は要素ではあるが全てではない。

サイモン・クーパーが序文でのべるようにトッテナムとアーセナルのライバルチームのファン同士に違いを見つけるのは難しい。
「出身も、宗教も、社会階層もなにもかも、二つのクラブのどちらかのファンになるのかを決める決定的な要素が見あたらない」
「───どちらを応援するかを決めるのは、むしろ偶然のなりゆきからだと思われた」
だというのならダービーマッチをダービーマッチたらしめるもの、つまりファン同士のライバル感情はどうして生まれるのだろう。

グラスゴーにある二つのチームのうちセルティックはアイルランド移民の作ったアイルランド系カトリックのチーム、レンジャースは王室擁護派のスコットランド人によるプロテスタントのチームという見方はサッカーファンにはお馴染みだ。
現在は大きな暴動まで見られないのだが80年代までは普通にあった暴力騒ぎや、殺人事件に発展した両チームのライバル関係は、サッカーを超えたところにあった宗教対立が背景にあるからではないか。自分も含めそう信じ込まされてきた人は多いだろう。

だが、著者は「───という一般に信じられている説が、あまりにも単純すぎないか、と不安だ。レンジャースがプロテスタントのクラブであり、セルティックがカトリックだと決めつけるには、両クラブの歴史にいろいろなことが多くありすぎる。そう断定してしまえば、スコットランド人気質の深いところにある、微妙な機微や例外や矛盾の多くを無視してしまうことになりかねない。」と、書く。

十九世紀半ばのアイルランド大飢饉は英国治世下の英国政府の責任だと説き、十六世紀のヨーロッパ全土の宗教改革はスコットランドで特に顕著であったとする。
これらが(これだけではもちろんないし、これだけではないという部分が本書のキモだ)アイルランド難民の差別へ繋がり、スコットランドのマイノリティーだったアイルランド系移民のチームとして出発したセルティックに、スコットランド人の目はすこぶる厳しく、セルティックより後にできたレンジャースが彼らを敵と定める大きな理由になっているとする。

また著者は驚くべきことに宗教と両クラブが強く結びつけられるようになったのはクラブ創設から半世紀も経つ頃だとしている。
それは二つの大戦に挟まれた経済不況の時期であり、つまるところ経済の困窮が民族や宗教を背景にした対立を先鋭化させたのだ。

そして二つのクラブのライバル関係は現在において変容しつつも保たれている。
不思議なことに例えば現在セルティックには伝統的なカトリックの選手だけでなく、ブッディストはいたしプロテスタントだっているのにだ。
レンジャースには黒人選手もいればイタリア人のカトリック選手だっていた。監督がカトリックだったこともあるのにだ。

しかしそれでも2007年のオールドファームダービーにはセルティック側スタンドで「星と鋤が入った───今はないアイルランド解放軍のシンボルの旗」が振り回されていたりする。

奇妙な矛盾である。

セルティックが何故ボーイズという愛称で呼ばれるようになったか、「オールドファーム」とはなにか、レンジャースがカトリックの選手を締め出しただけでなく、カトリックのスタッフや従業員も雇わないと決めたのは何故か。そしてその慣例を破ったのはどうしてか。

レンジャースの欧州カップウィナーズカップの栄光やセルティックの欧州チャンピオンズカップの栄光、60~70年代にかける暴動の続発、教会の地位低下とそれに伴った雇用差別のゆっくりとした解消。
グレアム・スーネスやモーリス・【モー】・ジョンストンがクラブとそのファンに与えた影響。
様々な角度から縦横に語られる『ダービーマッチ』の魅力が素晴らしい。

ただし、この本は実はグラスゴーダービーを扱っただけのものではない。
確かに50ページ以上に及ぶオールドファームダービーは本書のハイライトであろうが、他に、
シェフィールド、バーミンガム、ノースロンドン、マンチェスター、リヴァプール、エジンバラ、タインアンドウィアの各章がある。
どの章も丹念な取材に根ざした丁寧な文章を堪能できる。
ついでにいえば訳者も熱烈なサッカーファンだったりする。サッカーファンを自認するなら必読の一冊だ。
英国のダービーマッチ/ダグラス ビーティ

¥2,835
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横浜F・マリノス-FC東京 1-2

この時期になると0円提示が話題に上りますね。
いわゆる来季の契約提示が0円、つまり戦力外通告。

よってベテラン選手は気を吐いてプレーしないといけない時期。
必然的に選手層やクラブの歴史までもが試されるわけです。

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横浜F・マリノス-FC東京 1-2

前節試合中に栗原が全治4~6週間の内転筋肉離れで離脱、練習中中澤が左膝内側側副靭帯損、狩野が右ハムストリングス肉離れ。いずれも4~6週間の離脱。

スタメン 横浜       東京

  山瀬  小野       平山  大黒

    中村        石川    羽生
 兵藤    清水
    松田         米本  梶山

田中 小椋 波戸 天野  中村 今野 徳永 椋原

    飯倉           権田

最終ラインが大幅に入れ代わります。
しかもいずれも本職ではなく高さがない。
不安を持ったまま試合に入らざるを得ませんでしたね。

試合開始から東京がハードチェック。
横浜は慣れないメンツで中盤もたつく場面多し。
4分、シュンスケが自陣深い位置で米本につつかれボールロスト、このこぼれ球が平山の足下に行くとミドルレンジからダイレクトでシュート。グランダーが右隅に決まってFC東京が先制。
ここ数試合の横浜は立ち上がりがおっかなびっくりというか、様子見しながら入ることが多くてハードチェックを受けると後手に回ることが多いです。

この失点は結果だけみれば事故みたいなものだし、平山がよくできていたということかもしれないけど防げないものではなかったと思う。ちょっと残念。

9分石川が左サイド単独突破、ボックス内平山にパスして右足でシュート。これは飯倉の守備範囲。

このあとは徐々にペースがマリノスに。
まず東京のハードなプレーに岡田主審が細かく笛を吹いたのと(岡田さんですからね)、大熊監督がさかんに自ゴール付近でのファールを避けろと指示していたのが原因と思われます。
体重は後ろに傾きリトリートで引き気味。

15分過ぎから完全にマリノスペース。
メディアで絶賛されていた米本でしたが実際みてみるとシュンスケとのやり合いは五分五分といった感じです。
全体が押し下がるとマリノスの激しいポジションチェンジを掴まえきれず特にバイタルにスペースが多かったです。
ここからシュンスケのミドルシュートやサイドへのスルーパス、クロスから小野のヘディングシュートなど。また、小野からシュンスケにスルーパス、角度のないところからファーにシュートを狙うも外します。これが31分。

再三チャンスを作るも決めきれず前半終了。

後半。

マリノスの立ち上がりは上々。
攻守の切り替えを意識して下がられる前にカウンターが功を奏していました。
8分細かいパス交換から山瀬がボックス内でチャンス、シュートを打てずに米本?に詰められてブロックされるとその直後に山瀬から端戸へ交代。

なかなかシビアな采配でした。

しかし交代直後14分端戸が3人に囲まれながら高いテクニックを発揮して右サイドを駆け上がった天野にスルーパス。
天野がグランダーでクロスを上げるとファーから走り込んだ小野がゴール。
同点。

ここからマリノスはハイペースでチャンスを作り逆転の匂いを漂わせるものの東京の粘りの守備にあってゴール奪えず。
お互い運動量が増えて20分ぐらいからは延長戦のような消耗した試合になりました。
縦への展開が早く、最終ラインの押し上げが間に合わないので間延びして中盤のスペースが生まれるという状況。

32分松田→河合。
この交代はこの時点では理にかなっているように思いました。
中盤に広大なスペースが生まれていてそこでの攻防というか、クリアボールの拾いあいに勝たないと厳しい展開になると見えましたから。

ただ、結果的には裏目に出ます。
東京の左サイドに流れた平山がカウンターで抜け出しリカルジーニョとワンツー。
ボックス内45度の位置からダイレクトで右足グランダー。
ファーに決まって勝ち越し。
最初のゴールもこのゴールも飯倉はノーチャンスでした。

いずれの場面も波戸のカバーが遅れているのが厳密に言えば原因かと思います。
ここでスピードが衰えたベテランに頼らなければいけない台所事情は苦しいですね。
まあ、金井がどうしようもない謹慎の身なのでクラブとしては致し方なしかな。

勝ちこされて即座にアーリアを投入して反撃を試みるも、セットプレーでいくつか惜しい場面があったぐらいできっちり守りきられました。

残留をかけるFC東京は必死に向かってきていたし、それを受け止めてオープンながらフェアないい試合だったと思います。
ただマリノスに後半戦で培っていた本来の力があれば勝てたようにも思います。


次はアウェーでセレッソ大阪戦。
勝ち点差1、4位と7位の直接対決なのでなにがなんでも勝たないといけません。
ナイスゲームを期待です。

吉祥寺に見る夢

吉祥寺に吉祥寺はないというのは少しばかり知られた話だと思うのですが、元を質せば太田道灌に行き着くらしい。

あの江戸城を築城した、山吹伝説の、小机城を討ち落とした、死に際で歌を詠み、落語にもなるあの太田道灌。

長禄二年(1458)太田左衛門大夫持資(道灌)が平山城(江戸城)築城に際して井戸を掘ると「吉祥増上」と刻銘された金印出流る。
そこで道灌、これを吉祥とし城内に寺院を建立『吉祥庵』と名付けたと。

しかしこの寺院、またあの明暦の大火で院が消失すると駒込に移転。

立派にも発展して、現在の駒澤大学の元になる学僧寮「旃檀林」が境内に立てられるなど、江戸学問の中心地になったそう。

え、駒込?ですね。
豊島区駒込と武蔵野市吉祥寺では随分距離が離れてます。

この謎、別にたいそうなものでもなく、大火の後江戸の都市改造が始まり、吉祥寺周辺に住んでいた町人たちが追われるように武蔵野市へ移転、当地を開墾して「吉祥寺村」と名付けたのが今の吉祥寺。


昨日は昼過ぎに駅前からファストフード→カラオケと移動。

商店街のアーケード内をブラブラして吉祥通りのTOKYUを横目に路地へ入り、キチムという多目的スペース内のカフェレストランに。

ボブ・マーリー風の人が給仕をしていたり、併設されたマッサージ店からアロマが香ってきたり。
全体に無国籍な雰囲気。
次の日から始まるギャラリーの作業を淡々と進めるアーティストのド隣りで食事。
テーブルはゆったり、椅子は木製で堅い。

お茶類充実。酒は少々。
一工夫の隠し味が乗った料理が熱々のまま提供されるのが極上。
トマト美味し。

アーティスト(クラムボン)姉妹がプロデュースしたお店はきっと夢に見た夢を詰め込んだのでしょう。

300年前江戸本郷元町を追い出された佐藤定右衛門と宮崎甚右衛門の夢によってできたその町は、現代人の夢まで実現してくれるスペイスとしてこれからも続くという。