ジャスト日本です。
プロレスの見方は多種多様、千差万別だと私は考えています。
かつて落語家・立川談志さんは「落語とは人間の業の肯定である」という名言を残しています。
プロレスもまた色々とあって人間の業を肯定してしまうジャンルなのかなとよく思うのです。
プロレスとは何か?
その答えは人間の指紋の数ほど違うものだと私は考えています。
そんなプロレスを愛する皆さんにスポットを当て、プロレスへの想いをお伺いして、記事としてまとめてみたいと思うようになりました。
有名無名問わず、さまざまな分野から私、ジャスト日本が「この人の話を聞きたい」と強く思う個人的に気になるプロレスファンの方に、プロレスをテーマに色々とお聞きするインタビュー企画。
それが「私とプロレス」です。
フリー活動を経て、1999年に劇団桃唄309へ入団。以後、主要な役を演じ続ける。
嶋村さんといえば、バランスの良い身体とちょっぴり甘いマスクを活かした、「エセかっこいい」役が好評を得て、シリアス、コメデイどちらの世界にも自然に溶け込み、存在感を発揮している舞台や映像の世界でも活躍されている俳優さんです。実は大のプロレスファンということで「私とプロレス」にご登場いただきました。
是非、ご覧ください!
プロレスと演劇 感情のやりとりの美学
── 次はプロレスと演劇の話。嶋村さんは俳優として「間」を大事にされてますか? プロレスでも、技の合間や繋ぎ方に選手のセンスが出ますよね。どんな共通点を感じますか?
嶋村さん 難しい質問ですね(笑)。レスラーじゃないので想像の範囲ですが、プロレスの「間」は、選手の感情や個性が現れる瞬間で、めっちゃ大事だと思いますね 。演技 でも「間」は重要なんですけど、ただ間を取るだけだと、テクニックで終わっちゃう気がします。 いつも、お芝居で意識してるのは、相手の俳優さんと向き合った時に生まれる「感情の揺れ」です。自分で感情を作るんじゃなくて、相手に動かされることで、よりリアルで大きな感情が生まれるんだ と思います。 プロレスも、相手の技を受けて次のアクションが生まれますよね。そこが似てる気がします。 。
── なるほど! 石井智宏選手が柴田勝頼選手とやると目の色が変わるみたいな、相手が引き出す感情ですよね。プロレスと演劇、めっちゃリンクしてますね。
嶋村さん そうですね! 橋本さんが長州力さんとやると、キックがいつもより鋭くなるみたいな。あれ、感情の爆発ですよね。演劇も、相手の芝居に反応して初めてリアルな感情が生まれる。そこが、プロレスと演劇の共通点だと思います。
── プロレスと演劇の「相手あってのもの」って、めっちゃ深いです。一人芝居はどうなんですか? プロレスで言えば、仮想の相手との試合みたいな?
嶋村さん 確かにそうかもしれないです。一人芝居は、仮想の相手を脳内で作ってやりとりするから、ちょっとイビツかもしれないけど、同じ原理じゃないでしょうか 。
── プロレス見てて、試合結果よりレスラーの感情が動く瞬間が記憶に残るって言ってましたよね。
嶋村さん はい。試合の攻防より、レスラーの感情が爆発するシーンが焼き付いてるんです。とは言いつつも、リングや舞台って、観客との距離感も大事なのかなと。プロレスは観客の声援やブーイングが選手の感情に影響するし、演劇も観客の空気が芝居に影響する。どっちも、生き物みたいな空間で、そこで生まれる感情が一番の魅力だと思います 。
── 生き物みたいな空間! めっちゃいい表現ですね。
嶋村さんの好きな名勝負三選
── では、嶋村さんの好きなプロレス名勝負を3つ教えてください。選ぶの大変でしたか?(笑)
嶋村さん ハハハ、めっちゃ悩みましたよ(笑)1つ目は、2009年11月20日大日本プロレス後楽園ホール、葛西純対伊東竜二のデスマッチ。リアルタイムじゃなくて、後でYouTubeで見たんですけど、試合後の伊藤さんの満面の笑みが忘れられない。葛西さんが引退を考えてる時に、伊藤さんが「楽しかったな、お前やめるつもりじゃねえだろ」って言って、葛西さんが「膝が壊れてもやってやる」って返す。その時の伊藤さんの笑顔が、プロレス史上最高の笑顔だと思うんです。
── あの笑顔! 伊東さんが葛西さんのすべてを受け止めたからこその試合ですよね。葛西さん視点で語られることが多いけど、伊東さんの笑顔にフォーカスするの、めっちゃ新鮮です!
嶋村さん 伊東さんが葛西さんを全部受け止めたから、あの試合が生まれたんでしょうね 。その後、大井町のお祭りで大日本がプロレスが試合するって知って、伊東さん観たくて、飛んで行きました。 リングサイドで、夏祭りの子供たちと一緒に応援 したんです(笑)。あの笑顔、ほんとプロレスの魔法だと思う。
── いいエピソードです! 2試合目は?
嶋村さん 2つ目は、2023年7月15日プロレスリングノア後楽園ホール大会で行われた宮原健斗対中嶋勝彦です。健介オフィスの3人(宮原、中嶋、マサ北宮)の複雑な関係性がリングに映し出されて、登場人物全員がいい仕事されてて 。チケット瞬殺の後楽園で、実況の塩野さんも感情が昂っていた気もしましたし、ゲストのマサ北宮さんが最高で、北宮さんが最初は冷たくて、試合が進むにつれて2人に心を開いていく過程が、感情のリアルさで胸を打ちました 。ランディー・サベージ対天龍源一郎戦みたいな、テレビプロレスの黄金期を思わせる試合でした 。
── あの試合! 3人のギクシャクした関係がめっちゃ面白かったですよね。
嶋村さん 試合の攻防もそうですが 、なによりテレビ画面に浮かび上がってくる登場人物の感情の昂り、もつれ具合 が印象的で 。テレビプロレス 、ほんと大好きなんです 。さっきの伊藤対葛西も、放送席の登坂さんと須山さんの、気持ちの入った喋りが素晴らしかったなぁ。
── 3試合目は?
嶋村さん 3つ目は、2019年10月14日の新日本プロレス両国国技館、獣神サンダー・ライガー対鈴木みのる戦。ライガーさんの引退ロードの一戦で、17年にわたるパンクラスからの因縁の決着戦でした。試合後の鈴木さんがライガーに座礼をして感謝を伝えて、ライガーさんがマイクで「鈴木、ありがとう」と語ったのが、プロレスの理屈を超えた感動を生みましたよね。大河ドラマのような試合で、感情の揺れが今でも心に響いています。
── あれ、ほんと泣けました! 鈴木さんがライガーさんにぶつけた想い、ライガーさんが受け止めた瞬間、ほんと大河ドラマ。ライガーさんの最後の試合(2020年1月5日・東京ドーム)は佐野直喜さんとのタッグだったけど、この試合が引退試合のイメージですよね。
嶋村さん そう、佐野さんとの試合は覚えてなくて、鈴木さんとの試合が引退試合みたいに感じました 。感情の爆発がすごかったんでしょうね 。
── 3つのチョイス、めっちゃバランスいい! 葛西対伊藤の笑顔、宮原対中嶋の関係性、ライガー対鈴木の因縁。感情の物語が軸になってて、嶋村さんらしいなって思います。
あなたにとってプロレスとは?
── 今後の予定について教えてください。舞台やプロレス観戦の予定は?
嶋村さん 9月に舞台と朗読劇の2本に出演予定です。8月は稽古で忙しくて、プロレス観戦はちょっとお休みかもしれないけど(笑)、舞台での表現にプロレスの感情のやりとりを活かしたいですね。今後も 俳優として深みを追求していきたいです。プロモーション情報はまたお送りしますので、ぜひチェックしてください!
── ありがとうございます。では最後の質問です。嶋村さんにとって、プロレスとは何ですか?
嶋村さん うわ、めっちゃ難しい(笑)。プロレスは、僕にとって「一生の呪い」かな。一回離れたけど、2012年にオカダのレインメーカーショックで戻ってきて、「今度こそ一生見続ける」って自分に誓ったんです。2013年の東京ドームで、中邑真輔選手を一心不乱に応援する女の子を見て、子供の頃の純粋な気持ちを思い出したんです。あの時の自分に戻りたいって思って、今は情報や先入観を入れずに、レスラーの感情をそのまま受け止めるようにしてます 。プロレスは、リング上で人間性が現れる瞬間が、僕の人生を豊かにしてくれているんです。
── 一生の呪い! めっちゃカッコいいじゃないですか。女の子の応援で原点に戻った話、ほんと素敵です。情報なしで感情でプロレスを見るって、ファンの究極の形ですよね。
嶋村さん そう、戻れないけど、そうなりたい。ジャストさんみたいな研究は皆さんにお任せして、僕は純粋に楽しみたいです(笑)。
──最後に、プロレスファンへのメッセージをお願いします!
嶋村さん プロレスは、リング上の感情が人生を教えてくれるもの。情報や勝敗にこだわらず、レスラーの心を感じてほしい。僕も一生追い続けるんで、みんなでプロレスの熱を共有しましょう!
── 最高のメッセージ! 嶋村さんのプロレス愛、めっちゃ伝わりました。ありがとうございました!
嶋村さん ありがとうございました!!
【編集後記】
嶋村太一さんとのインタビューは、プロレスと演劇を結ぶ「感情のやりとり」というテーマが一貫して響き合う、濃密で心揺さぶられる時間となりました。3歳の国際プロレスでのトラウマ級の恐怖から、1983年のIWGPリーグ戦での興奮、2000年代のプロレス離れを経て、オカダ・カズチカのレインメーカーで再び引き戻された現在まで、嶋村さんのプロレス人生は、感情の波に満ちている。特に、葛西純対伊東竜二戦の伊藤の笑顔、宮原健斗対中嶋勝彦戦の人間関係のドラマ、獣神サンダー・ライガー対鈴木みのる戦の座礼と「ありがとう」の一言など、試合結果よりもレスラーの感情の爆発が心に刻まれるという視点は、嶋村さんの俳優としての感性と深く結びついていているように感じました。
プロレスと演劇の共通点として、嶋村さんの「相手あってのもの」という言葉が響きました。この視点は、嶋村さんがプロレスを見る際の「情報や先入観を排除する」姿勢にも繋がり、純粋なファンとしての原点を大切にする姿勢が強く印象に残りました。嶋村さんの話は、プロレスと演劇が融合した独自の視点を提供してくれたように思います。今後の舞台での活躍とともに、プロレスファンとしての嶋村さんのさらなる「感情の物語」が続いているのかもしれません。













