ジャンバーズ日記

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「カメラを止めるな!」のこと

この文章、「カメラを止めるな!」のネタバレがあります。

この何ヶ月か「カメラを止めるな!」のことばかり考えてしまう。

僕が通っていたENBUゼミ製作の映画で、こんなに面白い作品を作って、大ヒットしてるんだから、ジェラシー感じずにはいられない。

ただ、負け惜しみと思われるの覚悟で言うと、自分だったらこのアイデアが浮かんだとしても、自分の中でボツにするだろうなぁと思ってました。「途中で止められない作品のバックステージもの」っていうのは、三谷幸喜お得意のものだし、「ゾンビ映画を作る人の話」ってのは、「キツツキと雨」とか「桐島部活やめるってよ」ですでにやられてるから。

前半の完成した映画がフリで、後半で伏線回収していくっていう構成が、今までありそうでなかったアイデアだと思ってたんだけど、それこそが元ネタの舞台作品があったということで、もめてるわけなんですね。

元ネタとなった舞台作品を見てないし、詳しい事情を知ってるわけではないので、これから書くのは、あくまでも一般論です。

映画に限らず、作品を作ってる人は、必ず何かしらの過去の作品に影響を受けて作っていて、そういう意味では誰しもパクりをやってるわけです。僕ももちろんパクってます。無意識にパクってることもあるだろうし、意識してたけどこの程度はそれこそインスパイアのレベルだろうと思って書いたプロットやシナリオが、「これ◯◯のパクりじゃん」って言われてショックを受けたこともあります。

ただ、パクりにもいろんな種類があって、やっていいパクリと絶対やっちゃいけないパクリがあり、その中間の微妙なラインのものもあります。

僕の中で「やってもいいだろうし、パクリだとばれてもいい」と思うパクリは、古典作品から要素やアイデアをパクること。三谷幸喜は、色々パクってるけど、映画の古典からパクってる。

古典の定義があいまいなので、例えば三谷幸喜の作品をパクるのは、かなり微妙なとこ。もちろん、そのまんまパクったらダメだけど。アイデアをパクるとか、要素をパクるとかってことで言えば、「ラジオの時間」は、僕らみたいな年齢の人間の感覚だと、比較的最近の作品だからアイデアのレベルでもパクるのは抵抗がある。だけど、若い人にとっては、自分が生まれる前の作品だったりして、すでに古典っていう位置づけなのかもしれない。

絶対にやっちゃいけないパクリは、他の人が作った未発表の作品からのパクリ。これは元の作品を殺すことになるから。パクりとインスパイアの境目は難しいけど、インスパイアでもネタ元の作品を殺す可能性はある。自主映画や小劇場の作品は、すでに発表されてる作品でも見てる人が数十人とか数百人だったりして、これはかなり未発表に近い。だから、自主映画や小劇場作品からは、インスパイアでもかなり注意が必要だと思います。

パクりの方法にもいろんな種類があるけど、どれがダメでどれはオーケーってのは、かなり判断が難しいですね。

法律的にではなくて、道徳的に許されるかどうかの一つの大きな判断基準は、自分が他の作品をパクることによって、いやな気持ちになったり、不利益になる人がいるかどうかですよね。

まあ、自戒の念をこめてです。

 

「万引き家族」見た。

先日、「万引き家族」見ました。ネタバレ多少ありますので、要注意です。

かなり賛否両論のようですが、そうなるのはもっともな内容。

面白かったかどうかって聞かれたら、「面白かった」んですが、否定派の気持ちはわかります。

面白かったのは面白かったんだけど、その面白さは、「感動」とかではなく、ゾッとする不気味さでした。何でこんな不気味な映画を作ったんだろう?どういうつもりなんだろう?って、色々気になって、是枝監督の「映画を撮りながら考えたこと」っていう本も買って、読んでみました。(まだ半分しか読んでないけど)

この本を読むと、どういうつもりでこんな映画にしたのか、ある程度想像出来ると思います。

否定派の意見の中で、多く聞かれるのは、「誘拐を肯定している」というもの。

僕がぞっとしたのも、まさに「誘拐してる」というところです。特に、上の男の子が、パチンコ屋の駐車場の車の中から誘拐されたというところ。

1996年、群馬県でお父さんがパチンコをしている間に、店内でお父さんを待ってた横山ゆかりちゃんが、失踪したという事件があって、防犯カメラの映像でゆかりちゃんに話しかけていた男が連れ去ったと見られてます。結局、ゆかりちゃんは未だに見つかってません。僕はこの事件がとても怖くて、防犯カメラの映像とかも忘れられず、印象に残ってました。

ちょっと前に、「未解決事件を追う」みたいな内容のテレビ番組に、ゆかりちゃんのお父さんが、顔を出して出演してた。お父さんは、自分がパチンコをするために娘をほったらかしにしてしまった事を、後悔してもしきれないくらい自分を責め続けている様子でした。世間からもバッシングを受けて、その番組に顔を出して出演すれば、またバッシングされる事はわかってる。それでも顔を出して出演して、視聴者に情報を求めてる姿が、本当に見てて辛かったです。

「万引き家族」はゆかりちゃん事件とはちょっと違って、車の中に放置された子供を誘拐したので、命を救ったという見方も出来るのですが、やはり誘拐したことは変わりない。

おそろく是枝監督は、誘拐を肯定するつもりで映画を作ったわけではないってことはわかりますよ。ただ、やっぱりリリーフランキーを「ゆかりちゃん事件」の犯人と置き換えると、なんとなく「ダメ人間だけど優しい」キャラクターとして描かれてることに違和感を感じるし、結局、あまり罪の意識を感じる事も無く、事件発覚後も男の子と平気で会ってるってとこが、とても不気味。

「映画を撮りながら考えたこと」の中で、「誰も知らない」についてのインタビューで、「映画は人を裁くためにあるのではない」という事が書かれてあります。「誰も知らない」で子供達を捨てた母親をも、映画では裁いていない、という事です。

「万引き家族」も、誰かを裁くために作った映画ではないのはわかります。ただ、結果的には、子供を放置した親や子供を虐待する親を断罪する内容になってると思える。実際、Twitterなどを見ていると、「万引き家族」を見て、「パチンコするために子供を放置するような親は、親じゃない」といった書き込みが見られます。

同じように、誘拐加害者視点の物語として、「八日目の蝉」をあげてる書き込みもありました。僕は「八日目の蝉」には違和感を感じなかったけど、「万引き家族」には違和感を感じるのは、やはり、「主人公が誘拐したという罪の意識を背負っているか」という点の違いですよね。「八日目の蝉」の主人公は、逮捕され、その後の人生、罪を背負って生きているというのが判るけど、リリーフランキーは、反省してるように見えない。それが不気味です。

ただ、こんなに色々誰かと映画について話したくなる映画も、なかなか無いと思いますので、そういう意味では傑作なのかも。

次回公演のお知らせ

久しぶりの更新で、ハイブリッド・ジャンバーズ次回公演のお知らせです。

次回公演は、「天国(うえ)を向いて歩こう」の再演です!

再演と言っても、ただの再演では無いんです。
前回の公演では、登場人物が6人だったんですが、今回は、なんと11人です!
出演は、老舗劇団「花組芝居」の秋葉陽司さん、「くろいぬパレード」の岩渕敏司さん、他、面白い役者さんが集まりました!
なかなかすごいメンバーですよ。
また、このブログで役者さんを紹介していこうと思ってます。

「天国(うえ)を向いて歩こう」は、もともと10年以上前に書いた戯曲なんですが、最初は登場人物が5人でした。この5人バージョンは、ネットで公開してますので、興味ある方は読んでみてください。こちらのページから読めます。http://www.moon-light.ne.jp/scenario/playbook/uewomuite.htm
5人バージョンは、全国のいろんな演劇団体の方が上演してくれてます。
その後、自分の演出で、初めてこの作品を上演したのは2010年。その時、ジャンバーズの俳優をみな出演させるために、登場人物を6人に増やしました。
その後、「義魂ブラザース」という劇団さんから、登場人物11人の芝居の台本を書いてくれという依頼があり、「天国を向いて歩こう」11人バージョンを書きました。
この11人バージョンが、メチャクチャ面白かったので、そのうち、自分自身で演出して上演したいという思いがあり、今回それをやることにしました。
なので、10年以上の歴史がある戯曲の最終形って感じです。
これは、ほんと、すごい芝居になると思います。
僕の演劇人生の集大成的な作品になる予定です!
みなさん、ぜひ観にきてください。
詳細は、ジャンバーズHPをご覧ください。
http://jumbers.web.fc2.com/shop.html

写真は、チラシの画像です。今回もロビン西さんが描いてくれました!
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