
この本はどうして絵本なんだろうと思う。
小さな子どもが読むには深すぎる。
でも、こういう大判の体裁の絵本は
わりと大きめの子どもにも、大人にも届かない。
わずか30ページのこの絵本、
何度読んでも、決まって涙が出てしまう。
そんなドラマチックな内容ではなく、
あたり前のことが、あたり前として描かれているだけなのに。
今から100年くらい前、アメリカの山奥で
かごを作って暮らしをたてていた人たちのはなし。
子どもは子どもとして自分でゆっくり成長するのを許されている。
大人はまったくあたり前の大人として存在している。
このあたり前の大人が今の世の中どれだけいるのか。
ビッグ・ジョーが
「風は・・・・だれを信用できるか、ちゃんとしっているんだ」
というところで、涙がじんわりしみでてきちゃうんだなぁ。
『にぐるまひいて』や『ルピナスさん』などを描いたバーバラ・クーニーの、
つつみこむような自然の温かさが感じられる絵がステキです。
絵本ってやっぱ子どものものじゃない。
- 満月をまって/メアリー・リン レイ
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