片付けをしている若葉の手を見つめた。
手際良く、順番に片してゆく。
(小さかったのに)
今は男の手だ。大人の手だ。
その手が弟妹の手に重なる。
『オレがいるから、』
両親を亡くし、息を吐いたのは葬儀の後だった。兄弟三人だけ遺されたと思い至った。それまでは呆然としながらも、忙しさに紛れていた。
『お兄ちゃん、』
『大丈夫。オレがいるから』
震える星良(セイラ)と数真(スウマ)の手を握りしめた。
『オレがいるから、何も心配いらない』
大丈夫、と繰り返した。
『お兄ちゃん、』
泣きじゃくる星良が私の手を握り返した。同時に、数真も握り返してきたので「双子だなぁ」なんて少し笑いたくなった。
(あの時、)
震えていたのは、星良や数真だけでなく、私もだった。
二人の手を握って、私は自分の震えを押さえつけたんだ。
「じゃあ尚真くん、」
若葉の声で我に返る。
「あがるよ」
「あ、あぁ。お疲れ様」
若葉は少し首を傾げたけれど「また明日」とだけ言った。