だからさ、という青葉の声で現実に呼び戻される。
「星良はまず、数真に話すことで様子を伺ったんじゃないかと思うんだよ」
青葉の言い分は少しだけ解る気がした。
反対されるかもしれない。
その不安を消すために、自身の片割れの反応を見た。彼が理解をしてくれるなら、きっと、兄も反対はしないだろう。万が一、反対をしても片割れが味方をしてくれる。
片割れが反対をするのなら、きっと兄も反対をするだろう、と。
青葉が言うのは、そういうことだろう。ただそれは。星良が、妹が計算高いようで、兄の私は少し複雑な気がするのだ。
「それはないかな」
私の気持ちを察してか、青葉はあっさりと自分の意見を否定した。
「数真も会ったことがないなら、」
私を見る。
「星良の口からハッキリと聞いてはいないのかもな。察しただけかもしらん」
双子だし、と取って付けたように言う。
店内をチェックし「帰ろう」と私を促す。
小さく息を吐き、サロンを外す。ロッカーから鞄を取り出し鍵を掛ける。
店内は既に青葉がほとんどを消灯してくれている。足元が見えるように一ヶ所だけがまだ点いている。
彼に並ぶと無言でスイッチを切る。
完全に照明が消えると店内は外からこぼれてくる灯りだけになる。
人の姿はないのに、気配だけは残っている。ここは人がいる場所だと主張しているようだ。
外に出て鍵を閉める。
青葉が「懐かしいな」と笑う。
「学生の時も部室の鍵を閉める尚真(ショウマ)を待っていた」
「そういや、そうだな」
釣られて笑う。
「長い付き合いだよなぁ」
しみじみ呟く彼が可笑しかった。
「そうだなぁ。しばらくは切れそうもない縁だな」
そう言ってやれば、友人はにやりと口元を歪めた。