青葉は「ふぅん」とこぼす。
弟がモテることが嬉しいのか、それとも悔しいのか。どちらとも判断のつきかねる声音だ。
あぁ、それとも。思いがけないところで小さな弟の成長に戸惑っているのかもしれない。
その戸惑いは、判る気がする。
沈黙が流れる。それを破るのは、たいてい青葉だ。
「尚真(ショウマ)」
気付けば視線が手元に落ちていた。意識して顔を 上げ、友人であり雇い主でもある男の顔を見た。
「何、」
少しキツイ言い方になってしまったのは、彼が口にする言葉を聞きたくないからだろうか。
青葉は気付かないのか「こっちの台詞だ」と拗ねたような顔をした。