友人の何気ない言葉に、怯んだように見えた。
それは、ほんの一瞬。
次の瞬間には「そうだね」と、いつもの彼女に戻っている。
「とりあえず地元の大学を書いておこうかな」
水藍が「ね、菖蒲」と同意を求めるので、わたしは頷いた。
『別々の人間で、』
紫藤の言葉がちらつく。
(ちゃんと解っている)
水藍も気付いていないフリをしているだけ。
だから、友人の言葉に不意打ちを喰らってしまった。
準備が出来ていなかったから。
紫藤は、わたしたちがお互いを同一視していることを案じていた。
それは、わたしにも解る。たぶん水藍も。
だけど。
(どうすれば?)
別々の人間だと解っていながら、同一視を演じている。
別々だ、と気付かないフリをしている。