夢を見た。
わたしには大切な『誰か』がいた。
彼は決して『わたし』に振り向かない。
それでも『わたし』は『彼』の気を引きたくて。我が儘を言っても、親に逆らえない『彼』は渋々『わたし』の相手をする。
夢の中で『彼』は徐々に『わたし』を疎ましく思っていくようだった。
どうすることも、否、どうしたら良いか判らず『わたし』と『彼』の溝は深まってゆく。
それでも。
夢の中の『わたし』は自身がそれでも『彼』の中にいることを望む。
どんなに疎ましく思われても、その間は『彼』の中で自分は確かに存在している。
わたしにはそんな彼女が痛ましく思えた。
彼女の想いは、誰にも気付いてもらえなかっただろう。
きっと『彼』は気付かない。否、気付かなかった。最後まで。
口の中が苦いような、渋いような。何とも言い難い。すっきりしない、不快感。
(馬鹿ね。そんな男を待っても仕方ないでしょう?)
わたしは『わたし』に問うけれど、答えは返って来ない。
違う。
彼女の視線こそが答えだ。
彼女の視線は『彼』を追い続ける。彼女の視線に気付いた『彼』が険しい表情を浮かべても。
そんな顔をされても『わたし』の心は『わたし』を見てくれたことで浮き立つ。
(馬鹿ね、)
わたしの言葉は『わたし』に聞こえない。