彼は「ありますね」と困ったような微笑を浮かべる。
「これ、」
彼は自身の足をさする。
「痛くはないんですよ、もう」
でもね、と繋ぐ。
「事故の時の激痛で目が覚める。痛みがする気がして眠れない」
彼はわたしを見てから天井へと視線を送る。
彼が見たものは天井ではなく。
「君たちくらいの時に事故に遭いまして。もう、ずいぶん経ったというのに」
彼が見たものは、自身がまだ十代だった頃。怪我を負う前の、自身が学校で過ごした生徒時代。
「後悔ですよ」
彼はわたしに視線を戻す。
「当時の自分はあまり褒められた生徒ではなかったので。あの頃のことは、後悔することが多すぎるんです」
彼の過去に触れてしまって少し後悔している。
彼は、話したくなかったのでは? 人に…他人に話すつもりは、なかったのではないだろうか。
それを暴くような真似をしてしまった。