「仲が良いんですね」
口をついて出て来た。
彼は瞬きして、はにかんだ。
「改めて仲が良いって言われると、照れますね」
彼は「うん、まぁ、」と咳払いする。
「たまに飲みに行ったりしているので、仲は良い方ですかね」
あれ?
わたしは、その紫藤との共通の知人のことを言ったつもりだったのだけれど。
八須は紫藤との仲だと捉えたのかしら?
彼の言葉はどちらとも捉えられる。
わたしの言葉も漠然とし過ぎていた。
確かに紫藤との話をしていたのだから、八須が紫藤との仲のことを応えても不思議はない。
「先生は飲むんですか?」
「うん。二十歳過ぎた元生徒と飲むのが夢ですね。あの頃は~って話したい」
揺るんだ顔は、幸せそうだ。
「保健医じゃあ難しいケド。そういう意味では、紫藤先生の方が羨ましいですよね」
にこにこと笑顔のままなので本心か解らない。紫藤を羨ましく思っているようには、とても見えないけれど。
敢えてそうしているのかもしれない。
教師の立場では、他人を羨むだけでは、と教えなければならないだろうから。