「万が一、」
彼の声がした。
「万が一、言ったことで関係が崩れたなら。それなら、もう、親類付き合いだけをすれば良い」
顔を上げたわたしに「割り切るしかないですよ」と言い放つ。
「でも、」
続く言葉は見つからない。
見つかる、わけがない。何を言ったって、言い訳にしかならない。
(判っているから、)
頭では、判っているから。だから続く言葉が見つからない。
「言葉ほど、簡単ではないです」
彼は苦笑を浮かべた。
その柔らかな表情に、ほっと息を吐く。
「友情と恋の違いって何だと思います?」
唐突な問いかけに動揺したのか、目が眩む。いや、目が廻る?
彼はわたしのことなど、お構い無しだ。
「アレも一種のカケオチなのかなぁ」
頬杖をついて、ため息のようにこぼした。