速さの一行問題⑨ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年出された速さの一行問題です。

 

  歩数と歩幅(慶應義塾中等部2024)

 

父が2歩であるく距離(きょり)を子は3歩であるきます。また、父が4歩あるく間に子は5歩あるきます。
いま、子が先に家を出発して20歩あるいたところで、父が家を出発して子を追いかけると、父は□歩で子に追いつきます。

 

右矢印「歩数と歩幅」の手順どおりまずは父と子の速さの比を求めると​​​​​​

  1. 父が2歩であるく距離を子は3歩で」あるくから距離の逆比で歩幅の比は3:2
  2. 父が4歩あるく間に子は5歩」あるくからそのまま歩数の比は4:5
  3. 「速さ=歩幅×歩数」で求められるから速さの比は6:5(=3×4:2×5)

そして「子が先に家を出発して20歩あるいた」距離を父が追いつくという問題だから「子の20歩分」の追いつき算を考えると

  1. 距離は速さに比例するから進んだ距離の比も⑥:⑤とあらわせる。その差①が20歩
  2. つまり父が「子の120歩分」(=20×6)あるくと(その間に子は20×5=100歩あるくから)いまある20歩の差を追いつける
  3. ここで歩幅3:2をもう1回使うとその逆比で「子の120歩分」=「父の80歩分」の距離(*歩数は速さを出したあとはもう使わないが歩幅は2回使うという問題が多い)

よって□=80

 

 

  動く歩道①(東洋英和2024)

 

A駅の動く歩道は、一定の速さで動いています。この歩道を分速50mで歩くと2分間かかり、分速75mで歩くと1分30秒かかります。歩かずに乗ったままの場合は、何分間かかりますか。

 

右矢印分速50mで歩くと2分間かかり、分速75mで歩くと1分30秒」かかる

  1. かかる時間の比が (㋐分速50mのとき):(㋑分速75mのとき)=2分:1分30秒=4:3だからその逆比で速さの比は㋐:㋑=③:④
  2. この差①が分速25m(=分速75m-分速50m)だから「歩き+動く歩道」の合計の速さは㋐が分速75m、㋑が分速100mとわかる
よって(㋐で考えると)動く歩道の速さは毎分25m(=75-50)、動く歩道の長さは150m(=75×2)だから、歩かずに乗ったままの場合にかかる時間は
150÷25=6分間

 

 

  動く歩道②(青陵2024)

 

A君は分速63m、B君は分速66mで歩きます。この2人がP地点からQ地点まで動く歩道に乗りました。A君はP地点から動く歩道に乗りながらQ地点まで歩いたところ、40秒かかりました。一方、B君はP地点から動く歩道に乗りながら36秒歩き、その後歩くのをやめたため、Q地点に着くまでに44.8秒かかりました。このとき、P地点からQ地点までの距離は何mですか。ただし、動く歩道は一定の速さで動いており、2人とも動く歩道の進行方向に歩くものとします。

 

右矢印B君はP地点から動く歩道に乗りながら36秒」歩いた(「Q地点に着くまでに44.8秒」かかったから残り8.8秒は動く歩道の速さで進んだ)

そこでB君が「歩くのをやめた36秒後にどうなっているかまず考えると

  1. A君は分速63m、B君は分速66m」で歩くからB君はA君より毎分3m先に進む
  2. すると36秒後にはB君はA君の3×36÷60=1.8m先にいる

つぎに「A君は地点から動く歩道に乗りながらQ地点まで…40秒」歩いたがこのうち最後の4秒に注目して、A君がこの4秒間で進んだ距離を星とする。このとき

  • 動く歩道の速さを秒速①mとするとA君(分速63m=秒速1.05m)は最初から最後まで秒速(1.05+①)mで進んだから星の距離は(1.05+①)×4…アであらわせる
  • B君は残りの8.8秒は秒速①mで進んだから星の距離は+1.8…イであらわせる
  • アとイは同じ距離星だから(1.05+①)×4=+1.8より(4.2+④=+1.8となって)=2.4だから①=秒速0.5m
よってA君が動く歩道に乗りながら歩くときの速さは秒速1.55m(=1.05+0.5)とわかるからPQ間の距離は1.55×40=62m 完了