坂道問題④ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

速さの分野でも有数の難テーマである坂道問題をあつかった今年の出題例です。

 

AからBまでは上り坂、BからCまでは平らな道、CからDまでは下り坂となっている登山コースがあります。花子さんはA地点から、よし子さんはD地点から同時に出発したところ、1時間45分後に花子さんが平らな道を⅚だけ進んだところで2人は出会いました。また、花子さんがD地点に着いた5分後によし子さんがA地点に着きました。 2人はどちらも上り坂を時速1.5km、平らな道を時速3km、下り坂を時速2kmで進みます。このとき、次の問いに答えなさい。(洗足2024)
⑴ よし子さんがB地点に着いたのは、花子さんがC地点に着いてから何分後ですか。

 

 

右矢印花子さんがD地点に着いた5分後によし子さんがA地点に」着いた。

  • 2人は同じ速さで、距離的にも同じだけ進んだのによし子さんが5分よけいにかかったのはCD間の一部を上ったか(よし子)下ったか(花子)のちがいによるもの

  • そこでにかかる時間を考えると「上り坂を時速1.5km、…、下り坂を時速2kmで」歩いたので(速さの比1.5km:2km=3:4の逆比で)かかる時間の比は上り:下り=④:③。この差①が5分だから上りに20分(=5×4)かかった

よっての分だけよけいに時間を使った)よし子さんがBに着くのは花子さんがCに着いた20分後

 

⑵ 花子さんがA地点を出発してからD地点に着くまでに何時間何分かかりましたか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図などを書きなさい。

 

右矢印 2人が出会った場所は「花子さんが平らな道を⅚だけ進んだところ」なのでBからまでの距離を⑤、Cからまでの距離を①とする。このとき

  • よし子さんはBまであと⑤、花子さんはCまであと①だから進む距離の差は④。そしてよし子さんがBに着くのは花子さんがCに着く20分後(小問⑴)だから2人は平らな道を①進むのに5分かかる
  • すると2人が出会ったのは出発して「1時間45分後(=105分後)だから2人はそれぞれ次のように進んだことがわかる
  • ここで花子さんがこのあとDに着くまでにかかる時間を考えると❶Cまで5分、❷CD間は上り100分の距離だから(小問⑴で求めたようにかかる時間の比は上り:下り=4:3だから)下りで75分かかる
よって花子さんがA地点を出発してD地点に着くまでにかかる時間は
 80+25+5+75=185分=3時間5分 
 

⑶ 2人はしばらく休んだ後、再び同時に出発し、来た道を戻(もど)りました。しかし、途(と)中で雨が降り始めたため、すぐに花子さんは残りの上り坂と平らな道を進む速さだけ⁶⁄₅倍にしました。また、よし子さんは下り坂を進む速さだけ⁵⁄₄倍にしたところ、花子さんがA地点に着くと同時によし子さんがD地点に着きました。雨が降り始めたのは2人が再び出発してから何分後ですか。
 

 

右矢印 まずよし子さんの帰り道の様子を考えると

  1. AからB…80分(行きの花子さんと同じ)
  2. BからC…30分(行きの花子さんと同じ)
  3. CからD…「下り坂を進む速さだけ⁵⁄₄倍に」なった(時速2km×⁵⁄₄=時速2.5kmになった)からかかる時間は行きの花子さん(75分)の⅘倍で60分
つまりよし子さんは合計170分かかった
そうすると「花子さんがA地点に着くと同時によし子さんがD地点に」着いたから花子さんも合計170分かかった
そこでつぎに花子さんの帰り道170分の中身を区間ごとに(ゴールに近い方から)見ていくと
  1. BからA…上りの⁴⁄₃倍の速さだからかかる時間は¾倍の60分
  2. CからB…速さを「⁶⁄₅倍に」したからかかる時間は⅚倍の25分
  3. DからC…ぜんぶで170分かかったから(170-60-25=)85分
  • このDC間は距離2.5km(=時速2.5km×60分)。速さは途中まで時速1.5km、途中から「⁶⁄₅倍に」なって時速1.8km
  • そこで速さのつるかめ算を考えると(2.5km=2500m、時速1.5km=分速25m、時速1.8km=分速30mより)25×10+30×75=2500 となっているから(分速25m=)時速1.5kmで進んだのは10分

よって雨が降り始めたのは2人が再び出発してから10分後 完了