あいこになる手の出し方 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

場合の数の分野で「〇人のじゃんけんであいこになる手の出し方は何通りあるか」という問題がときどき出ています。

2人だと3通り、3人だと9通り、というのは少し考えればわかるのであまり出題例はないようですが(また6人以上だと複雑になりすぎるためかこちらも出題例はないようですが)、4人と5人の場合は今年も出題されています。

初見ではなかなか対応が厳しいので自分に合った考え方を一つ身につけておきたい(このあと高校数学まで役立つということもあり)ところです。

 

  4人のじゃんけん(豊島岡2024第2回)

 

A、B、C、Dの4人でじゃんけんを1回します。Aが、パーを出したとき、あいこになるような、B、C、Dの手の出し方の組み合わせは何通りありますか。

 

右矢印 あいこになったときB、C、Dのうち何人が同じ手を出していたかで場合分けをすると(以下、グー、チョキ、パーをそれぞれグ、チ、パと略記することがある)

  • 3人とも同じ手の場合…(パ、パ、パ)だけで1通り
  • 2人が同じ手の場合…①どの手であいこかだったかで(グ、グ、チ)(グ、チ、チ)の2通り、②誰と誰が同じ手だったかで3通りあるから 2×3=6通り
  • 全員バラバラの手の場合…①手は(グ、チ、パ)の1通り、②誰がどの手だったかで3×2=6通りあるから 1×6=6通り
よって1+6+6=13通り

 

 
Aがグーを出してあいこだった場合、チョキを出してあいこだった場合も同じ13通りずつあるので結局、4人のじゃんけんであいこになる場合の数はぜんぶで39通り(=13×3)となります(城北埼玉2023穎明館2022第4回などの出題例あり)

 

  5人のじゃんけん(東京農業大学第一2024)

 

5人で1回じゃんけんをするとき、あいこになる5人の手の出し方は全部で何通りですか。

 

右矢印 正面から考えるのは少し面倒なので余事象で考える。つまり「あいこになる」=誰も勝たないことだと考えて、その裏返しで誰かが勝つときの手の出し方をまず考える(これを最後に全体の場合の数から引く)。すると

  1. 1人だけ勝つ手の出し方は①5人のうち誰が勝つかで5通り、②どの手で勝つかで3通りあるから 3×5=15通り
  2. 2人が勝つ手の出し方は①誰が勝つかで5×4÷2=10通り、②どの手で勝つかで3通りあるから 10×3=30通り
  3. 3人が勝つ手の出し方(=2人が負ける手の出し方)は⒉の裏返しだから⒉と同じ30通り
  4. 4人が勝つ手の出し方(=1人だけ負ける手の出し方)は⒈の裏返しだから⒈と同じ15通り
  5. ぜんぶの手の出し方は 3×3×3×3×3=243通りなので、ここから上の4パターンを引くと(誰も勝たない手の出し方=)あいこになる手の出し方となるから、243-(15×2+30×2)=153通り

よって153通り 完了

 

別解

 

右矢印 あいこになったとき5人のうち何人が同じ手を出していたかで場合分けすると

  • 5人とも同じ手の場合…全員グー、全員チョキ、全員パーの3通り
  • 4人が同じ手の場合…なし
  • 3人が同じ手の場合…たとえばパーが3人だったときを考えると①どの3人がパーかの決め方が5人から3人を選ぶ選び方で5×4÷2=10通り、②残り2人のどちらがグーでどちらがチョキかで2通りあるから、パーが3人のとき20通り(=10×2)。同じようにチョキが3人のとき、グーが3人のときも20通りずつあるからぜんぶで 20×3=60通り
  • 2人が同じ手の場合(2人だけが同じ手で残り3人はバラバラということはありえないが同じ手の2人が2組いたという場合がある)…たとえばパーとチョキが2人ずついたときを考えると①どの2人がパーかの決め方が5人から2人を選ぶ選び方で5×4÷2=10通り、残り3人のうちどの2人がチョキかの決め方が3人から2人を選ぶ選び方で3通りあるから、パーとチョキが2人ずつのとき30通り(=10×3)。同じようにチョキとグーが2人ずつのとき、グーとパーが2人ずつのときも30通りずつあるからぜんぶで 30×3=90通り
  • 全員バラバラの手の場合…ありえない
よって 3+60+90=153通り 完了