以前の記事の続きです。
今年の中学入試で出された旅人算の問題の第3回です。
その1（東邦大東邦2024）
Tさんが自動車で、家から目的地までの道のりの⅖を時速30kmで走り、残りの道のりを時速90kmで走ったところ、家から目的地に着くまでにかかった時間は27分でした。このとき、家から目的地までの道のりは何kmか求めなさい。
「家から目的地までの道のりの⅖を時速30kmで走り、残りの道のりを時速90kmで走った」とき
- 速さの比は30：90＝1：3、道のりの比は⅖：⅗＝2：3だから、かかった時間の比は (1÷2)：(3÷3)＝②：①
- この合計③が27分だから①＝9分
- したがって時速30kmで走った時間②は18分でその道のりは30×18÷60＝9km
よって「家から目的地までの道のりの⅖」が9kmだから家から目的地までの道のりは 9÷⅖＝22.5km
その2（芝浦工業大学附属2024）
芝田くんと田浦さんは、家を出発し、家から36km離れた体育館まで車で向かっています。途中で忘れ物に気づいたため、芝田くんはその地点から車で家まで戻り、田浦さんはその地点から徒歩で体育館に向かいました。芝田くんが家に着いてから再び車で体育館に向かったところ、芝田くんは田浦さんよりも10分遅れて体育館に着きました。車の速さが時速40km、歩く速さが時速4.8kmのとき、田浦さんが歩き始めたのは家から何kmのところですか。ただし、芝田くんが家についてから、忘れ物をとって再び家を出るまでの時間は考えないものとします。
問題文をダイヤグラムにすると次のとおり。
ここで芝田くんが家についた時刻のところに補助線（黒）を引くと
- その時刻から体育館到着までに芝田くんは54分（＝60×(36÷40)）かかり、田浦さんは44分（＝54－10）かかった
- その時刻における田浦さんの体育館までの距離をアとする。またイ、ウを次のようにとる（ウが求める距離となる）
- このときアは田浦さんが44分で歩いた距離だから4.8×44÷60＝3.52km。イはその残りで 36－3.52＝32.48km
- ウは芝田くんと田浦さんがイの距離を向かい合って進むときの出会い算を考えて（2人の速さの比40：4.8＝25：3より進む距離の比も25：3だから）32.48×25÷(25+3)＝29km
よって田浦さんが歩き始めたのは家から29kmのところ
その3（鷗友学園2024第2回）
姉はP地点とQ地点の間を、妹はP地点とR地点の間を往復しました。P地点とQ地点は3600m離(はな)れています。また、R地点は、P地点とQ地点の途中にあって、P地点から2400m離れています。
姉は9時にP地点を出発し、自転車を使って時速24kmの速さで、休まずに3往復しました。また、妹は9時にP地点を出発し、時速12kmの速さで走り、R地点に向かいました。妹がR地点に到(とう)着すると同時に、P地点に向かう姉がR地点を通過しました。その後、妹はひと休みし、姉が再びR地点を通過すると同時に、P地点に向かって歩いて戻ったところ、3往復を終える姉と同時にP地点に着きました。
グラフは姉と妹の移動の様子を表したものです。
⑴ 妹はひと休みした後、時速何kmの速さで歩きましたか。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。
問題文にある情報をグラフに書き入れると次のとおり。
- まず姉（時速24km）は分速400ｍ、妹（時速12km）は分速200ｍだから、2人がR地点（Pからの距離2400ｍ）で出会った時刻は（2400÷200＝12より）出発して12分後の9:12
- ひと休みした妹がR地点を出発したのは姉が再びR地点を通過したとき。姉はR→P→R（その距離は2400×2＝4800ｍ）を進んでこれに4800÷400＝12分かかるから妹は9:24にRを出発した
- そこから姉はR→Q→P→Q→P（その距離は1200+3600×3＝12000ｍ）と進んだから12000÷400＝30分かかりP到着は9:54。そして妹も9:54にPに到着した
よって妹はPR間（2400ｍ）を30分で歩いたから2400÷30＝分速80ｍで 時速4.8km
⑵ 妹がR地点からP地点へ歩いているとき、Q地点に向かう姉と出会った時刻を求めなさい。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。
妹がR地点を出てから「Q地点に向かう姉と出会った時刻」までに歩いた距離（下図の赤）とこの間に姉が進んだ距離（下図の青）の合計はちょうどPQ間の1往復分となっている。
- つまり2人の進んだ距離の合計は3600×2＝7200ｍ
- 2人の速さの合計は400+80＝分速480ｍだからこれにかかった時間は 7200÷480＝15分
よって妹はRを9:24に出発したから「Q地点に向かう姉と出会った時刻」は 9:39 
