以前の記事の続きです。
地味に難しいかげの問題の第4弾です。
下の図のように直線上の地点A、B、C、Dのそれぞれの地点に花子さん、太郎君、先生、街灯が立っています。3人の身長は順に88cm、132cm、176cmで、AC間の距離は300cmです。ただし、目線の高さと身長は等しいものとします。(須磨学園中2023)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240106/22/jukensansuwa/84/5e/j/o1197061315386387832.jpg?caw=800)
⑴ 先生からは花子さんの頭が見えないとき、太郎君は先生から何cm以上離れているか答えなさい。
次のように花子さん(88㎝。Aにいる)との身長差の部分でできる大小の直角三角形(赤と青)を考える。
赤の三角形に注目すると、先生(176㎝。Cにいる)と花子さんとの身長差は88㎝、距離は300㎝だからそのタテと横の比は88:300=44:150。
すると(太郎君と花子さんとの身長差でできる)青の三角形のタテが44㎝だから横が150㎝のときちょうど赤の三角形と相似になるので(先生の頭、太郎君の頭、花子さんの頭がちょうど一直線となり)花子さんは先生から見えなくなる。
よって太郎君が150㎝ちょうどかそれより花子さんに近いと先生は(太郎君がじゃまで)花子さんが見えなくなってしまうから
150㎝以上
AB間の距離は100cmとします。
⑵ 街灯の高さが440cmのとき、街灯の明かりでできる先生の影が太郎君の足元にちょうど接します。先生から街灯までは何cm離れているか答えなさい。
図にすると次のとおり。
「AC間の距離は300cm」で「AB間の距離は100cm」だからBC間の距離は200㎝。
そこで街灯(D)と先生(C)と影でできる三角形の相似に注目すると
440:BD=176:200
だから BD=440×200÷176=500㎝
よって先生から街灯までの距離CDは
BD-BC=500-200=300㎝
AB間の距離は100cmとし、CD間の距離は300cmとします。
⑶ 街灯の明かりでできる影について次のことが分かっています。
(i) 太郎君がB地点にいないとき、花子さんの影の全体は先生の影の中に入っています。
(ii) 太郎君がB地点に入ったとき、太郎君の影は先生の影からはみ出します。
このとき、街灯の高さは何cmよりも高く、何cmよりも低くなるか答えなさい。
条件(i)(ii)の順に考えていく。
(i) 太郎君がB地点にいないとき花子さんの影の全体は先生の影の中
花子さん(88㎝。Aにいる)の影が先生(176㎝。Cにいる)の影の中にぴったり入っているところを考えると、「AC間の距離は300cm」で「CD間の距離は300cm」だから図にすると次のとおり(街灯の高さ▢㎝とする)
このときA、C、Dを頂点とする直角三角形3つはすべて相似。また青の直角三角形も相似だから、すべての直角三角形のタテと横の比は22:75 (=(176-88):300)になっている。
したがってこのときの花子さんの影の長さは300㎝(=88×75÷22)とわかり、街灯の高さ▢は (300+300+300)×22÷75=264㎝
つまり街灯の高さが264㎝ちょうどかそれより低いとき花子さんの影の全体は先生の影の中に入る。
(ii) 太郎君がB地点に入ったとき太郎君の影は先生の影からはみ出す
太郎君(132㎝。Bにいる)の影が先生(168㎝。Cにいる)の影の中にぴったり入っているところを考えると、「AC間の距離は300cm」のうち「AB間の距離は100cm」だからBC間の距離は200㎝。これを図にすると次のとおり(街灯の高さ▢㎝とする)
このときB、C、Dを頂点とする直角三角形3つはすべて相似。また赤の直角三角形も相似だから、すべての直角三角形のタテと横の比は11:50(= (176-132):200)になっている。
したがってこのときの太郎君の影の長さは600㎝(=132×50÷11)で、街灯の高さ▢は (600+200+300)×11÷50=242㎝
したがって街灯の高さが242㎝より高いとき太郎君の影は先生の影からはみ出す(242㎝ちょうどだとまだはみ出さない)
よって街灯の高さは242㎝よりも高く264㎝よりも低くなる
*264㎝ちょうどでも条件に合うはずですが問いに対する答えとしてはこうなります(模範解答のまま)
その2(立教池袋2022)
図1のように、直角二等辺三角形と半円を組み合わせた図形の板を作ります。図2のように、この板を床から6cm離した所に床と水平になるようにつるし、さらに、電球を板の半円の中心から真上に6cm離れた所に取り付けます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240108/05/jukensansuwa/c9/f8/p/o1122065815386891492.png?caw=800)
次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とし、板の厚みは考えません。
⑴ 電球で照らしたとき、板によって床にできる影の面積は何㎠ですか。
図1の板の面積をまず求めると
- 三角形の部分…対角線の長さ6㎝の正方形の半分とみて 6×6÷2÷2=9㎠
- 半円の部分…3×3×3.14÷2=14.13㎠
より合計23.13㎠
そして板とかげの大きさの関係を考えると
図2でできる相似な直角三角形の辺の比は(半円の半径の比も)1:2より面積比は1:4となるから
23.13×4=92.52㎠
⑵ 電球で照らしたとき、板によって光が当たらない部分の体積は何㎤ですか。
三角すいの上半分を切りとった立体(三角すい台)と底面が半円の円すい(半円すい)の上半分を切りとった立体(半円すい台)をくっつけた立体となる。
どちらのすい台ももとの大きな三角すい・半円すいの体積の⅞(辺の比が1:2、面積比が1:4、体積比が1:8となることから)であること、どちらの体積も「底面積×高さ÷3」で求められることから(小問⑴で求めた底面積を使って)その体積は
92.52×12÷3×⅞=323.82㎤