以前の記事の続きです。
点の移動の単元のなかに、鏡に反射した光(壁にはね返ったボールなども同じ)はどういう道筋をたどってどこの点にたどり着くかという反射の問題があります。
そして反射の問題では、光を動かすとごちゃごちゃして考えにくいのでそのかわり光を直線にして考える(図形の方を動かす)という定番の解法があります。
たとえば次のような問題で有効な解法です。
長方形の場合(神奈川大学附属2022第2回)
図1のように長方形ABCDの辺AB上の点Eから長方形の内部をまっすぐ進む点Pについて考えます。点PはEから進み、辺に当たると図2のように反射して進み続けます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20231220/11/jukensansuwa/cd/c8/p/o1012122915379199397.png?caw=800)
⑴ 点Pが辺BC上の点Xで1回目に反射し、辺CD上のCから3cm離れたところで2回目に反射するようにするためには、BXの長さを何cmにすればよいですか。
①点Eから出たPがXに着いたときにできる三角形EBXと②Xを出たPが「辺CD上のCから3cm離れたところ」に着いたときにできる三角形PXCを考える。
この2つの三角形は3つの角が等しい相似形だからBXの長さを⑤とするとCXは③
このとき⑧=16㎝だから①=2㎝
よってBXの長さ⑤は10㎝
反射する回数が少ないときはこのように図形のなかで相似な三角形を考えることでも正解が出せます。次の問題からは反射の回数が多くなるため図形の方を動かした方が断然考えやすくなります。
⑵ 点Pが辺BC上の点Yで1回目に反射し、辺CD上で2回目に反射し、辺DA上で3回目に反射したあとにEにもどってくるようにするためには、BYの長さを何cmにすればよいですか。
光を動かすのではなく図形の方を動かす(図形をつけたしていく)ことを考える。
光を直線とみてその最初の線EYをそのまままっすぐのばす。この直線(下図の青線)の上に反射する点3つ(1回目に反射する点が①、2回目が②、3回目が③)をとり、この点でつながるように四角形ABCDと合同な四角形をつけたしていくと
- (点①が下にあるので)四角形ABCDの下に、辺BCを軸として四角形ABCDと線対称(裏返し)になるように2つめの四角形ABCDをつけたす
- (点②が右にあるので)2つめの四角形ABCDの右に、辺CDを軸として2つめの四角形ABCDと線対称(裏返し)になるように3つめの四角形ABCDをつけたす
- (点③が下にあるので)3つめの四角形ABCDの下に、辺ADを軸として3つめの四角形ABCDと線対称(裏返し)になるように4つめの四角形ABCDをつけたす
こうして4つめの四角形ABCDをつけたしたところで(直線にした)光が辺ABとぶつかる。このぶつかる点がAから7㎝のところにあればよい。
したがって光はタテに24㎝、横に32㎝動くのがわかり、ここでタテ:横=3:4の直角三角形ができている。
よって(これと相似な)△EBYもタテ:横=3:4になるようにするには EB=5㎝より
BY=5×4÷3=²⁰⁄₃㎝
三角形の場合(早稲田実業2018)
光が鏡で反射するときには、図1のように角アと角イが等しくなります。図2のように、内側が鏡の三角形ABCを作り、内部の点Pから辺ACに向かって光を発射させたところ、点Q、Rで反射して元の位置に戻りました。
の角度を求めなさい。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20231218/11/jukensansuwa/8c/ad/j/o1263057315378415092.jpg?caw=800)
光を動かすのではなく図形の方を動かす。
光を直線とみてその最初の線PQをそのまままっすぐのばす。この直線(下図の青線)の上に点Qと点Rをとり、この点でつながるように三角形ABCと合同な三角形をつけたしていくと
- (点Qが右上にあるから)三角形ABCの右上に、辺ACを軸として三角形ABCと線対称(裏返し)になるように2つめの三角形ABCをつけたす
- (点Rが右上にあるから)2つめの三角形ABDの右上に、辺ABを軸として2つめの三角形ABCと線対称(裏返し)になるように3つめの三角形ABCをつけたす
こうして3つめの三角形ABCを書いたところで(直線にした)光が点Pにもどる。
このとき角×の大きさは等しい。
ここで下図の赤の四角形に注目すると
開いた鏡の場合(須磨学園2023)
右の図のように、21°で開いた2枚の鏡OA、OBがあり、点Pからある角度で光を発射し、最初に反射した点をP1、2回目に反射した点をP2、…とします。光が7回の反射で点Pに戻ってきます。このとき光を発射する角度は▢度です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20231214/08/jukensansuwa/39/6f/j/o1452059115376751489.jpg?caw=800)
光を動かすのではなく図形の方を動かす。
光を直線とみてその最初の線PP₁をそのまままっすぐのばす。この線の上に反射する点をあと6コ(P₂~P₇)と最後の点Pを書く。
そしてP2を通る線①、P3を通る線②、…、P7を通る線⑥、最後のPを通る線⑦をOから放射状に引いていく。このときそれぞれの線ではさまれる角の大きさは角BOAと同じ21°になっている。
よって21×7=147°だけいまより角度がふえて角度の合計は168°(=21+147)となるから光を発射する角度は
(180−168)÷2=6度