図形の移動⑦ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

犬が動ける範囲の問題と似たような話として、いろいろな図形が転がり移動するときの点の動きが問題にされることがあります。

正しく図を書けるか、そのあと正しく計算できるかという、イメージ力と計算力が勝負の問題です。

今年の出題例ではたとえば次のようなものがあります。

 

  正三角形の転がり移動(2023高輪中B)

 

1辺が6cmの正三角形PQRを、1辺が12cmの正三角形ABC、正方形DEFG、正六角形HIJKLMの外側にふれながら、すべることなく時計回りに転がして、元の位置まで1周させます。
次の各問いに答えなさい。
⑴ 図1のように、正三角形ABCの辺AB上に、正三角形PQRを、点Rと点Aがぴったり重なるように置きました。正三角形PQRが正三角形ABCの外側を1周して、元の位置で止まるまでに、点Pが動いたあとの線の長さは何cmですか。

 
右矢印 Pが動いたあとは弧(半径6cm)を組合せた形(下図の赤線)となる。

弧の中心角を右まわりに足していくと

 240°+120°+120°+240°=720°

となり円2つ分だから

 6×2×3.14×2=75.36cm

 

⑵ 図2のように、正方形DEFGの辺DE上に、正三角形PQRを、点Rと点Dがぴったり重なるように置きました。正三角形PQRが正方形DEFGの外側を1周して、元の位置で止まる(このとき、点Pは点Dにぴったり重なる)までに、点Pが動いたあとの線の長さは何cmですか。

 

右矢印 Pが動いたあとは下図の赤線となる。

弧の中心角を右まわりに足していくと

 210°+120°+120°+210°+210°+120°=990°

となるから

 6×2×3.14×990÷360=103.62cm

 

⑶ 図3のように、正六角形HIJKLMの辺HI上に、正三角形PQRを、点Rと点Hがぴったり重なるように置きました。正三角形PQRが正六角形HIJKLMの外側を1周して、元の位置で止まるまでに、点Pが動いたあとの線の長さは何cmですか。

 

右矢印 Pが動いたあとは下図の赤線となる。

弧の中心角を右まわりに足していくと

 180°+120°+120°+180°+180°+120°+120°+180°=1200°

となるから

 6×2×3.14×1200÷360=125.6cm 

 

 

  棒の転がり移動(高田中2023)

 

1辺の長さが2cmの正方形の板Sと、長さが4cmのまっすぐな棒Aと、長さが5cmのまっすぐな棒Bがあり、棒Aの片方のはしをP、棒Bの片方のはしをQとします。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とし、また、棒の太さは考えないものとします。
⑴ 棒Aを、図1の位置から始め、図2、図3、図4、図5、図6のように、板Sの周りを時計の針の動きと同じ向きにすべることなく回転させたところ、棒Aが図1の位置にもどりました。このとき、Pが動いた道のりは何cmですか。

 

右矢印 図3の上に動いた線を書き入れると次のとおり。

円の半径と中心角をもとに弧の長さを右回りに考えていくと

  • 半径4㎝で270°の弧…4×2×3.14×270÷360=6×3.14
  • 半径2㎝で90°の弧が2つ…2×2×3.14×90÷360×2=2×3.14
となっているから

 (6+2)×3.14=25.12cm 

 

⑵ 棒Bを、図7の位置から始め、図8、図9、図10、図11、図12、…のように、板Sの周りを時計の針の動きと同じ向きにすべることなく回転させました。このとき、棒Bが初めて図13の位置にくるまでに、Qが動いた道のりは何cmですか。

 

右矢印 図8の上に動いた線を書き入れると次のとおり。

円の半径と中心角をもとに弧の長さを右回りに順に考えていくと

  1. 半径5㎝で270°の弧…(このあと5.でまとめて計算)
  2. 半径3㎝で90°の弧…(8.でまとめて計算)
  3. 半径1㎝で90°の弧が2つ…(7.でまとめて計算)
  4. 半径3㎝で90°の弧…(8.でまとめて計算)
  5. 半径5㎝で270°の弧…上の1.とあわせて540°になるから5×2×3.14×540÷360=15×3.14
  6. 半径3㎝で90°の弧…(8.でまとめて計算)
  7. 半径1㎝で90°の弧が2つ…上の3.とあわせて円1つ分になるから1×2×3.14=2×3.14
  8. 半径3㎝で90°の弧… 上の2.4.6.とあわせて円1つ分になるから3×2×3.14=6×3.14
となっているから

 (15+2+6)×3.14=72.22cm 完了