以前の記事の続きです。
和差算の問題はなんとなく解けてしまうこともあるためどうしても対策が手薄になってしまいがちです。
ただ出題例は案外あって、しばらく問題からはなれていると急に出されたときに意外と苦戦することもあるため、足をすくわれないよう最低限の対策はしておきたい単元です。
2つずつの和①(神奈川大学附属2023第2回)
ある4つの整数を小さい順にA、B、C、Dとします。この4つの整数の中から2つを取り出し、その和を求めると30、33、39、40、46、49の6通りになります。
⑴ BとCの差はいくつですか。
A+B=30、A+C=33だからBとCの差は 3
⑵ BとCの和について考えます。次の文章の[ ア ]、[ イ ]にはあてはまる数を、[ ウ ]にはあてはまる言葉を「和」と「差」という用語を必ず両方とも使って答えなさい。
条件からBとCの和は[ ア ]か[ イ ]のどちらかである。⑴の結果から[ ウ ]となり、BとCの和は[ ア ]とわかる。
「ある4つの整数を小さい順にA、B、C、D」としたとき2つずつ和は「30、33、39、40、46、49」ということなので
A+B=30、A+C=33
B+D=46、C+D=49
の4つはすぐに決まるが残り2つの和は
A+DとB+Cのどちらが39でどちらが40か
はすぐには決まらない。
だが小問⑴の結果である「BとCの差は3」を使うとBとCの和は必ず奇数とわかるから B+C=39(さらにA+D=40)に決まる。
よって ア=39、イ=40、
ウ=BとCの和は必ず奇数
⑶ Dはいくつですか。
ここまでに分かった情報をまとめると
- A+D=40 と A+C=33 より DとCの差は7
- また C+D=49 つまり DとCの和は49
より D=(49-7)÷2+7=28
2つずつの和②(夙川中2023第2回)
4つのことなる数があります。3つは奇数(きすう)で1つは偶数(ぐうすう)です。これらの中から2つずつ選び、その和を求めると16, 23, 30, 33, 40, 47になりました。このとき偶数は▢です。
「4つのことなる数」を小さい順にA、B、C、D(A<B<C<D)とする。このとき
①A+B=16、②A+C=23
③C+D=47、④B+D=40
の4つはすぐ決まる。ここで偶数は1つだけだから①④よりA、B、Dは奇数とわかり、偶数はCに決まる。
とすると残ったA+Dは偶数で、B+Cは奇数だから
⑤A+D=30、⑥B+C=33
とぜんぶ決まる。
ここで①②よりBとCの差は7、⑥よりBとCの和は33だから、C×2=40より C=20
よって偶数は20
2つずつの和③(六甲学院中2023)
重さの異なる4つの鉄球があります。4つのうち2つを選んで重量計にのせて量った重さは、
1.63kg, 1.98kg, 2.17kg,
2.28kg, 2.47kg, 2.82kg
の6通りになります。最も重い鉄球は、最も軽い鉄球より何kg重いですか。
鉄球を軽い順にA、B、C、D(A<B<C<D)とすると、すぐにわかるのは(途中の単位省略)
①A+B=1.63、②A+C=1.98
③B+C=2.47、④C+D=2.82
このうち②と④より AとDの差は0.84(=2.82-1.98)とわかる。
よって最も重い鉄球は最も軽い鉄球より 0.84kg 重い
3つずつの和(実践女子2023第6回)
A, B, C, D, E, Fの6人の身長について、次の4つのことがわかっています。
・A, B, Cの平均は135cm
・B, C, Dの平均は144cm
・C, D, Eの平均は148cm
・D, E, Fの平均は152cm
① FはCより何cm高いですか。
次のように番号をつけると
①A, B, Cの平均は135cm
②B, C, Dの平均は144cm
③C, D, Eの平均は148cm
④D, E, Fの平均は152cm
これらをくらべると
F-C=12(=456-444)
よってFはCより 12cm 高い
② Aが124cmで、CはBより低く、6人の中で一番高い人は160 cmでした。Fは何cmですか。
こんどはAとDの差に注目すると
- ①より A+B+C=405(=135×3)
- ②より B+C+D=432(=144×3)
だから D-A=432-405=27 よりDはAより27㎝高い。
とするとAは124cmだからDは151cm
同じように②③よりEはBより12㎝高い。
また小問⑴よりFはCより12cm高い。
これらと「CはBより低」いことを考え合わせるとFはEより低い。
とするとB, C, E, FのなかではEがいちばん背が高いこと、したがって「6人の中で一番高い人は160cm」だからそのEの身長は160㎝であることがわかる。
F=456-311=145㎝