あみだくじ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事に関連する話です。

 

集団生活のなかで何かを決めるとき、じゃんけんと同じくらい小学生にもなじみのある手段があみだくじですが、これがひとたび算数の入試問題として出題されるときには予備知識があるかないかで大きな差がつく危険な問題となります。

今年の中学入試ではたとえば次のような出題例があります。

 

[図1]のように、ABから始まるあみだくじに、横線を1本加えます。
Aが到達する場所にA、Bが到達する場所にBと記入すると、ABという並びだったものが、BAという並びに変わります。
これをAB→BAと表すことにします。
今回は、このようなあみだくじを用いた文字列の並べかえに最低限必要な横線の本数について考えます。ただし、横線はとなり合う縦線2本を結ぶものを1本とカウントし、横線どうしが交差しないことにします。
例えば、AB→BAとするために、最低限必要な横線の本数は1本です。(鎌倉学園2023算数)

⑴ ABC→CBAとするために、最低限必要な横線の本数は何本ですか。

 

右矢印 上にA、B、Cを書き、下にC、B、Aを書いたとき、同じ記号どうしを結んだときの交点(2本の線が交わる点)の数が最低限必要な横線の本数となる。

よって 3本

 

⑵ ABCDE→DEACBとするために、最低限必要な横線の本数は何本ですか。

 

右矢印 次のように交点が7つできるから 7本

 

⑶ ABCDE→EADCBとするために、最低限必要な横線を下の図のように考えました。ところが、必要のない横線が入っていることに気が付きました。取り除いてもよい横線をすべて①〜⑨の記号で答えなさい。

 

右矢印 小問⑵と同じく最低限必要な横線は7本なので2本取り除けることとなる。

まずはここまでと同じようなやり方をしてみるとたとえば次のような形のあみだくじとなる。

このあみだくじの形を問題文にあるものを見くらべたとき、下図左にある赤の横線が1本多いのでこれを取り除きたい。

それには赤の横線はBとDを入れかえるはたらきをしているから(同じはたらきをする)青の横線に移す(こうしてもあみだくじの中身は変わらない)

 

よって、この右の図と見くらべると、問題文にあるあみだくじで必要のない横線は ④と⑨

 

⑷ ABCDEFGHIJK → ▢ を考えます。最低限必要な横線の本数が最も多くなるように▢に入る文字列を答えなさい。また、そのときに必要な横線の本数を答えなさい。

 

右矢印 以上のように(同じ記号どうし結んだ線でできる)交点の数があみだくじの横線の本数となるから「最低限必要な横線の本数が最も多くなるように」するには交点の数を最大にすればよい。それには(すべての記号どうしの線が交わるように)順番を正反対にすることとなる。

よって ▢は KJIHGFEDCBA

 

このとき交点の数のふえ方は、2本目の線を引くと交点が1つふえ(0→1になる)、3本目を引くと2つふえ(1→3に)、4本目を引くと3つふえ(3→6に)、…という規則性がある。

よってAからKまでの11個を同じ記号どうし結ぶときの線は11本だから(11本目を引くと交点が10ふえるから)

 1+2+3+…+10=55本 の横線が必要 完了