以前の記事の続きです。
国政選挙のうち比例代表選挙で採用されているドント式ですが、かたい話をやわらかく、犬でたとえて入試問題にされたものを今回取り上げます。
学君は、社会の時間に選挙の仕組みを習いました。下の図は、そのときの学君のノートです。(沖縄尚学2023)
衆議院議員総選挙 ※定数465人
━┳①小選挙区選挙289人
┗②比例代表選挙176人
①小選挙区選挙
②比例代表選挙
各政党の得票数に応じて、ドント式で獲得議席数が決まる
※定数とは、選挙で当選する全体の人数
<ドント式による獲得議席数の求め方の例>
定数が6人の比例代表選挙で、わんぱく党、さわやか党、ワクワク党の各政党の得票数はそれぞれ600票、480票、250票です。このとき、獲得議席数を求めると、以下のようになります。
図Ⅰ
図Ⅱ<各政党の名ぼ>
図Iの結果と図Ⅱの各政党の名ぼより、わんぱく党は獲得議席数が3なのでシュナウザーまで当選します。
定数が9人の比例代表選挙で、各政党の得票数が以下のとき、次の問いに答えなさい。ただし、小数第3位を四捨五入した値で求めること。
⑴ 各政党の得票数を3で割ったときの値をそれぞれ求めなさい。
わんぱく党410、さわやか党273.33、ワクワク党250
⑵ 各政党の獲得議席数をそれぞれ求めなさい。
ただし、割り算の答えが同じ場合は、得票数の多い順に議席を獲得できるものとします。
各党の得票数をそれぞれ÷1、÷2、÷3、÷4してみる。その結果が大きい順に①②③…と9位まで(「定数が9人の比例代表選挙」なので)順位をつけていくと
わんぱく党(得票数1230)
1230÷1=1230…①
1230÷2=615…④
1230÷3=410…⑤(6位と同数だが得票数が多い)
1230÷4=307.5…⑧
さわやか党(得票数820)
820÷1=820…②
820÷2=410…⑥(5位と同数だが得票数が少ない)
820÷3=273.33…⑨
820÷4=205
ワクワク党(得票数750)
750÷1=750…③
750÷2=375…⑦
750÷3=250
750÷4=187.5
よって獲得議席数は わんぱく党4、さわやか党3、ワクワク党2
⑶ 各党の獲得議席数を計算していると、ワクワク党の票の一部がさわやか党の票として間違えて数えられていることに気付きました。間違えていた票をワクワク党に戻したところ、さわやか党の得票数とワクワク党の得票数の比が2:3になりました。
このとき、各政党はそれぞれどの候補まで当選しますか。
ただし、図Ⅱの各政党の名ぼよりえらびなさい。
さわやか党(修正前の得票数820)とワクワク党(修正前の得票数750)の得票数の合計は 820+750=1570票。
これを「さわやか党の得票数とワクワク党の得票数の比が2:3」になるように分けなおすと、さわやか党が628票(=1570×⅖)、ワクワク党が942票(=1570×⅗)というのが正しい得票数だったとわかる。
これをもとに小問⑵と同じく各党の得票数をそれぞれ÷1、÷2、÷3、÷4し、その結果が大きい順に9位までの順位づけをしなおすと
わんぱく党(得票数1230)
1230÷1=1230…①
1230÷2=615…④
1230÷3=410…⑥
1230÷4=307.5…⑨
さわやか党(得票数628)
628÷1=628…③
628÷2=314…⑧(7位と同数だが得票数が少ない)
628÷3=209.33
628÷4=157
ワクワク党(得票数942)
942÷1=942…②
942÷2=471…⑤
942÷3=314…⑦(8位と同数だが得票数が多い)
942÷4=235.5
よって正しい獲得議席数は わんぱく党4、さわやか党2、ワクワク党3 となるから、図Ⅱの名ぼより
わんぱく党はしば、さわやか党はミックス、ワクワク党はダックスフントまで当選することになる