積み木問題⑤ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年の入試問題から難しめの積み木問題です。

 

1辺の長さが1cmの小立方体72個を下の図の直方体になるように積み上げます。この直方体の1つの頂点に集まっている3辺の長さは3cm、3cm、8cmです。直方体の頂点を下の図のようにA〜Hとするとき、以下の問に答えなさい。(栄光学園2023)

⑴ 3点A、B、Gを通る平面で直方体を切断したとき、
 (ア) 切られていない小立方体の個数を答えなさい。
 (イ) 体積が1㎤未満の立体の個数を答えなさい。

 

右矢印 まず切られる方の小立方体の個数を考えると、3階(一番上の段)が9コ、2階(真ん中の段)が12コ、1階(一番下の段)が9コで合計30コ

(*上から見た図は次のとおり。3階の出口の線=2階の入口の線なので1つにまとめてある)

よって

(ア)「小立方体72個」あるから切られていない小立方体の個数は 72-30=42個

(イ) 小立方体は体積1㎤だから切られた小立方体(30コ)はすべて「体積が1㎤未満の立体」となる。これが1コの切断で2コずつできるからその個数は 30×2=60個

⑵ ⑴の切断に加えて、さらに、3点A、D、Fを通る平面で直方体を切断したとき、
 (ア) 切られていない小立方体の個数を答えなさい。 
 (イ) 体積が1㎤未満の立体の個数を答えなさい。

 

右矢印 これもまず切られる小立方体の個数を考える。

A、B、Gを通る平面での切断を「切断①」、A、D、Fを通る平面での切断を「切断②」とすると

  1. 切断①で切られる小立方体は30コ(小問⑴より)
  2. 切断②で切られる小立方体は 3×8=24コ
  3. このうち2回とも切られる小立方体が次の10コある
よって実際に切られた小立方体は 30+24-10=44コ だから (ア)「切られていない小立方体の個数」は 72-44=28個
つぎに (イ) 「体積が1㎤未満の立体」(以下「立体M」)の個数について考える。

同じことなので切断②を先にしたものとして考えるとこれにより24コの小立方が切られるから切断②で24×2=48コの立体Mがまずできる

 

このうち一部が切断①でさらに切られることとなるが、先ほどの図に現時点の立体Mの個数を書き込むと

ここに切断①をするとどうなるかを考えるといま白のハコにある0は2になり、赤のハコにある2は4になる

つまりここにある30の立体すべてから2コずつ立体Mが誕生するのがわかり、切断①で2×30=60コの立体Mが追加される

 

よって「体積が1㎤未満の立体の個数」は 48+60=108個

 

⑶ ⑴と⑵の切断に加えて、さらに、3点B、C、Eを通る平面で直方体を切断したとき、
 (ア) 切られていない小立方体の個数を答えなさい。
 (イ) 体積が1㎤未満の立体の個数を答えなさい。

 

右矢印 これもまず切られる小立方体の個数を考える。

A、B、Gを通る平面での切断を「切断①」、A、D、Fを通る平面とB、C、Eを通る平面の2つの平面での切断を1つと考えて「切断③」とすると

  1. 切断①で切られる小立方体は30コ
  2. 切断③で切られる小立方体は 5×8=40コ
  3. このうち2回とも切られる小立方体が(小問⑵とくらべると⑪~⑯の6コがふえて)次の16コある
 
よって実際に切られた小立方体は 30+40-16=54コ だから (ア)「切られていない小立方体の個数」は 72-54=18個
つぎに (イ) 立体Mの個数について考える。

同じように切断③を先にしたものとして考える

すると4すみにある4×8=32コからはそれぞれ2コ、真ん中にある1×8=8コからはそれぞれ4コの立体Mが誕生するから切断③で32×2+8×4=96コの立体Mがまずできる

 

このうち一部が切断①でさらに切られることとなるが、先ほどの図に現時点の立体Mの個数を書き込むと

ここに切断①をするといま白のハコにある0は2になる。また赤のハコにある2は4になり、4は7になる*

つまりここに書かれた30のうち26の立体からは2コずつ、真ん中4コの立体からは3コずつ立体Mが誕生するのがわかる。

こうして切断①で2×26+3×4=64コの立体Mが追加される

 

 

*2階の真ん中4コは切断③でそれぞれ4コの立体Mに分かれるが、これが切断①で8コにならないのは、4コ中1コの立体Mは下図の青の位置にあり切断①では切られないため。

よって「体積が1㎤未満の立体の個数」は 96+64=160個 完了