水の入った容器をかたむける問題(水の深さ⑤) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

容器をかたむけたときの水の深さというテーマで今年出された問題です。

 

  その1(多摩大目黒2023)

 

立方体の容器に水がいっぱい入っています。図のように1辺が10cm立方体の底面の一辺を水平な面につけたまま、容器を静かに傾けて水をこぼし、残った水の体積がはじめの体積の⅗になるようにしました。㋐にあてはまる数は▢です。

 

 

右矢印残った水の体積がはじめの体積の⅗になる」ならもしこの容器をまっすぐにもどしたときの高さは 10×⅗=6㎝

 

そして容器を傾けたときでも水の平均の高さは6㎝のままだから

青の台形に注目すると左側は高さ10㎝だから右側の高さは2㎝となる(このとき平均の高さは (10+2)÷2=6㎝ となる)

よって㋐の長さは 10-2=8㎝

 

 

  その2(立教池袋2023)

 

下の図は、直方体の容器に水を入れて、容器をかたむけたときのようすを表しています。

次の問いに答えなさい。ただし、容器の厚みは考えないことにします。
1) 水が容器に触れている部分の面積は何㎠ですか。

 

右矢印 容器に触れているのは4面。それぞれの面積を考えると 

  1. 左(直角三角形)… 6×9÷2=27㎠
  2. 右(直角三角形)…左側と相似形で相似比は6㎝:4㎝=3:2だから高さは9×⅔=6㎝。とすると面積は 4×6÷2=12㎠
  3. 前(台形)… (6+4)×12÷2=60㎠
  4. 底(台形)… (9+6)×12÷2=90㎠

よって水が容器に触れている部分の面積は 

 27+12+60+90=189㎠

 

2) 容器に入っている水は何㎠ですか。

 

右矢印 平均の高さを使って求める。

平均の高さの考え方は底面が台形のときは使えないのでいったん下図のように底面が三角形になるように切り分ける(切り口は黒の直角三角形)

これで①三角すい(赤)と②断頭三角柱(青)ができたからそれぞれ体積を求めると

  • 三角すい…底面は三角形(底辺9㎝、高さ12㎝)なので底面積は9×12÷2=54㎠、高さ6㎝だから 54×6÷3=108㎤
  • 断頭三角柱…底面積が12×6÷2=36㎠。高さは平均の高さを使って (6+4+0)÷3=¹⁰⁄₃cmだから 36×¹⁰⁄₃=120㎤

よって 108+120=228㎤

 

 

  その3(滝中2023)

 

T君は牛乳パックを傾けたときの中身の様子に興味を持ち、次のようなモデルに置き換えて考えることにしました。観察しやすいように、透明な容器を用意し、水平な床の上に置き、図1のように、水を高さ18㎝まで入れました。ただし、立体ABCD-EFGHの部分は直方体であり、AB=7㎝、BC=7㎝、AE=20㎝です。次の問いに答えなさい。

⑴ ADを床につけたまま傾けると、図2のように水面は辺EHに重なりました。このとき、図2の𝓧を求めなさい。

 

右矢印 容器を傾けたときでも水の平均の高さは18㎝のままだから、

 (AE+𝓧)÷2=18 より 𝓧=36-AE=16㎝

 

さらに、この容器は上部の形状が不明ですが、T君は容器を上下逆さまにすれば容器の容積を計算できることに気づき、実際に逆さまにしてみると、図3のように水面IJKLは面ABCDに平行で、HL=17㎝となりました。

⑵ 容器の容積は何㎤ですか。

 

右矢印 水の体積を図1から求めると 7×7×18=882㎤

これに図3で容器の上にできた空気部分の体積を足したものが容器の容積となる。この空気部分の体積はAE=20cmより

 7×7×(20-17)=147㎤

よって容器の容積は 882+147=1029㎤

 

⑶ 図3の状態から中の水をいくらか抜いて、図4のように傾けました。抜いた水の体積は何㎤ですか。

 

右矢印 図4にある水を面EFGH(図3)より下の部分❶と上の部分❷に分けて考える。

❶下の部分(断頭三角柱)

図3にある直方体ABCD-EFGHの体積は7×7×20=980㎤。容器全体の容積が1029㎤だから、下の部分の水の体積は 1029-980=49㎤

❷上の部分(断頭四角柱)

平均の高さは (3+19)÷2=11㎝ だから 7×7×11=539㎤

 

よって❶❷あわせていま水は 49+539=588㎤ あり(最初にあった水が882㎤だったから)抜いた水の体積は 882-588=294㎤ 完了