食塩水の出題パターン別相性② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

食塩水の問題に対するアプローチには大きく①天びん図(面積図)で解く、②ビーカー図で解く、③マルイチ算で解くという3つのパターンがあります。問題設定により相性のいい解き方がそれぞれあって、この解法1つですべての問題が解けるという万能な解法はない単元なので、3つすべてを問題に応じて使いこなせるようにしておきたいところです。

 

今回取り上げるのはこの3つすべてを使いこなせないと完答はなかなかきびいという問題です。

 

3つの容器A、B、Cがあり、容器Aには10%の食塩水が300g、容器Bには4%の食塩水が200g、容器Cには濃度不明の食塩水が150g入っています。このとき、次の問いに答えなさい。(洗足学園2023・帰国)

⑴ 容器A、Bから容器Cにそれぞれ50gずつ食塩水を移してよく混ぜると、容器Bと容器Cの食塩水の濃度が同じになります。容器Cの食塩水のはじめの濃度は何%ですか。

 

右矢印「CにAとBを入れるとCの濃度はBと同じになる」ということなので(同じ比どうし足しても引いても比は同じという加比の理より)Bを入れるところは考えなくてもよい

そこで「AからCに50gの食塩水を移すとBとCは同じ濃度4%になる」と問題文を単純にして考えると

天びん図よりCのはじめの濃度は 2% 

 

⑵ 容器Aから容器Bに50gの食塩水を移してよく混ぜたあと、容器Bから容器Aに50gの食塩水を戻してよく混ぜました。このあと、容器Aに何gの水を加えれば容器Aの食塩水の濃度が容器Cの食塩水のはじめの濃度と同じになりますか。ただし、容器Cの食塩水のはじめの濃度は⑴で求めたものとします。

 

右矢印 こうしたやりとり算の場合はビーカー図を使うのが考えやすい。

 

❶「容器Aには10%の食塩水が300g」入っていた。ここに入っている塩は 300×10%=30g(これを「³⁰⁄₃₀₀」と書く)

 

❷「容器Bには4%の食塩水が200g」入っていた。ここに入っている塩は 200×4%=8g(これは「⁸⁄₂₀₀」となる)

❸「容器Aから容器Bに50gの食塩水を移してよく混ぜた」とき(300g中の50gなので)ここに入っている塩は 30g×50÷300=5g だから「⁵⁄₅₀」がAに加わる→Bは「¹³⁄₂₅₀」になる(*ビーカー図の場合、分数の計算と違って分母どうし、分子どうしをそのまま足したり引いたりできるのが便利)

 

❹つづいて「容器Bから容器Aに50gの食塩水を戻し」たとき(250g中の50gなので)ここに入っている塩は 13g×50÷250=2.6g だから「²・⁶⁄₅₀」がBに加わる→Aは「²⁷・⁶⁄₃₀₀」になる

 

こうしてできあがったAには27.6gの食塩が入っている。これを「容器Cの食塩水のはじめの濃度」である2%(小問⑴)にするには

 27.6÷0.02=1380

より食塩水の量は1380gあることが必要。

 

よって、食塩水はいま300gあるからここに加える水の量は

 1380-300=1080g

 

⑶ 容器Aと容器Bからそれぞれ同じ重さの食塩水を同時に取り出し、容器Aから取り出した食塩水を容器Bへ、容器Bから取り出した食塩水を容器Aへ移したところ、容器Aの食塩水の濃度が容器Bの食塩水の濃度の2倍になりました。このとき、最初に容器Aから取り出した食塩水の重さは何gですか。

 

右矢印 AとBから同じ重さの食塩水を取り出すとき(濃度10%の)Aから取り出した食塩水に⑩gの塩が入っているとすると(濃度4%の)Bから取り出した食塩水には④gの塩が入っている。

  • Aにはもともと30gの塩が入っていたから、移しかえたあとのAに入っている塩は30-⑥(=30-⑩+④)
  • Bにはもともと 200×0.04=8g の塩が入っていたから、移しかえたあとのBに入っている塩は8+⑥(=8-④+⑩)

こうしてできた新しい食塩水の濃度の比を考えると

 A:B=(30-⑥)÷300:(8+⑥)÷200

これが2:1だから

 (8+⑥)÷200×2=(30-⑥)÷300 より (8+⑥)×3=30-⑥

だから 24+⑱=30-⑥ より ①=0.25g

 

よってA(濃度10%)から取り出した食塩水に⑩=2.5gの塩が入っていたということは、Aから取り出した食塩水は

 2.5÷0.1=25g 完了