食塩水2023⑦ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

今年の入試問題から食塩水の問題の第7弾です。

たんに2つの食塩水を混ぜるだけの問題は少しずつ減ってきているように思われます。

 

  食塩水を捨てて水を加える(慶應義塾中等部2023)

 

12%の食塩水600gから200gを捨てて、代わりに同じ量の水を加えました。よくかき混ぜた後、今度は食塩水を□g捨てて、代わりに同じ量の水を加えたところ、5.6%の食塩水になりました。

 

右矢印食塩水600gから200gを捨て」たとき、食塩水の⅓を捨てるから食塩もまたその⅓が捨てられる。とすると食塩の量は最初の⅔にへり(食塩水の全体量は600gのままなので)濃度は12%→8%(=12×⅔)にへる。

 

2回めの作業では濃度8%だったのが「5.6%の食塩水に」なったのだから(5.6÷8=⁷⁄₁₀より)濃度は⁷⁄₁₀になっており、8%の食塩水の³⁄₁₀が捨てられたとわかる。

よって2回めに捨てた食塩水は 600׳⁄₁₀=180g

 

 

  食塩水と水を加える(鎌倉女学院2023)

 

□%の食塩水300gに10%の食塩水を120g加え、さらに水を480g加えると、もとの濃さと同じになります。

 

右矢印 食塩の量に注目すると

  • はじめにあった食塩水300g」の濃さを①%とするとこれに入っていた食塩は300×①÷100=③g
  • あとから加えた「10%の食塩水」120gに入っていた食塩は12g

こうしてできあがった食塩水には (③+12)gの食塩が入っている。

 

一方できあがった食塩水900g(=300+120+480)の濃さは「もとの濃さと同じ」①%だからここには900×①÷100=⑨gの食塩が入っている。

 

これらの食塩の量が同じだから ③+12=⑨ より ①=2

 よって □=2%

 

 

  3種類のうち2種類を混ぜる(須磨学園2023第2回)

 

濃度の異なる3つの食塩水A、B、Cがあります。食塩水Bを140 gと水210gを混ぜると、食塩水Aと同じ濃度になります。食塩水Bを140gと食塩10gを混ぜると、食塩はすべて溶けて、食塩水Cと同じ濃度になります。食塩水Aと食塩水Cを同量混ぜると、食塩水Bと同じ濃度になります。食塩水Bの濃度は□%です。

 

右矢印 問題文にある条件を整理すると

  1. 食塩水Bを140gと水210gを混ぜると、食塩水Aと同じ濃度に」なるからBの濃度を⑩%とするとAの濃度は④%(=140×⑩÷(140+210))
  2. このとき「食塩水Aと食塩水Cを同量混ぜると、食塩水Bと同じ濃度に」なるからCの濃度は⑯%となる
  3. 食塩水Bを140gと食塩10gを混ぜると、食塩はすべて溶けて、食塩水Cと同じ濃度に」なるから天びん図を書くと (⑯-⑩):(100-⑯)=1:14 より ⑥×14=100-⑯ なので①=1
よってBの濃度⑩%は10%

 

 

  4種類のうち2種類を混ぜる(白陵中2023)

 

4つの容器A、B、C、Dに食塩水がたくさん入っています。それぞれの容器に入っている食塩水の濃度はすべて異なり、1%、3%、5%、7%のいずれかです。AとBから食塩水を100gずつ取り出して混ぜると、3%の食塩水ができました。
次の問いに答えなさい。

⑴ CとDから食塩水をそれぞれ100g、200g取り出して混ぜると、何%の食塩水ができますか。考えられるものをすべて答えなさい。

 

右矢印 「AとBから食塩水を100gずつ取り出して混ぜると、3%の食塩水が」できたから、AとBは1%か5%に決まる。

とするとCとDは3%か7%。場合分けすると

  • Cが3%、Dが7%のとき…入っている食塩の量は 0.03×100+0.07×200=3+14=17g
  • Cが7%、Dが3%のとき…入っている食塩の量は 0.07×100+0.03×200=7+6=13g

いずれも食塩水の量は300gなので、できる食塩水の濃度は¹⁷⁄₃¹³⁄₃

 

⑵ A、B、C、Dから食塩水をそれぞれ100g、200g、300g、 400g取り出して混ぜると、何%の食塩水ができますか。考えられるものをすべて答えなさい。

 

右矢印 A(100g)、B(200g)は1%か5%のどちらか、C(300g)、D(400g)は3%か7%のどちらかだから

 

A+Bの食塩水に入っている食塩の量を考えると

  • Aが1%、Bが5%のとき…100×0.01+200×0.05=11g
  • Aが5%、Bが1%のとき…100×0.05+200×0.01=7g

C+Dの食塩水に入っている食塩の量を考えると

  • Cが3%、Dが7%のとき…300×0.03+400×0.07=37g
  • Cが7%、Dが3%のとき…300×0.07+400×0.03=33g

これらの組合せは2×2=4通りあり、それぞれに入っている食塩の量と濃度を考えると(食塩水はすべて1000gなので)

  1. ❶と①…11+37=食塩48gだから濃度4.8%
  2. ❶と②…11+33=食塩44gだから濃度4.4%
  3. ❷と①…7+37=食塩44gだから濃度4.4%
  4. ❷と②…7+33=食塩40gだから濃度4%

よって4%、4.4%、4.8%

 

⑶ A、B、C、Dから食塩水をそれぞれ100g、200g、300g、 400g取り出して混ぜた食塩水を空の容器Eに入れました。さらにそこへ、Bから食塩水を何gか追加して混ぜたところ、Eの食塩水の濃度とCの食塩水の濃度が等しくなりました。Bから追加した食塩水は何gですか。

 

右矢印A、B、C、Dから食塩水をそれぞれ100g、200g、300g、 400g取り出して混ぜた食塩水」を食塩水Eとする。

E(4%、4.4%、4.8%のどれか)とB(1%か5%)を混ぜるとC(3%か7%)になるからCの濃度はEとBの間にある。

とするとCは3%、Bは1%に決まる。

これは小問⑵で考えた4つの組合せのうち「❷と①」なので、このときEは4.4%となる。

よって「Bから食塩水を何gか追加して混ぜたところ、Eの食塩水の濃度とCの食塩水の濃度が等しく」なった様子は上のようになるから、Bから追加した食塩水は 1000÷2×1.4=700g 完了