以前の記事の続きです。
今年出題された場合の数の入試問題の第11弾です。
その1(品川女子2023)
AさんとBさんがあるゲームで5回対戦します。勝ち負けは1回ごとに必ず決まり、引き分けはありません。Aさんが続けて負けることなく3勝2敗となるのは□通りあります。
「Aさんが続けて負けることなく」という条件より、余事象の考え方で、ぜんぶの場合から「Aさんが続けて負ける」場合を引いて求めると
❶ぜんぶの場合の数は「〇〇〇××」(〇はAの勝ち、×はAの負け)の並べ方なので(5コから2コを選ぶ選び方で)10通り
❷ このうち「××」の形をふくむものが次の4通り
「〇〇〇××」「〇〇××〇」「〇××〇〇」「××〇〇〇」
よって ❶-❷=10-4=6通り
その2(豊島岡2023第2回)
1から400までの整数の中から、3の倍数と5の倍数を取り出して小さい順に並べると
3、5、6、9、10、12、…、400
となります。この中で、(5,6) や (9,10) のように、2つの続いた整数の組は何組ありますか。
5の倍数に注目して「4,5,6」「9,10,11」「14,15,16」…というように5の倍数を真ん中にした3つ連続する整数の組を考える。
3つ連続する整数のどれか1つは必ず3の倍数だから、こうして真ん中においた5の倍数は3の倍数ととなりあうこととなり「2つの続いた整数」が1組あらわれる。ただし、真ん中の5の倍数が3の倍数でもあるとき(=15の倍数であるとき)をのぞく。
このように考えると
(5の倍数の個数)-(15の倍数の個数)
を計算すればこれがそのまま「2つの続いた整数の組」の数となることがわかり
- 5の倍数の個数…400÷5=80コ
- 15の倍数の個数…400÷15=26.66… より26コ
だから 80-26=54組
その3(名古屋中2023)
2013のように各位の数がすべて異なる整数を『バラバラ整数』、2023のようなバラバラ整数以外の整数を『カブリ整数』とします。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ 4けたの整数のうち、『バラバラ整数』は何個あるか答えなさい。
千の位が1の4けたの整数「1XXX」についてまず考えると
- 百の位は1以外の9通り
- 十の位はまだ使っていない数で8通り
- 一の位もまだ使っていない数で7通り
だから『バラバラ整数』は 9×8×7=504コ ある。
同じように千の位が2の数「2XXX」から9の数「9XXX」についてもそれぞれ504コずつあるから 504×9=4536個
⑵ 3けたの整数のうち、『カブリ整数』は何個あるか答えなさい。
3けたの『バラバラ整数』を同じように求めると「1XX」が 9×8=72コあり、「2XX」から「9XX」までも同じだから、72×9=648コ
よって、3けたの整数(100~999)はぜんぶで900コあるから『カブリ整数』は
900-648=252個
⑶ 次の[ア]、[イ]、[ウ]にあてはまる整数を答えなさい。
『カブリ整数』である3けたの整数が最も長く連続するのは、[ア]から[イ]までの[ウ]個です。
パッと思いつく長く続くカブリ整数は「110~119」「220~229」のように10コ連続するもの。でもよく考えると「990~999」だけはその手前の「989」「988」でもカブリ整数となっているからこの12コ連続が最長となる。
よって ア=988、イ=999、ウ=12
その4(初芝富田林2023)
1個のさいころを3回投げるとき、次の問いに答えなさい。
⑴ 出た目がすべて異なるような目の出方は全部で何通りあるか求めなさい。
1回目に出る目は1~6の6通り、2回目にこれと異なる目が出るのは5通り、3回目にそれまで2回と異なる目が出るのは4通りなので、ぜんぶで
6×5×4=120通り
⑵ ⑴のうち、2回目に出た目が最も大きく、3回目に出た目が最も小さくなるような目の出方は何通りあるか求めなさい。
1回目、2回目、3回目に出た目をそれぞれ①、②、③とする。
1回目に出た目①がいくつだったかで場合分けすると(真ん中の大きさなので6と1はない)
❶ ①=5の場合
②は6だけで1通り、③は4~1の4通りだから 1×4=4通り
❷ ①=4の場合
②は6か5の2通り、③は3~1の3通りだから 2×3=6通り
❸ ①=3の場合
②は6~4の3通り、③は2か1の2通りだから 3×2=6通り
❹ ①=2の場合
②は6~3の4通り、③は1だけの1通りだから 4×1=4通り
よって 4+6+6+4=20通り
⑶ ⑵のうち、出た目の積が6の倍数であるような目の出方は何通りあるか求めなさい。
1回でも6が出るとそのまま6の倍数になるが、その可能性があるのは②だけ。そこで②の目で場合分けして考える
- ②が6の場合…出た目の積は必ず6の倍数となりすべて条件に合う。このとき①と③の組合せは次の10通りある
- ②が5の場合…6の倍数になるのは①×③が6の倍数のとき。これは(①,③)=(4,3) か (3,2) のとき(2の倍数×3の倍数の形になっているとき)なので2通り
- ②が4の場合…6の倍数になるのは(②の4がすでに2の倍数なので)あと①か③が3の倍数になっているとき。これは (①,③) = (3,2) か (3,1) のときで2通り
- ②が3の場合… (①,②,③) = (2,3,1) に決まる。このとき①×②×③=6で条件に合うから1通り
これらを合計して 10+2+2+1=15通り ![]()




