以前の記事に関連する話です。
計算間違いを減らす究極の方法は計算をしないで解くことだという話を以前しました。
時計算でも同じです。
たとえば次の問題は、正面から正解をさがしに行くと面倒な分数計算がどうしても出てきてしまうのですが、そうしなくても正解は出せるようにうまく作られています。計算ミスや時間のロスを防ぐという意味でも、しなくてもすむ計算は回避したいところです。
ある日の、午前9時から午後3時まで1分きざみの各時刻(9時0分、9時1分、9時2分、…、2時59分、3時0分)において、時計の長針と短針が作る角の大きさについて考えます。このとき、次の問に答えなさい。(ラ・サール中2023)
⑴ 午後2時11分のとき、角の大きさは何度ですか。
長針と短針の速さの差は毎分5.5°だから「午後2時11分のとき」午後2時から数えて長針は短針に 5.5×11=60.5°追いつく。
よって、午後2時の角の大きさ60°より、60.5-60=0.5度
⑵ 角の大きさが6度以下である時刻は、午前9時台と午前10時台にそれぞれ何個ありますか。
「角の大きさが6度以下である時刻」というのは針が重なるとき(角の大きさが0°のとき)の少し前と後だからまずは重なる時刻を考えてみる。ただし、これは正解をさがす目安に使うだけなので重なる時刻はざっくりと考えるだけで十分。
ということで重なる時刻をざっくりと考えてみると、❶午前9時台では9時50分、❷午前10時台では10時55分。(❶はだいたい10の文字盤のところで重なりそう、❷はだいたい11の文字盤のところで重なりそうだから)
❶午前9時台
- 午前9時の長針と短針の開きは270°だが、9時50分には長針が5.5×50=275°追いつきその角度は5°(条件に合う)
- この1分後は明らかに6°を超えるので×
- この1分前(9時49分)は 5.5°-5°=0.5° で条件に合う。2分前(9時48分)も 0.5°+5.5°=6° で条件に合う(が3分前は明らかに×)
よって午前9時台には3個ある。
❷午前10時台
- 午前10時の長針と短針の開きは300°だが、10時55分には長針が5.5×55=302.5°追いつきその角度は2.5°(条件に合う)
- この1分後は2.5+5.5=8°で×
- この1分前(10時54分)は 5.5°-2.5°=3° で条件に合う(が2分前は明らかに×)
よって午前10時台には2個ある。
⑶ 角の大きさが6度以下である時刻は全部で何個ですか。ただし、長針と短針が重なり0度となる時刻も数えます。
小問⑵と同じように、午前11時以降で重なる時刻もざっくりと考えてみると、午前11時台で針が重なる時刻はない。❸午前12時台では12時0分、❹午後1時台では1時5分、❺午後2時台では2時10分(❸はぴったり重なる、❹はだいたい1の文字盤のところで重なりそう、❺はだいたい2の文字盤のところで重なりそう)
❸午前12時台
- 午前12時の針の開きは0°なので、11時59分、12時0分、12時1分の3つが条件に合う
❹午後1時台
- 午後1時の針の開きは30°だが、1時5分には長針が5.5×5=27.5°追いつきその角度は2.5°(条件に合う)
- この1分後は2.5+5.5=8°で×
- この1分前(1時4分)は 5.5°-2.5°=3° で条件に合う(が2分前は明らかに×)
❺午後2時台
- 午後2時の針の開きは60°だが、2時10分には長針が5.5×10=55°追いつきその角度は5°(条件に合う)
- この1分後は明らかに6°を超えるので×
- この1分前(2時9分)は 5.5°-5°=0.5° で条件に合う。2分前(2時8分)も 0.5°+5.5°=6° で条件に合う(が3分前は明らかに×)
よって ❶~❺の合計で 3+2+3+2+3=13個