過不足算2023 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

2023年に出題された過不足算(差集め算)の問題から、これまでの典型的な過不足算からひとひねりされたものを集めてみました。

 

  ノートの配り方(大宮開成2023)

 

何冊かのノートをA班とB班の生徒に分けます。A班の生徒はB班よりも3人多いです。1人の生徒に対し、A班で3冊ずつ、B班で5冊ずつ配ると26冊余り、A班で4冊ずつ、B班で7冊ずつ配ると2冊余ります。ノートは何冊ありますか。

 

右矢印 問題文にある2つの状況を少し変えて配り方をそろえることを考える。

たとえばA班の配り方をそろえてみると

  1. A班で3冊ずつ、B班で5冊ずつ配ると26冊」余る。「A班の生徒はB班よりも3人多い」からB班に配るノートを1冊ずつへらしA班に配るノートを1冊ずつ増やすと余りはいまより3冊少なくなる。つまり「A班で4冊ずつ、B班で4冊ずつ配ると23冊余る」こととなる。
  2. 一方で「A班で4冊ずつ、B班で7冊ずつ配ると2冊」余る。これらを比べると(A班の配り方は同じだから)B班で3冊ずつ多く配ると全体で21冊多くノートが必要になるのがわかる。

したがってB班の人数は7人。ここからA班の人数は10人もわかり、ノートの冊数は

 3×10+5×7+26=91冊

 

 

  みかんの配り方(浅野中2023)

 

子どもたちにみかんを配ります。1人に3個ずつ配ると10個余り、5個ずつ配ると最後の1人はいくつか足りませんでした。このとき、最初にあったみかんの個数は[イ]個または[ウ]個です。

 

右矢印 問題文を少し読みかえてひとまず「1人に3個ずつ配ると10個余り、5個ずつ配るとちょうど配れた」ときの子どもたちの数○人を考える。

すると 3×○+10=5×○ より ②=10 ①=5人

つまりもし子どもが5人いて、みかんが3×5+10=25個あれば「1人に3個ずつ配ると10個余り」5個ずつ配るとちょうど配れる状況になる。

 

となると、5個ずつ配ると最後の1人はいくつか足りない状況というのは子どもが6人以上いるときを考えればよい。これを人数が少ない順に考えていくと

  1. 子どもが6人のとき…みかんは「1人に3個ずつ配ると10個」余るから3×6+10=28個ある。このとき5個ずつ配ると5×6=30個必要なので2個足りず条件に合う
  2. 子どもが7人のとき…みかんは3×7+10=31個ある。このとき5個ずつ配ると35個必要なので4個足りず条件に合う
  3. 子どもが8人のとき…みかんは3×8+10=34個ある。このとき5個ずつ配ると40個必要なので6個足りない。しかしこれだと「最後の1人はいくつか足りませんでした」の条件に合わない(最後の2人が足りなくなってしまう)
子どもが9人以上いるときも最後の2人以上が足りなくなってしまうから、条件に合うのは1.か2.のときだけで、イ=28個、ウ=31個
 

 

  まんじゅうの箱詰め(早稲田実業2023)

 

和菓子屋さんが、まんじゅうを箱詰めして販売する準備をしています。箱詰めする箱は、大きな箱Aと小さな箱Bで、あわせて50箱あります。
最初に、箱Aに6個ずつ入れ、箱Bに4個ずつ入れたら、まんじゅうが50個残ってしまいました。そこで、箱Aに8個ずつ入れ、箱Bに5個ずつ入れたら、箱Aが1箱、箱Bが2箱余りましたが、その他の箱には過不足なく入れることができました。
まんじゅうは全部で何個ありますか。

 

右矢印 まんじゅうが全部で□個、箱AがA箱、箱BがB箱あるとすると

  • 箱Aに6個ずつ入れ、箱Bに4個ずつ入れたら、まんじゅうが50個」残るから □=6×A+4×B+50
  •  「箱Aに8個ずつ入れ、箱Bに5個ずつ入れたら、箱Aが1箱、箱Bが2箱」余るから □=8×A+5×B-8×1-5×2

という2つの式ができる。□は等しいから

 6×A+4×B+50=8×A+5×B-18 より

 2×A+B=68…①

一方「大きな箱Aと小さな箱Bで、あわせて50箱」あるから A+B=50…②

①②より A=18箱とわかり、B=32箱もわかる。

 

よって、まんじゅうの個数□は

 6×18+4×32+50=286個

 

 

  ひな祭りの参加人数(東洋英和2023)

 

保育園のひな祭りで、あめ5個とグミ3個を1セットにして配ることにしました。あめは45個入りの袋、グミは18個入りの袋で売っていたので、セットを作ったときに余りが出ないように買いました。園児45人全員と、いっしょに来た兄弟に1セットずつあげたところ、13セット余りました。ひな祭りに参加した子どもは、最も少ない場合何人ですか。

 

右矢印 あめは1袋45個入りでこの個数は3×3×5となっている。グミは1袋18個入りなので2×3×3。

これを「あめ5個とグミ3個を1セット」として配るときに余りが出ないように、あめ:グミ=5:3となるように買うことを考えると、袋で買うため最も少なくてあめ2袋(その中身は3×3×5×2=90コ)、グミ3袋(2×3×3×3=54コ)を買うこととなる。このとき90÷5=18セットが作れる。

つまりセットの数は18の倍数であるとわかる。

 

そして配り終わったとき13セット余った。この13セットをのぞいた実際に配ったセット数がどうなるかを小さい順に見ていくと

  1. 18セット買って18-13=5セット配った
  2. 36セット買って36-13=23セット配った
  3. 54セット買って54-13=41セット配った
  4. 72セット買って72-13=59セット配った
となり、59セット買ったときはじめて「園児45人全員」に配れるだけのセット数になる。

よってこのとき配ったセット数がそのまま「ひな祭りに参加した子ども」の最少人数で 59人 完了