カードで整数をつくる② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

カードで整数をつくる問題では、場合の数に関するシンプルな問題文のものも多いですが、ときには問題文が長文でその内容の把握や条件整理に時間がかかるものもあります。

たとえばこちらの問題。

 

♠と♡のマークがついている6枚のカード♠1、♠2、♠3、♡1、♡2、♡3を、適当な順で左から右に1列に並べる。ここで、次のように操作①、②を決め、並べたカードに対して、①からはじめ、操作を終了するまで行う。
①:左から見ていき、マークがある隣り合う2枚のカードを見つけたときは②に進む。マークがあるカードが1枚のときは、そのカードを取り除き、書かれていた数字だけを書いた新たなカードに置き換えて、操作を終了する。マークがあるカードがないときは、操作を終了する。
②:①で見つけた隣り合う2枚のカードに対して、以下のいずれかを行う。
・同じ数字のときは、2枚のカードを取り除き、書かれていた数字の和だけを書いた新たなカードに置き換えて①に戻る。
・同じマークのときは、2枚のカードを取り除き、書かれていた数字の積だけを書いた新たなカードに置き換えて①に戻る。
・数字もマークも異なるときは、左のカードを取り除き、書かれていた数字だけを書いた新たなカードに置き換える。右のカードはそのままにして①に戻る。

(例) カードの並びが左から「♠1、♠2、♡2、♠3、♡3、♡1」のとき、
 1.①を行い、♠1、♠2を見つける。②を行い、同じマークであるから、数字の積2を書いた新たなカードに置き換えて①に戻る。カードの並びは左から「2、♡2、♠3、♡3、♡1」となる。
 2.①を行い、♡2、♠3を見つける。②を行い、数字もマークも異なるから、左のカード♡2を取り除き、2だけを書いた新たなカードに置き換える。右のカード♠3はそのままにして①に戻る。カードの並びは左から「2、2、♠3、♡3、♡1」となる。
 3.①を行い、♠3、♡3を見つける。②を行い、同じ数字であるから、数字の和6を書いた新たなカードに置き換えて①に戻る。カードの並びは左から「2、2、6、♡1」となる。
 4.①を行い、マークがあるカードは♡1のみなので、このカードを取り除き、1だけを書いた新たなカードに置き換えて、操作を終了する。カードの並びは左から「2、2、6、1」となり、カードの数字を左から読んだ数は2261である.
このとき、次の問いに答えなさい。(市川中2022第2回)

⑴ カードの並びが左から「♠1、♡2、♠2、♡3、♡1、♠3」であったときに操作を終了するまで行った。このとき、カードの数字を左から読んだ数はいくつになるか答えなさい。

 

右差し 要するに決められたルールで左から順にマークを消していって数字だけに変えていくというもの。このルールを長い問題文からいかに早く読み取れるかが最初のハードルとなります。

 

右矢印 マークを数字になおす際にポイントとなる操作②をまとめると

 ❶数字が同じならたし算する

 ❷マークが同じならかけ算する

 ❸数字もマークも両方違うなら左のカードがそのまま数字になる

 
3つの操作を❶、❷、❸として見ていくと

「♠1、♡2、♠2、♡3、♡1、♠3」

  1. ♠1、♡2を見つける。❸より左のカードを数字1に置き換える→「1、♡2、♠2、♡3、♡1、♠3」となる
  2. ♡2、♠2を見つける。❶より数字4に置き換える→「1、4、♡3、♡1、♠3」
  3. ♡3、♡1を見つける。❷より数字3に置き換える→「1、4、3、♠3」
  4. ①より♠3を3に置き換えて終了
よって1433
 

 

⑵ 操作が終了したときのカードの数字を左から読んだ数は21361であった。操作をはじめる前のカードの並びを考えたとき、左から2番目と5番目のカードのマークと数字を合わせて答えなさい。ただし、一番左のカードは♠のカードとする。また、♠のマークはS、♡のマークはHと書くことにし、例えば♠1の場合はS1と書きなさい。

 

右矢印 ルールの再確認

 ❶数字が同じならたし算

 ❷マークが同じならかけ算

 ❸それ以外は左のカードの数字そのまま

「21361」

6枚のカード♠1、♠2、♠3、♡1、♡2、♡3」の数字に注目すると1が2コ、2が2コ、3が2コある。

一方、できた数字「21361」のうち「6」に注目すると「6」のつくり方は6=2×3か3×2だけ(6=3+3だと3が足りなくなってしまう)。となると

 「6」は操作❷の結果、それ以外の数字は❸の結果

であることがまず決まる。

 

そこで「21361」を左から順に見ていくと

  1. 一番左のカードは♠のカード」→最初のカードは♠2に決まる
  2. となりどうし同じマークにならない(そうなると操作❷が起きてしまう)→最初の「213」は「♠2♡1♠3」に決まる
  3. つぎの「6」は2×3か3×2のどちらかだが「♠3」に続くカードなので2×3の順番だけ(でないと操作❶が起きてしまう)。マークは(♠2、♠3は使ったので)どちらも♡に決まる→「♠2♡1♠3♡2♡3」まで決まる
  4. 最後の「1」は残った「♠1」→「♠2♡1♠3♡2♡3♠︎1」とぜんぶ決まる

よって 2番目…H1、5番目…H3

 

 

⑶ 2枚のカード♠4、♡4を追加して、8枚のカード♠1、♠2、♠3、♠4、♡1、♡2、♡3、♡4を適当な順で左から右に1列に並べて、操作を終了するまで行った。このとき、カードの数字を左から読んだ数は426122であった。操作をはじめる前のカードの並びを考えたとき、並び方は全部で何通りあるか求めなさい。ただし、一番左のカードは♠のカードとする。

 

右矢印 ルールの再確認

 ❶数字が同じならたし算

 ❷マークが同じならかけ算

 ❸それ以外は左のカードの数字そのまま

「426122」

8枚のカード♠1、♠2、♠3、♠4、♡1、♡2、♡3、♡4」のうち数字が大きい♠3、♡3、♠4、♡4に注目する。

この4つはどう組み合わせても「426122」にある「1」や「2」になることはない。そこで「4」と「6」に使うこととなる。

そして(マークはさておき)3と4のカードの使い方としてすぐに思い浮かぶ数字の組合せは

 ①4=1×4(操作❷による)

 ②4=4(操作❸

 ③6=2×3(操作❷)

 ④6=3+3(操作❶)

このとき、①③、①④、➁③、➁④の4つの組合せパターンがあるが、これだけだと計4枚ある3と4のカードを使い切ることはできない。そこで

 ⑤12=3×4(操作❷)

も必ず一緒に使うことが必要。

 

こうしてわかるのは(マークはさておき)3と4を2コずつ使う組合せがうまくつくれるのは「①③⑤」か「②③⑤」かの2パターンだけ。それぞれのパターンで考えてみる。

 

  ①③⑤で426122をつくれるか

 

 ①4=1×4、③6=2×3、⑤12=3×4

の組合せだとすると、残るカードは(マークはさておき)1と2が1枚ずつ。

しかしこれだと「426122」にあと2コある「2」がつくれなくなってしまい、この時点で条件に合わない。

 

  ②③⑤で426122をつくれるか

 

こうして

 ②4=4、③6=2×3、⑤12=3×4

の組合せを使うことが決まる。このとき「一番左のカードは♠のカード」なので、最初の「426」は

 ア、「♠4♡2♠3♠︎2」

 イ、「♠4♡1♠︎1♠3♠︎2」

 ウ、「♠4♡1♠︎1♠2♠︎3」

のどれかに決まり、この3つで場合分けをする。(なおこれに続く「12」のところも「♡3♡4」か「♡4♡3」のどちらかだとこの時点で決まる。)

 

ア、「♠4♡2♠3♠︎2」ではじまる並べ方…4通り

残りの「♡3、♡4」と「♠1、♡1」を次のように並べると「426122」ができる。

「♠4♡2♠3♠︎2♡3♡4♠︎1♡1

「♠4♡2♠3♠︎2♡3♡4♡1♠︎1

「♠4♡2♠3♠︎2♡4♡3♠︎1♡1

「♠4♡2♠3♠︎2♡4♡3♡1♠︎1

 

イ、「♠4♡1♠︎1♠3♠︎2」ではじまる並べ方…2通り

残りの「♡3、♡4」と「♡2」を次のように並べると「426122」ができる。

「♠4♡1♠︎1♠3♠︎2♡3♡4♡2

「♠4♡1♠︎1♠3♠︎2♡4♡3♡2

 

ウ、「♠4♡1♠︎1♠2♠︎3」ではじまる並べ方…2通り

残りの「♡3と♡4」と「♡2」を次のように並べると「426122」ができる。

「♠4♡1♠︎1♠2♠︎3♡3♡4♡2

「♠4♡1♠︎1♠2♠︎3♡4♡3♡2

 

以上の合計で 8通り 完了