以前の記事の続きです。
今年の入試問題で出された倍数算4問を今回取り上げます。
その1(神戸女学院2023)
お祭りでジュースとお茶を売ったところ、1日目に売れたジュースとお茶の本数の比は11:8でした。2日目に売れた本数は、1日目よりジュースが10本少なく、お茶が5本多かったので、2日目に売れたジュースとお茶の本数の比は9:7でした。1日目に売れたジュースは何本でしたか。
「1日目に売れたジュースとお茶の本数の比は11:8」より1日目に売れたジュースの本数を⑪本、お茶の本数を⑧本とする。
このとき「2日目に売れた本数は、1日目よりジュースが10本少なく、お茶が5本多かった」ので2日目に売れたのはジュースが(⑪-10)本、お茶が(⑧+5)本となる。これが9:7なので
(⑪-10):(⑧+5)=9:7
ここで内項の積=外項の積だから
⑤=115 より ①=23本
よって、1日目に売れたジュース⑪は 23×11=253本
その2(大妻多摩2023午後)
花子さんと弟が現在持っているお金の比は8:5です。2人はケーキ屋に行って3:1の比でお金を出し合って1つのケーキを買ったところ、2人の残金はともに2100円になりました。ケーキの金額はいくらですか。
比例式の中に2種類の記号(○や□)が出てこないように残金から逆に考えるとうまくいく問題です。
「2人はケーキ屋に行って3:1の比でお金を出し合って1つのケーキを買った」から花子さんがケーキに使った金額を③、弟が使った金額を①とする。これに残った金額「2人の残金はともに2100円」を足すと現在の金額になる。これが8:5なので
(③+2100):(①+2100)=8:5
内項の積=外項の積より ⑧+16800=⑮+10500
⑦=6300 なので ①=900円
よって、ケーキの金額④は 900×4=3600円
その3(吉祥女子2023)
2つの貯金箱A、Bにそれぞれお金が入っています。Bに入っている金額はAに入っている金額の¾です。Aに入っている金額の⅗を使い、Bには新たに700円を入れました。その後、Bに入っている金額の⁷⁄₂₀を取り出してAに入れたところ、AとBに入っている金額は同じになりました。
最初にAに入っていた金額は何円ですか。
これも途中の出し入れから考えるとうまくいく問題です。
「Bに入っている⁷⁄₂₀を取り出してAに入れたところ、AとBに入っている金額は同じに」なったのでBから⁷⁄₂₀を取り出す直前の金額を⑳とすると、Aに移した金額は⑦、Bに残った金額は⑬、Aに残った金額も⑬となる(表の青数字の部分)
とするとBから⑦をもらう前のAの金額が⑥だったこと、またAのはじめの金額は⑥÷⅖=⑮だったことがわかる。
またBのはじめの金額は⑳-700(700円を入れる前のことなので)
そこでA、Bのはじめの金額で比例式をつくると
⑮:(⑳-700)=4:3 ㉟=2800 より ①=80円
よって、最初にAに入っていた金額⑮は 80×15=1200円
その4(立教女学院2023)
姉と妹が一緒に出かけました。まず、それぞれが同じキーホルダーを[①]円で買うと、姉は所持金がはじめの6割に、妹は4割になりました。次に、姉が1つ225円の飲み物を2人分買い、最後に、2人で家族へのおみやげを買いました。おみやげについて、それぞれの支払いの割合は、そのときの2人の所持金の比の割合です。残金が姉は300円、妹は200円のとき、2人がはじめに持っていた所持金は、姉が[②]円、妹が[③]円です。
姉のはじめの所持金㋐、妹の所持金㋑、キーホルダーの値段㋖の3つの関係についてまず考えると
- 姉がキーホルダーを買ったら「所持金がはじめの6割に」なったから ㋐:㋖=10:4=15:6
- 妹がキーホルダーを買ったら所持金がはじめの「4割に」なったから ㋑:㋖=10:6
- 上を連比にすると ㋐:㋑:㋖=15:10:6
この結果から姉のはじめの所持金を⑮円、妹の所持金を⑩円、キーホルダーの値段を⑥円とおく。
するとキーホルダーと飲み物を買ったところまでの途中の残金は姉が(⑨-450)円、妹が④となる。
ところで比には「同じ比どうしをたしても(ひいても)比はかわらない」という性質(加比の理)があるから「おみやげについて、それぞれの支払いの割合は、そのときの2人の所持金の比の割合」だったときその割合は「残金が姉は300円、妹は200円」と同じ割合の3:2だったとわかる。
とするとおみやげに出したお金も途中の残金も3:2だから
(⑨-450):④=3:2 より ⑱-900=⑫ なので ①=150円
よって
キーホルダー⑥は 150×6=900円
姉のはじめの所持金⑮は 150×15=2250円
妹のはじめの所持金⑩は1500円