鉄道模型(通過算2023) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

今年の入試問題から、鉄道模型と通過算の組合せという、あるようで意外となかった問題を今回取り上げます。「見える長さの変化のグラフ」というのもなかなか目新しい切り口です。

 

[図1]のように、途中にトンネルがある円形の線路の模型があります。電車の模型A、Bはそれぞれ矢印の向きに一定の速さで走っています。Aは車両の長さが20cmで外側を、Bは車両の長さが16cmで内側を走っています。AとBは9時に地点Pですれちがい始め、その60秒後にもPですれちがい始めます。

地点QからAを見たとき、AとBがすれちがっている間やAがトンネルに入っている間は、Aの車両はBの車両やトンネルでかくれるので、「Qから見えるAの車両の長さ」は短くなります。[図2]はAとBがすれちがっている途中の図で、XとYの和が「Qから見えるAの車両の長さ」です。

グラフは9時からの経過時間と「Qから見えるAの車両の長さ」との関係を表したものです。以下の問いに答えなさい。(清風南海2023)

 

に当てはまる数を答えなさい。

 

右矢印Aは車両の長さが20cm」「Bは車両の長さが16cm」なのでその差4㎝

図2にある「XとYの和が「Qから見えるAの車両の長さ」」なので、Aの車両のうち少なくともこの4㎝部分はAとBがすれちがっている途中でもいつもQから見えているとわかる。

よって =4

 

⑵ Aが線路を1周する間にBは何周しますか。

 

右矢印 AとBがすれちがっているとき(0秒から4秒)のグラフの形と同じものがスタートして20秒後、40秒後(のはじめの方)、60秒後に出てくる(下図の赤の部分)。

ここからAとBは20秒ごとにすれちがう=AとBの速さを足すと20秒で線路を1周する速さになることがわかる。

 

またグラフを見ると60秒間に0になる(=ぜんぶかくれる)のは44秒すぎにある1回だけ。これはAがトンネルを通るのが60秒間で1回だけということなので、Aは60秒で1周する。なので20秒だと⅓周する。

よって、Bは20秒で残り⅔周を走ることがわかり、60秒だと⅔×3=2周する

 

⑶ A、Bの速さはそれぞれ秒速何cmですか。

 

右矢印 グラフからAとBがすれ違うのにかかる時間は4秒。すれ違うときに走る距離は (Aの長さ)+(Bの長さ)=20+16=36㎝。

となるとAとBの速さの和は秒速9㎝(=36÷4)

 

そしてAが1周する間にBは2周する(小問⑵)から、Bの速さはAの速さの2倍

よって Aの速さは秒速3㎝、Bの速さは秒速6㎝

 

⑷ トンネルの長さは何cmですか。この問題については、求め方も書きなさい。

 

右矢印44秒後にみえるAの長さは本来20㎝あるはずのところ、グラフでは14㎝になっている。ここからこの時点でトンネルに6㎝かくれているとわかる。

これはA(秒速3㎝)がトンネルに入り始めてから2秒後のことなので、Aがトンネルに入り始めたのは42秒後

そしてAがトンネルから出終わったのが58秒後なので、トンネル通過にかかる時間は16秒。Aはこの16秒間で3×16=48㎝進むから「トンネル+Aの長さ」は48㎝とわかる。

よって、Aの長さ20㎝なので、トンネルの長さは 48-20=28㎝ 完了