以前の記事の続きです。
約数の世界もなかなか奥が深いので、一口に約数の個数問題といっても簡単なものから手ごわいものまでいろいろです。
たとえば次のような問題。
なお、この「約数の個数」の単元にかぎっては、中学数学で習うA×A×A×A=A⁴という書き方(「Aの4乗」と読むのでこのような数を四乗数という)を知っておいた方が理解が断然早くなる(実際これをふつうに使っている塾や参考書もありふつうに使っている中受生もいる)ため、以下そのように記載しています。
約数が2個(桜美林2022算数)
[A]はAの約数の個数を表すものとします。たとえば、8の約数は1、2、4、8の4個なので[8]=4となります。Aを1から20までの整数とするとき、[A]=2となる整数Aは全部で何個ありますか。
約数が2個となるのは素数だけ(超頻出。素数の定義の裏返しにすぎないのですが)なので2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19の 8個
約数が5個(芝中2021)
整数の中で、1とその数を含めて、約数をちょうど5個持つ整数の中で2番目に小さい整数は、[ (1) ]です。
「約数をちょうど5個持つ整数」は素数の四乗数(A⁴の形)だけ。素数の四乗数で1番小さいものは2⁴=16なので「2番目に小さい整数」は3⁴=81
また、1とその数を含めて、約数をちょうど8個持つ整数の中で1番小さい整数は、[ (2) ]です。
「約数をちょうど8個持つ整数」には
①素数の七乗数(A⁷の形)
②A³×Bとなる数(A、Bは異なる素数)
③A×B×Cとなる数(A、B、Cは異なる素数。「楔数(くさびすう)」)
の3パターンがあるので、それぞれの最小の数をくらべる。
①で最小のものは128(=2⁷)
②で最小のものは24(=2³×3)
③で最小のものもは30(=2×3×5)
なので「1番小さい整数」は 24
約数が奇数個(東京都市大等々力2022算数)
1以上50以下の整数のうち、約数の個数が奇数となるものは何個ありますか。
以下の合計で7個
- 約数が1コ…1だけで1個
- 約数が3コ…素数の平方数(A²)だけなので4, 9, 25, 49の4個
- 約数が5コ…素数の四乗数だけなので16(=2⁴)の1個
- 約数が7コ…素数の六乗数(A⁶)だけなのでなし(2⁶=64が最小)
- 約数が9コ…①素数の八乗数(A⁸)か②A²×B²の形なので36(=2²×3²)の1個だけ
約数が11コ…素数を10回かけた形(A¹⁰)だけなので1024が最小
約数が13コ…素数を12回かけた形(A¹²)だけなので4096が最小
と基本的にはどんどん大きくなります。ただ
約数が15コ…①素数を14回かけた形(A¹⁴)と②A⁴×B²の形とがあるので2⁴×3²=144が最小
のようにまた小さくなることもあるのでなかなか油断はできないのですが。
約数の個数が最大(頌栄女子2017第2回)
1から100までの整数について、次の間いに答えなさい。
⑴ 約数の個数が3個である整数は全部で何個ありますか。
素数の平方数なので4, 9, 25, 49の4個
⑵ 約数の個数が4個である整数は全部で何個ありますか。
次の①②の合計で32個
①素数の立方数(A³の形)…8, 27の2個
②A×B(A、Bは異なる素数)の形…6, 10, 14, 15, 21, 22, 26, 33, 34, 35, 38, 39, 46, 51, 55, 57, 58, 62, 65, 69, 74, 77, 82, 85, 86, 87, 91, 93, 94, 95の30個
⑶ 約数の個数が最も多い整数は、何個の約数を持ちますか。
12個
次の①②③の3パターンで60, 72, 84, 90, 96の計5個がある
①A²×B×Cの形
2²×3×5=60
2²×3×7=84
2×3²×5=90
②A³×B²の形
2³×3²=72
③A⁵×Bの形
2⁵×3=96
なお、約数が13個以上のものが100以下にないことは
約数が13個の最小の数→2¹²=4096
約数が14個の最小の数→2⁶×3=192
約数が15個の最小の数→2⁴×3²=144
約数が16個の最小の数→2³×3×5=120
のように1つ1つ見ていくしかなさそうです。