行ったり来たりする旅人算 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

旅人算の問題では、行ったり来たりする状況にしたものが増えてきています。向かい合って進むとき(出会い算)と同じ方向に進むとき(追いこし算)の二つの理解をまとめて問うことができるので、出題者にとっては効率のよい問題、受験生にとっては手ごわい問題といえます。

たとえば次の問題。

 

A、B、C、D、Eの5人がP町からQ町に行くことになりました。4人乗りの車を1台使うことができ、その車には自転車を1台だけ積むことができます。
はじめ、自転車を1台積んでA、B、C、Dの4人が車で、Eが自転車で、P町からQ町に向けて同時に出発しました。途中でDは車から降り、そこから自転車でQ町に向かい、残り3人は車でEを迎えに同じ道を戻り、自転車でQ町に向かっていたEと出会ったところでEと自転車を乗せ、再びQ町に向かいました。そして、P町を出発してから2時間後に、車と、Dが乗った自転車は同時にQ町に着きました。
D、Eの自転車の速度はそれぞれ時速14km、時速10.5kmで、車の速度は時速42kmで一定です。このとき、P町とQ町の道のりは何kmですか。ただし、P町とQ町を結ぶ道は1本しかなく、人や自転車の車の乗り降りにがかる時間は考えないものとします。(市川中2016第2回)

 

右矢印 まずは問題文にある情報をもとにダイヤグラムを書いてみる。

まずDが車から降りた地点における車とEとの距離(青の矢印)に注目する。矢印の左側が㋐時間、右側(再び車とEが出会うまで)が㋑時間かかったとすると、距離が一定のとき速さの比と時間の比は逆比になる。㋐の部分の離れていく速さは42-10.5=時速31.5㎞、㋑の部分の近づいていく速さは42+10.5=時速52.5㎞なので ㋐:㋑=52.5:31.5=105:63=5:3…①

 

次に車がEと出会いEを乗せた地点における車とDとの距離(赤の矢印)に注目する。矢印の右側(再び車とDが出会うまで=Q到着まで)が㋒時間かかったとすると、㋑部分の離れていく速さは42+14=時速56㎞、㋒部分の近づいていく速さは42-14=時速28㎞なので ㋑:㋒=28:56=1:2…②

①②を比合わせすると

 ㋐:㋑:㋒=5:3:6

より ㋐=2×⁵⁄₁₄=⁵⁄₇時間、㋑+㋒=⁹⁄₇時間

よってPQ間の距離は 42×⁵⁄₇+14×⁹⁄₇=30+18=48㎞ 完了

 

 

というのがきれいな教科書的解答ですが、ダイヤグラムをきちんと書けるのが前提となっていることもあり、同種の問題を何度も解いたことがある人でないとなかなかこの解き方は出てきません。別解のように問題文を追って地道に解いていく方法もきちんとマスターしておきたいところです。

別解

 

途中でDは事から降り、そこから自転車でQ町に」向かった地点を㋐、「自転車でQ町に向かっていたEと出会ったところでEと自転車を乗せ、再びQ町に」向かった地点を㋑とする。

D、Eの自転車の速度はそれぞれ時速14km、時速10.5kmで、車の速度は時速42km」より、3つの速さの比は

 車:D:E=42:14:10.5=12:4:3

距離は速さに比例するから、㋐の地点を12とおくと、このときEのいる地点は3。この距離9の出会い算を考えるとこれが㋑の地点となる。車の移動した距離を出すと

 9÷(12+3)×12=7.2

となり、㋑の地点は4.8となる。

また速さの比は車:D=12:4=3:1なので、Dが「車から降り」た地点から、車が「Eと自転車を乗せ、再びQ町に」向かった地点までに、Dは2.4(=7.2×1/3)進んでいる。これと車が戻った距離7.2との和である距離9.6の追いこし算を考えるとQの位置が決まる。

 9.6÷(12-4)×12=14.4

より、Qの位置は 4.8+14.419.2

 

ここで車の走った距離の和は12+7.2+14.433.6。これは時速42㎞で2時間走った距離なので84㎞に当たる。

よって「P町とQ町の道のり19.2

 84㎞÷33.6×19.248㎞ 完了