以前の記事の続きです。
場合の数の典型問題の一つに色のぬり分け問題があります。
ボールと箱の問題もそうですが、似たような問題なのに少し条件が変わると結果もぜんぜん違ってくるというものが多く、演習量がものを言う分野です。
たとえば次のような問題です。
5か所を4色でぬる(品川女子2020算数)
右の図のア、イ、ウ、エ、オを、赤、青、黄、緑の4色をすべて使ってぬり分けます。となりあう部分が同じ色にならないようにすると、ぬり方は▢通りです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20221105/06/jukensansuwa/de/f8/j/o1335055515198326799.jpg?caw=800)
「4色すべて使って」5か所をぬるから、ア~オのうちどこか2か所は同じ色になるので場合分けをする。
同じ色でぬれる場所はアとエ、アとオ、イとエ、イとオの4パターンあるが、
- アとエを同じ色でぬるとき…この同じ色の選び方が4通り。このときイの選び方が3通り、ウの選び方が2通り、エの選び方が1通りで、4×3×2×1=24通り
- アとオを同じ色でぬるとき、イとエを同じ色でぬるとき、イとオを同じ色でぬるときもそれぞれ24通り
あるから、24×4=96通り
4か所(制限付き)を4色でぬる(香蘭女学校2022第2回)
右の図を赤色、青色、緑色、黄色の4色全てを使ってぬリ分けます。左上の部分には赤色をぬりました。残った部分のぬり方は全部で▢通りです。ただし、となり合う部分は異なる色でぬります。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20221108/03/jukensansuwa/3d/42/j/o1152061315199819413.jpg?caw=800)
残りの4か所(左上から順に㋐㋑㋒㋓とする)に赤をどうぬるかで場合分けをすると
- 赤を㋑にぬるとき…残る3か所(㋐㋒㋓)で3色(青・緑・黄)を使うぬり分けなので3×2×1=6通り
- 赤を㋓にぬるとき…1と同じく残る3か所(㋐㋑㋒)で3色(青・緑・黄)を使うぬり分けなので6通り
- 赤をぬらないとき…㋐㋒㋓の3か所で3色(青・緑・黄)を使うぬり分けなので6通り(このとき㋑は自動的に㋒と同じ色に決まる)
以上の合計で6+6+6=18通り
5か所を3色でぬる(都市大等々力2020)
図1、図2のような旗があります。それぞれについてとなりあう部分が同じ色にならないように塗ります。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20221105/06/jukensansuwa/7d/30/j/o1808062615198326112.jpg?caw=800)
⑴ 図1の旗を赤・青・黄・緑の4色すべてを使う塗り方は何通りありますか。
4つの場所を「4色すべてを使う」塗り方なので 4×3×2×1=24通り
⑵ 図1の旗を赤・青・黄の3色すべてを使う塗り方は何通りありますか。
4つの場所を「3色すべてを使う」ぬり方で「となりあう部分が同じ色にならない」という条件があるから、どこかに同じ色を使うことになる。同じ色で塗れる2か所は左上と右下だけ。この同じ色の選び方が3通り、残り2か所の塗り方が2通りあるから、3×2=6通り
⑶ 図2の旗を赤・青・黄の3色すべてを使う塗り方は何通りありますか。
5つの場所を「3色すべてを使う」ぬり方には①1色を3回使って残り1色は1回ずつ使う、②2色を2回ずつ使って残り1色は1回使う、という2つを考える必要がある。
ただ「となりあう部分が同じ色にならない」という条件があるから、図2の場合には①はないので、②だけ考えればよい。
同じ色を塗れる場所2か所は「左上と右下、右上と左下」という1つに決まるから、ここで使う同じ色の選び方が3×2=6通り。
このとき残り1か所の塗り方は残り1色に自動的に決まるから、6×1=6通り
5か所をいろいろ条件を変えてぬる(田園調布2022午後)
異なる色を使って、旗に色をぬります。となり合う部分には同じ色はぬらないものとして、次の問いに答えなさい。
(1) 赤、黄、青、緑の4色を使って図のような旗のア、イ、ウ、エ、オの5つの部分をぬり分けます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20221105/06/jukensansuwa/68/6c/j/o1311069615198328946.jpg?caw=800)
① 4色全部を使ってぬり分ける方法のうち、アとオが同じ色になるぬり方は、全部で何通りありますか。
アとオの色の選び方が4通り、残り3か所(イ・ウ・エ)を残り3色でぬり分ける方法が3×2×1=6通りあるから全部で 4×6=24通り
② 4色全部を使ってぬり分ける方法は、全部で何通りありますか。
「4色全部を使ってぬり分ける方法」としては①「アとオが同じ色になるぬり方」(小問⑴)のほかに、②イとエが同じ色になるぬり方もある。
②も同じく24通りあるから、24+24=48通り
③ 4色のうち3色を使ってぬり分ける方法は、全部で何通りありますか。
5つの場所を「3色を使ってぬり分ける方法」には①1色を3回使って残り1色は1回ずつ使う、②2色を2回ずつ使って残り1色は1回使う、という2つを考える必要がある。
ただ「となりあう部分が同じ色にならない」という条件があるから、本問の場合には①はないので、②だけ考えればよい。
同じ色を塗れる場所2か所は「アとオ、イとエ」という1つに決まる。ここで使う2色の選び方が(4色から2色を選ぶ組合せなので)4×3÷2=6通り。この選んだ2色を「アとオ」「イとエ」のどっちで使うかがあるから6×2=12通り
このとき残った1か所ウの塗り方は、残り2色から選ぶので2通り
よって12×2=24通り
⑵ 赤、黄、青の3色を使ってぬり分けます。
① 次のA〜Fの旗のうち、3色でぬり分けできるものをすべて選び、記号で答えなさい。ただし、1色や2色でぬり分けできるものは除きます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20221105/06/jukensansuwa/74/28/j/o1810084215198329272.jpg?caw=800)
まずそれぞれの旗にある図形のうちほかの図形といちばん多く接しているものに注目する。この部分を赤でぬってみると次のようになる。(A、E、Fの赤い部分は2つと、CとDの赤い部分は3つと、Bの赤い部分は4つと接している。)
それぞれの旗について、残った黄と青の2色でぬり分けられるか(黄→青の順に使うものとして)考えてみると
- A…☆と外側どちらも黄でぬれる(2色で塗れる)ので
- B…ななめの部分をまとめて黄でぬっても、左上と右下は青でぬるしかない(ぬり分けに3色使う)ので
- C…右上を黄でぬると右下は青でぬるしかない。残った左側をぬるには4色めが必要なので
- D…☆と右上どちらも黄でぬっても、下は青でぬるしかない(ぬり分けに3色使う)ので
- E…上を黄でぬると下は青でぬるしかない(ぬり分けに3色使う)ので
- F…☆と外側どちらも黄でぬれる(2色で塗れる)ので
以上よりB・D・E
② ①で選んだ旗の中で、ぬり分ける方法がもっとも多い旗はどれですか。記号で答えなさい。また、そのぬり分ける方法は全部で何通りありますか。
それぞれの旗について、ほかの部分との境界線が一番多い図形に最初に赤をぬったとして、そのあとがどうなるかだけを考えてみる。
- Bについて…ななめの部分のうち右上部分を黄でぬると、両側部分は残った青でぬるしかなく、ななめ左下部分も最初の色(黄)に自動的に決まる → 右上部分を黄でぬったときが1通り、青でぬったときが1通りで計2通り
- Dについて…☆を黄でぬると、右上は黄でも青でもぬれる。下は残った色に自動的に決まる → ☆を黄でぬったときが2通り、青でぬったときが2通りで計4通り
- Eについて…上の部分を黄でぬると、下は残った色(青)に自動的に決まる → 上を黄でぬったときが1通り、青でぬったときが1通りで計2通り
![完了](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/522.png)