トライアスロン | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

速さの問題で陸上競技が題材に使われることはよくあります。

たとえばトライアスロンを題材にすると、つぎの問題のように速さが変わる問題が無理なく作れてしまうため、今後も題材にされることは十分考えられそうです。

 

AさんとBさんはトライアスロンをしました。トライアスロンは水泳・自転車ロードレース・長距離走の3種目を、この順番で連続して行うスポーツ競技です。今回は同時にスタートし、水泳を1.5km、自転車ロードレースを40km、長距離走を10km行います。Bさんの水泳の速さは分速50m、自転車ロードレースの速さは分速625m、長距離走の速さは分速250mとします。 また、水泳はAさんの方がBさんより速いとします。下のグラフはAさんとBさんがスタートしてからの時間と、AさんとBさんの間の道のりを表しています。ただし、グラフのXはBさんがゴールした時間を表し、種目と種目の間の時間は考えないものとします。(富士見中2022)

⑴ Aさんの水泳の速さは分速何mですか。 また、に当てはまる数を求めなさい。

 

右矢印 このトライアスロンではまず「水泳を1.5km」行う。「Bさんの水泳の速さは分速50m」なのでBさんが水泳にかかる時間は30分。

一方グラフをみると20分のところで折れ方が変わっている。「水泳はAさんの方がBさんより速い」ことから、Aさんは20分で水泳から自転車に移ったことが読み取れ、Aさんの水泳の速さは 1500÷20=分速75m

または20分後の2人の距離なので(75-50)×20=500

 

⑵ Aさんはのときどの種目をしているか、次の①~③の中からそれぞれ1つ選びなさい。
① 水泳  ② 自転車ロードレース  ③ 長距離走

 

右矢印 グラフから次のことが読み取れる。

  • を含む区間(20分から距離5000mの間)…Aさんが先に②自転車に移り、まだ①水泳をしているBさんをどんどん引き離している
  • 距離5000mからの間…Bさんも②自転車に移り、Aさんとの差がどんどん縮まっている
  • …Bさんが②自転車でAさんに追いついた
  • を含む区間…Bさんが逆に②自転車でAさんをどんどん引き離している
  • を含む区間…AさんとBさんの距離が縮まりはじめた。これはAさんがまだ②自転車をしているのに対し、Bさんが先に③長距離走に移ったため

以上より、ー②、ー②、ー②

⑶ Aさんの自転車ロードレースの速さは分速何mですか。

 

右矢印 2人の距離は30分後に5000mになっている。Aさんは20分後から30分後の10分間でBさんとの距離を500mから5000mに引き離しているから、その差が開く速さは毎分450m。

Bさんの水泳の速さは分速50m」なので、Aさんの自転車ロードレースの速さは分速500m

 

⑷ イに当てはまる数を求めなさい。

 

右矢印 Aさんの自転車ロードレースの速さは分速500m、Bさんの…自転車ロードレースの速さは分速625m」なので、Bさんも自転車に移ったあとは毎分125mずつ距離を縮めていく。

2人の距離は最大5000m離れていたから、Bさんが自転車に移ってから40分(=5000÷125)で追いつく。

これはスタートから数えると70分後

 

⑸ AさんとBさんの長距離走の速さの比を求めなさい。考え方や途中の式も書きなさい。

右矢印 Bさんはその後Aさんに追いつかれることなく250mの差をつけてゴールしている。

トライアスロンでは「水泳を1.5km、自転車ロードレースを40km、長距離走を10km」行い、Bさんの水泳の速さは分速50m、自転車ロードレースの速さは分速625m、長距離走の速さは分速250m」なので、Bさんは水泳に30分、自転車に64分、長距離走に40分の合計134分かかった。

 

一方Aさんの速さは水泳が分速75m、自転車が分速500mなので、水泳に20分、自転車に80分の合計100分かかった。

 

ということは、スタートから100分後にAさんが長距離走を始めたとき、その6分前に長距離走を始めていたBさんは250×6=1500m先を走っていた。つまりAさんが残り10kmの時点でBさんは残り8500mになっていた。そしてBさんがゴールした時点でAさんは残り250mとなっていた。これはBさんが8500m進む間にAさんは9750m進んだということなので、その速さの比はAさん:Bさん=9750:8500=195:170=39:34 完了