立体くりぬき③ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

立体くりぬきの分野でも「平均の高さ」の考え方が役に立つ場面は少なくありません。

たとえば次のような問題でこれが活躍します。

 

  くりぬきと切断を組み合わせた問題(湘南白百合2019)

 

図のような、1辺の長さが4㎝の立方体を、底面が半径1㎝の円である円柱でくり抜きました。このとき、円の中心と正方形AEFBの対角線の交点が一致するものとします。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とします。


⑴ この立体の表面積を式を書いて求めなさい。

 

右矢印 次の❶-❷+❸より 114.84㎠

❶くりぬく前の全体の表面積

…4×4×6面=96㎠

❷減った表面積

…円の穴で減った部分で 1×1×3.14×2面=6.28㎠

❸増えた表面積

…内側の円柱の側面部分で 直径2㎝×3.14×厚さ4㎝=25.12㎠

 

 

⑵ 次に辺EH、FG上にそれぞれEM=FN=1㎝となるような点M、Nをとり、平面CDMNで⑴の立体を切断したとき、頂点Aを含む立体の体積を求めなさい。

 

右矢印 「頂点Aを含む立体」を面ABEFを底面とする断頭四角柱とみる。すると

 (底面積)4×4-1×1×3.14=12.86㎠

 (平均の高さ)(4+1)÷2=2.5㎝

より、求める体積は 12.86×2.5=32.15㎤


 

  くりぬいた一部が重なる(奈良学園2021B日程)

 

1辺が5cmの立方体があります。面に色をつけた部分から反対側の面に向かってまっすぐ穴をあけます。次の⑴から⑶のように面に色をつけたとき、穴をあけたあとの立体の体積はそれぞれ何 ㎤ですか。ただし、図の目盛りは1cmとします。


        

 

右矢印 前の記事でも使った手順で、つぎの❶-❷+❸より 97.5㎤

 

❶くりぬく前の全体の体積…5×5×5=125㎤

 ❷くりぬいた立体の体積の和(重なりを考えない)…①②の合計で27.5㎤

      ①直角三角形のくりぬき…3㎠÷2×5=7.5㎤

      ②L字型のくりぬき…4㎠×5=20㎤

 ❸重なりの体積…なし 

 


        

 

右矢印 つぎの❶-❷+❸より 89㎤

❶くりぬく前の全体の体積…125㎤

❷くりぬいた立体の体積の和(重なりを考えない)…4㎠×5×2=40㎤

❸重なりの体積(上から3段目で小さい立方体4コ分が重なる)…1㎤×4=4㎤ 

 

*上から見た図(「2段目」は2段目のはじまりをさす)

 


        

  

右矢印 つぎの❶-❷+❸より 84⅔㎤

❶くりぬく前の全体の体積…125㎤

❷くりぬいた立体の体積の和(重なりを考えない)…①②の合計で45㎤

 ①直角三角形のくりぬき…6㎠÷2×5=15㎤

 ②階段状のくりぬき…6㎠×5=30㎤

❸重なりの体積の和…①②③の合計で4⅔㎤

右側のくりぬき面を底面積とみると

 ①2段目…底面積1㎠×平均の高さ⁵⁄₃㎝=⁵⁄₃㎤

 ②3段目…底面積2㎠×平均の高さ1㎝=2㎤

 ③4段目…底面積3㎠×平均の高さ⅓㎝=1㎤

 

*上から見た図(「2段目」は2段目のはじまりをさす)

完了