平面の分割 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

たがいに平行でない直線をどんどん引いていったときの交点の個数を数えさせる問題を以前取り上げましたが、この直線によって平面がいくつに分けられるかという平面の個数まで問われることもあります。

たとえば次のような問題。

 

  平面の分割①(暁星国際2015)

 

下図のように長方形の中に直線を描いていく。このとき、新たに描く直線はそれまでに描かれているどの直線とも1回ずつ交差し、さらにどの3本の直線も1点では交わらないものとする。このとき、次の問いに答えよ。

⑴ 4本目を描くと長方形はいくつの部分に分かれますか。
⑵ 5本目を描いたとき、長方形の中にはいくつの交点がありますか。

 

右差し つぎのような原理原則があることをまずはきちんとおさえ、線と交点と平面の数の間には「線+交点+1=平面」という関係があることを知って使えるようにしておきたいところです。

 

❶ 線が0本のとき、交点は0コだが、平面はすでに1つある(この「1」は線が何本のときでも忘れずに足す必要がある)。

 

❷ 線を1本引くと、交点は0コだが、平面は2つに分けられる。これは「最初からあった平面1つ+線を引いて増えた平面1つ」と考えることができる。

 

❸ 線を2本引くと交点が1コできる。平面はまず線と同じ数だけ増え、さらに交点と同じ数だけ増える*から、平面の数の合計は(最初の平面1も忘れず足して)2+1+1=4つ。

 

*たとえば3本の線があるところに4本めの線を引くときは、その線1本で増えた平面1コ(グレー)と、交点3コ(青・黄・赤)で増えた平面3コ(青・黄・赤)の合計4コの平面が増えるというように考えます。

❹ 線を3本引くと交点の個数は3コ(過去記事でも書いたように、交点は2本の線でできるから、交点の数はぜんぶの線の本数から2本を選ぶ選び方と同じになる)。このとき平面は 3+3+1=7つ。

 

❺ 線を4本、5本引いたときも同じように考える。この結果を表にすると次のとおり。

 

右矢印 以上の考え方より

小問⑴ 4本目を描くと」長方形は11の部分に分かれる。
小問⑵ 「5本目を描いたとき」長方形の中には10の交点がある。

 

⑶ 10本目を描くと長方形はいくつの部分に分かれますか。

 

右矢印 線が10本のところまで表を続けると次のようになるので 56

 

 

  平面の分割②(開成2021)

 

三角形の頂点を通る何本かの直線によって、その三角形が何個の部分に分けられるかについて考えます。ただし、3本以上の直線が三角形の内部の1点で交わることはないものとします。
図のように、三角形の各頂点から向かい合う辺に、直線をそれぞれ2本、2本、3本引いたとき、元の三角形は24個の部分に分けられます。
では、三角形の各頂点から向かい合う辺に、直線をそれぞれ2本、3本、100本引いたとき、元の三角形は何個の部分に分けられますか。

 

右差し 前の問題と同じように「2本目を書くと…3本目を書くと…」と実験していき平面の増え方の規則性を見つけにいく方法もありますが、そもそも前問とは交点のでき方が違うことから交点を足がかりにするのが早いです。

 

右矢印 交点の数に注目する。「直線をそれぞれ2本、3本、100本引いた」のであれば

 ①直線2本と直線3本の交点は2×3=6コ

 ②直線2本と直線100本の交点は2×100=200コ

 ③直線3本と直線100本の交点は3×100=300コ

あるから交点はぜんぶで506コ。

線+交点+1=平面という関係式はここでもあてはまるから、線の数は2+3+100=105本より

 105+506+1=612個 完了